ライダーベルトってどうやって出来上がる?特撮ファンが気になる疑問を、篠宮暁がバンダイに直撃!


「DXビルドドライバー」ができるまで


篠宮:そもそも「DXビルドドライバー」はどういうところから、レバーを回すという発想に至ったんですか?




井上:子供たちが本能的にやりたくなるギミックをベルトづくりにおいてもメインギミックにしよう、ということを決めています。例えば、ボタンを押すとか、レバーを引くとか、ですね。そこで今回は、ぐるぐる回せるレバーがあると回したくなるよね、というアイディアが出てそちらに決まりました。

篠宮:へぇ〜。製作するにあたって、前年度のベルトは意識するんですか?

井上:どちらともいえます。ベースとしては一旦全部忘れましょう、と。ただ、玩具を作るうえで共通するところ、たとえば子供に伝わりづらいだとか、遊びづらいとか、大枠の反省点においては蓄積していき、次年度の玩具開発に活かします。

篠宮:「DXビルドドライバー」の開発で苦労された点は?

井上:全部ですね(笑)。レバーの回し心地とかも、作ってる段階でいろいろと調整しました。例えば、最初はレバーを回した際、連動して動く歯車型のギアの回転は一方通行だったけれど、売り場で子供たちはベルトを自分に着けず、正面に持ってレバーを逆に回すだろうから、逆回転もできるようにしなきゃいけないよね、とか。

あと、どうやって回したときに、光がきれいに出るかとか、回したときのシャカシャカという物理音が、玩具から出る変身音の邪魔をしないように、いかに静かにできるか、とか。

篠宮:今回のキーアイテムは「フルボトル」ですが、今回の売りは?




井上:キーアイテムというのは、コレクション性と変身の分かりやすさがポイントになっています。今までの仮面ライダーは「ゲーム」とか「偉人のおばけ」とか、仮面ライダー自体のモチーフからの要素を玩具に反映させることが多かったんですが、今回はそれをなくしました。

そして、子供たちが好きなものを組み合わせて変身する、という発想が出てきました。そこから、1個1個、固有のモチーフを表現できるアイテムってなんだろうと、形の検討をしました。

ボトル型なら、ペットボトルのジュースは子供たちにも馴染みがあるものですし、化粧品とか香水とかも小さいものを集めるときれいだよね、という発想でコレクション性にもマッチしました。

あと、僕らは、各アイテム単品でも楽しめる、ということも追求しているんです。フォーゼの「アストロスイッチ」なんかは、分かりやすい例ですね。




今回の玩具展開で、「DXビルドドライバー」は“過去最高に動くベルト“というのを裏テーマにしていて、ベルトのレバーを回すと、ほかの部分もあちこち動くんですけど、「フルボトル」単品では、振るとシャカシャカ音がする、というギミックを入れており、つい振りたくなってしまうところに単品遊びの要素を入れています。

それこそ、『仮面ライダービルド』を担当されている東映の大森敬仁プロデューサーが、玩具の試作チェック中、ずっと振り続けていたくらいなんです(笑)。

篠宮:これ、重さが絶妙ですよね!

井上:跳ね返りとか、手触りがいいですよね。それはもう、うちの設計担当などがこだわって、追求したところですね。振った時の気持ちよさとか、ベルトへ入れた時の感触とか、ベルトへの入れざまとか。

篠宮:「ライダーガシャット」のときはどうだったんですか?



(C)2016 石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映


井上:「ライダーガシャット」の場合は、ゲームで例えたらベルトがハードウェアで、ライダーガシャットがソフトウェアという要素が色濃くあったので、各ガシャットのタイトルを強く打ち出すということに重点を置いていました。

それこそ、玩具の開発の音声はフナセンが担当したのですが、単品で鳴る、光る、というところで、単体遊びとしては音の部分に強いこだわりがありました。コンセプトによって、重きを置くところは変わってきますね。

篠宮:では、音声について、「ビルド」の小林克也さんはどういった理由で起用されたんですか?

井上:これまでのベルトは「引く」「押す」など、1回の動作で、変身するものが多かったのですが、ビルドドライバーは、レバーを自身の手で回し続けて変身するという今までと違う点があります。

今回のベルトは「創り出す」というテーマもあって、レバーを回している際の音はだんだん何かが出来上がっていく音をイメージしています。




そして、変身が“完成!”というとき、その「出来た!」というのが、伝わりやすい声はどんな声なんだろうと考えたときに、ランキング形式の情報番組で1位を発表するときの小林さんの声がすごく印象的だったので、これだ!と起用が決まりました。

ベルトの音声のコンセプトと伝えたいことが軸としてあって、そこに世の中にも刺さった実績があるイメージの声を加えていく事が多いですね。今回であれば、小林さんがナレーションを担当されていた情報番組を見たことがない子供たちにも大人と同じように刺さるんじゃないかと思っています。

篠宮:常にそういうアンテナを張って、生活しているんですか?

井上:世の中の時流というか、流行ったもの=人々に刺さったものなので、そこは常々気にしています。子供って大人よりも見てくれを気にしないし、建前がないので、素直に面白いかどうかを判断すると思うんです。

だから、世の中に流行ったものは子供も本能的に好きなんじゃないかと思っていますね。もちろん、それだけにあやかりすぎちゃってもダメだとは思っているので、いかに組み合わせて新しいものを生み出すか、というところは気にしています。

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