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『ちはやふる-結び-』が大傑作となった8つの理由!


5:輝かしい青春時代を送れなかった人にも届くメッセージもあった!


劇中では、「道徳の授業で若い人に鑑賞して欲しい!」と強く願えるほど、青春に賭ける(賭けた)すべての方に通ずるメッセージも提示されています。それは『-結び-』というタイトルに通ずる、“人のつながりの大切さ”や“何かを継承していくことがいかに尊いか”などといった、若者に限らず彼らを取り巻く大人にも響くものになっています。それらが、まったく説教くさくないというのもすごい!

さらに素晴らしいのは、(主人公の千早たちのように)輝かしい青春時代を送れなかった人も、誰かのためにできることがある、という教えも内包されていること。実際、高校時代はキラキラなんかしていなかった、無味乾燥な青春を送ってしまったと後悔したり、自己を卑下してしまう方は少なくはないでしょう。そのような人でも(であればこそ)、『-結び-』の“問題人物”が告げたとある言葉には、きっと勇気づけられるはずです。

さらに、それらのメッセージが、原作マンガのキャラクターの性格やセリフを拾い上げたものになっているというのも驚くべきこと! 前述した“チャンス”もそうですが、原作マンガの精神性が映画においても過不足なく表れている、それどころかさらに説得力を増しているという……これはもう、ある種の奇跡と言ってもいいのではないでしょうか。



(C)2018 映画「ちはやふる」製作委員会 (C)末次由紀/講談社



6:競技かるたの“一瞬”と“永遠”を見事に描いていた!


競技かるたは観ればわかる通り、“一瞬で勝負がつく戦い”です。対して、そのかるたに書かれている百人一首は“1000年の時を経ても伝わる芸術”と劇中で語られています。いわば、競技かるたは“時間”という概念において、“一瞬”と“永遠”という2つの矛盾した要素が共存している、とされているのです。

そして、その“一瞬”と“永遠”もまた、青春時代を送る(送った)すべての人に通ずる、とある尊いメッセージにも昇華されていました。それは、高校3年生になって将来を決めなければいけない千早(たちの)が目指すべき“夢”にもつながっている……一体、どこまで練りあげれば、これほどまでの脚本が完成するのでしょうか!

そして前2部作と同様に、百人一首の歌の解釈は劇中の物語にシンクロしています。今回でとくに重要となる歌は、「しのぶれど色に出でにけりわが恋は ものや思ふと人の問ふまで」と「恋すてふ(ちょう)わが名はまだき立ちにけり 人知れずこそ思ひそめしか」の2つ。それぞれの歌の解釈を調べると、さらなる感動がありますよ!



(C)2018 映画「ちはやふる」製作委員会 (C)末次由紀/講談社



7:原作マンガのファンが願った“IF”の展開があった!


小泉徳宏監督は、『-結び-』を主人公の千早たちが3年生になってからの物語にすることを思いついてから、原作者の末次由紀から先の展開も聞き、それを踏まえて脚本の執筆を続けていたそうです。

その過程において、“千早とライバルの詩暢とのクイーン戦”をクライマックスに据えることを、思い切ってやめたのだとか。それは、原作マンガの冒頭や、『上の句』のオープニングでも“チラ見せ”されていたこと。いわば“物語の最後に描くことが決まっている戦い”でもあるのに、それをやめてしまうというのはかなり大胆な選択です。

では、代わりにどのような戦いがクライマックスになっているのか……それこそネタバレになるので絶対に書けないのですが、これは原作マンガのファンであれば、何より小泉徳宏監督自身が「こういうのが観たかった!」と願っていた“IF”の展開でもあるのです。

小泉徳宏監督がその改変を原作者の末次由紀さんに話したところ、「これは読者が観たかった、もう1つの『ちはやふる』ですね」と喜んで承知してくれたのだとか。そこには、原作を読んだ人はもちろん、読んだことがない人も鳥肌が立つような感動があるはず!

なお、前述した“物語の最後に描くことが決まっているクイーン戦”ですが、この完結編で完全にオミットされたわけではなく、“ある方法”で描いていることにも感動しました! これまたネタバレになるので具体的に書けないのがもどかしいですが、その“表現”そのものにも驚けることでしょう。



(C)2018 映画「ちはやふる」製作委員会 (C)末次由紀/講談社



8:すべてにおいて褒めても褒めたりないことばかりだ!


北島直明プロデューサーは、小泉徳宏監督と脚本作りを話し合う中で、「原作マンガに囚われ過ぎない」「原作の再現にこだわりすぎるあまりダイジェスト感やコスプレ感のあるものにしない」「それでいて外してはいけない原作の“芯”を冷静に捉える」「原作の“核”の部分を抽出して2時間の映画での中で再構成する」ことなどを重視したのだそうです。この目標こそが実を結び、原作にあったエッセンスを存分に膨らませ、さまざまな要素やメッセージが有機的に絡み合い、一人ひとりのキャラが忘れられないほど魅力的になった、奇跡というべき物語が生まれたのでしょう。

脚本のことばかりに触れてきましたが、窓から溢れる“光”の表現、競技かるたをさらに面白くわかりやすく見せる映像の工夫の数々、カッコよく必然性もあるスローモーションの使い方、Perfumeによるポップな主題歌、横山克さんによる美しい音楽は今回も健在、いや、さらにさらに魅力的になっていました。総じて“映画”としての描き方が抜群に上手く、盛り上がりどころも外さず、極めてエモーショナルな内容になっている……。もう、いくら褒めても、褒めたりない!

余談ですが、『ちはやふる -結び-』と、ほぼ同時期に公開されたディズニー・ピクサー最新作である『リメンバー・ミー』には、“受け継いでいくことの大切さ”が描かれているという共通点があります。さらに、“チャンス”については正反対とも言える訴えもあるのもおもしろいですね。完全に偶然ではありますが、両者を見比べてみるのもいいでしょう。

※『リメンバー・ミー』の記事はこちら↓
『リメンバー・ミー』、もっと面白くなる8つのポイント

なお、『ちはやふる -結び-』は音楽はもちろん、細かな調整が重ねられた音響も大きな魅力になっています。劇的なシーンにおける“無音”も重要になっており、映画館で観てこそ「みんなで固唾を飲んで見守る」という一体感も得られるでしょう。もうこれ以上は言うことはありません、この日本における青春映画の、マンガの実写映画化の最高傑作の1つを、絶対に映画館で観てください!

(文:ヒナタカ)
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