SNSって悪いもの?『ザ・サークル』が描くSNSの光と闇
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2017年11月10日公開の映画『ザ・サークル』はSNS社会の今こそ見ておきたい映画です。何かしらのSNSサービスを使っている人であれば、共感できるポイントがあると思いますし、恐怖を感じることもあるでしょう。
SNS社会だからこそ見ておきたい『ザ・サークル』
映画『ザ・サークル』はSNSサービスを題材とし、その光の部分と闇の部分を描いた作品です。
【あらすじ】
世界No.1のシェアを誇る超巨大SNS企業〈サークル〉。創始者でありカリスマ経営者のベイリー(トム・ハンクス)が掲げる理想は、全人類がすべてを隠す事なくオープンにする“完全な”社会。憧れのサークル社に採用され、日々奮闘する24歳の新人・メイ(エマ・ワトソン)は、ある事件をきっかけにベイリーの目に留まり、新サービス〈シーチェンジ〉の実験モデルに大抜擢される。至るところに設置された超小型カメラにより自らの24時間をすべて公開したメイは、あっという間に一千万人を超えるのフォロワーを獲得し、アイドル的な存在となる。だがそこには思わぬ悲劇が待ち受けていた。あまりにも膨大な善意の渦に隠された〈サークル〉の重大な欠陥に気付き始めるメイだったが——。
主役のメイをエマ・ワトソン、メイが入社する巨大SNS企業の経営者・ベイカーをトム・ハンクスが演じています。
ベイカーの唱える「隠し事は罪だ。全てをさらけ出せば、世界はもっと良くなる」というビジョンの下で、ユーザーがもっとシェアすることを第一にサークル社は動いていく。
情報をシェアすることで趣味の合う人と出会ったり、悩みを相談できたり、思わぬ発見があったりと、作中ではSNSの光の部分が描かれています。しかし、それとは反対に闇の部分も描かれています。
メイが自分の父親の病気についてシェアすると、病気に対する情報やサポートが集まり、父親の状態が良くなるという光もあれば、メイの友人が鹿の角で作ったオブジェをシェアした際には、動物愛護団体から批判が集まる、いわゆる炎上する闇の部分も。
恐ろしいのは、メイに悪気が無いこと。友人のために良かれと思ってシェアしたことで、メイではなく友人に批判が集まってしまう。SNSそのものではなく、ユーザーの光と闇と言えることですが、見ていて本当に怖くなります。
エマ・ワトソンがSNSに飲み込まれていく姿がリアル!
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エマ・ワトソン演じるメイはサークル社に入ってからSNSを活用し始めた田舎出身の女性。入社後、SNSを楽しんでいく姿が映し出されています。
週末を趣味のカヤックで過ごしたメイは、会社の同僚から「なぜシェアしないの?」と問われます。シェアすることが当たり前の会社の中で、シェアしないことは悪いことだと洗脳されているよう。
シェアすることで彼女の生活が変わっていき、フォロワーや会社の同僚との付き合い方や休日の楽しみ方が変わってきます。そしてそれがどんどんエスカレートしていく…
SNSを多用している人なら、メイのSNS熱が高まっていく様子はどこか怖いな、と思うところがあるものの、人ごとではない気がします。
彼女を見ていると「もしかして自分のこと…?」と思える場面があり、SNSの使い方について考える機会を与えられているような気がするから不思議です。
見どころが散りばめられている『ザ・サークル』の世界
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『ザ・サークル』はストーリーだけでなく、サークル社という会社も見どころです。
例えば、作中で人を探すためにドローンが使われたり、ピンポン玉より小さいワイヤレスカメラを貼り付けるだけで映像が受信できたり。少し先の未来に実現できそうなものの登場にわくわくします。
また、サークル社はAppleの会社があるApple Parkにそっくりな形。毎週金曜日に行われるドリームフライデーの会場は、IT企業が商品やサービスの発表をする会場を模しているなど、いろんな会社やサービスのオマージュとして描かれています。
そして、サークルの屋外スペースのシーンではライブパフォーマンスに本物のビッグアーティストが出演するサプライズも。
ストーリーだけでなく、劇中のセットや出演者にもぜひ注目してください。
(文・澤田孝志)
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