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特撮×コメディの融合ヒーロー『激走戦隊カーレンジャー』【篠宮暁の特撮辞典・第44回】
特撮×コメディの融合ヒーロー『激走戦隊カーレンジャー』【篠宮暁の特撮辞典・第44回】
■オジンオズボーン・篠宮暁の特撮辞典
「クウガ」&「響鬼」のプロデューサーが、初めて手がけたスーパー戦隊
今『激走戦隊カーレンジャー』と言われても、何のこっちゃわからないかもしれません。
もう20年前の作品。「好きなスーパー戦隊は?」という話になって出てくる話は、『侍戦隊シンケンジャー』や『特捜戦隊デカレンジャー』ばかり。確かにそれらの作品は面白かったので、その話題で大いに盛り上がってもらっていいのですが、20周年の節目にもっとスポットを当てていただきたく、今回は「カーレンジャー」を紹介させていただきます。
「カーレンジャー」の紹介の前に言わせてもらいたいことがあります。ここでも書かせていただいた『仮面ライダークウガ』と『仮面ライダー響鬼』。ときに、スタッフさんがただならぬ熱量で「クウガ」を作ったと書きました。
そのスタッフさんの先頭に立って指揮していたのがプロデューサーの高寺成紀さん。この人のおかげで新生仮面ライダーが生まれ、すでに日本を代表するヒーローだった仮面ライダーをさらに昇華させ、不動の地位まで押し上げました。この人がいなければ、平成仮面ライダーがここまで続いていなかったかもしれません。
その高寺さんが「クウガ」を手がける4年前、スーパー戦隊シリーズでチーフプロデューサーになるのですが、初めて手がけた作品が『激走戦隊カーレンジャー』でした。「クウガ」や「響鬼」で見られたスタッフさんの熱量は、当然「カーレンジャー」でも見ることができます。
1年通してギャグを貫く『激走戦隊カーレンジャー』!
「カーレンジャー」は、スーパー戦隊シリーズの中でも1、2を争うコメディ戦隊です。
他の作品でも、それまでにギャグ回なるものはあったのですが、1年を通してギャグを貫く作品は「カーレンジャー」が初めてでした。
スーパー戦隊のセオリーを崩してみたり、大胆に過去の作品のパロディをしたりと、一見やりたい放題にも見えますが、めちゃめちゃ遊んだ分、シリアスなシーンがとても引き立つという驚きもあり、締めるところはきっちり締めてくれるので、グダつくこともありませんでした。
特撮とコメディの見事な融合
そんな「カーレンジャー」は、特撮部分にもしっかりと熱が込められています。
第5話「この先激走合体」で、カーレンジャーの巨大マシンが初めて合体するのですが、この合体するまでのミニチュア特撮が凝りに凝られていて、1話まるごと使って丁寧に合体まで持っていきます。本当に丁寧な描写なのに、そこにもしっかりとギャグを詰め込んでいて、特撮とコメディが見事に絡み合っているのです。
「カーレンジャー」をこんなに熱くオススメしている僕ですが、実の話をしますと、「カーレンジャー」が始まったのは中学1年生で、最初カーレンジャーを見た時に「こんなギャグ戦隊はスーパー戦隊じゃない、僕も中学1年生だから、ここらが特撮ファンの卒業時かな…」などと感じていました。
しかし、この第5話を見て、「あれ、ただのギャグ戦隊じゃないぞ?」「特撮もしっかりしてるやん、なんやったら今までの作品よりも熱量こもってるやん」と勝手に自分で悟り、そして「カーレンジャー」にのめり込み、そのまま特撮を卒業することなく今に至ってます。
特撮卒業の危機から救ってくれたのが、このカーレンジャーだったのです。
この至極の激走ド、いやエピソード達をご堪能くださいませ。
敵の怪人が芋ようかん食べて巨大化するのですが、それにまつわる話も最高です。
(文:オジンオズボーン・篠宮暁)
※この記事は、WEBサイト「WB」にて以前連載していたものを、再編集したものです
以前の記事はこちらから
【オジンオズボーン・篠宮暁の“特撮”向上委員会】も連載中!
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