映画コラム

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2018年05月24日

意外と想定外も!?実写版『ピーターラビット』の奥深い魅力とは?

意外と想定外も!?実写版『ピーターラビット』の奥深い魅力とは?




こんにちは、八雲ふみねです。

今回ご紹介するのは、現在大ヒット公開中の『ピーターラビット』。

ブルーのジャケット姿が愛らしい世界でいちばん有名なウサギの物語を、ハリウッドが初めて実写映画化しました。


八雲ふみねの What a Fantastics! ~映画にまつわるアレコレ~ vol.157




イギリス、湖水地方。画家のビアと一緒に仲良く暮らすピーターラビットたちの日課は、お隣に住むマクレガーさんの畑から野菜をこっそり頂戴すること。マクレガーさんは畑を荒らすウサギたちにいつも怒り心頭、しかしある日突然、亡くなってしまう。

マクレガーさんの死後、隣の家に住むことになったのは、マクレガーさんの甥のトーマス。潔癖症で野生動物が大嫌いなトーマスとピーターたちの間ではさらに激しいバトルが勃発。トーマスはさらに、いつもピーターの味方をしてくれるビアと急接近し…。





スクリーン狭しと駆け回るピーターに、大人女子もキュンキュン。


世界中で愛されているつぶらな瞳のいたずらっ子なウサギと言えば、ピーターラビット。絵本はもちろんのことグッズも多く販売され、子どもから大人まで幅広い年齢層に支持されているキャラクターです。

このピーターラビット、もともとは原作者のビアトリクス・ポターが友人の息子宛に描いた絵手紙が原型になっているとのこと。あの優しいタッチで描かれたピーターたちがスクリーンの中で動き出したら、どんな風になるんだろう…。誰もが期待し、注目したところではないでしょうか。

それに応えるべく、本作では顔つきや体つきはもちろんのこと、モフモフとした毛並みまで忠実に再現。ブルーのジャケットを身につけたピーターのほんわかとした癒し系のルックスに、キュンとくる大人女子も多いことでしょう。

ところがこの映画版ピーター、ただカワイイだけじゃないんです!とにかく、ピーターが登場するファーストシーンから度肝を抜かれること間違いなし。

ダンスを踊るかのように青空を飛び回る鳥たちによるファンタジックなコーラスが始まったかと思いきや、そのミュージカル調のナンバーを蹴散らして勢いよく野原を駆けていくピーター。

映画の世界観に酔いしれてウットリ…となりかけたトコロへ、やんちゃすぎるピーターがお目見えすることで「この映画は、みんなが思ってるような映画じゃないよ」と、観客の思惑をオープニングから見事に裏切ってくれるのです。

そこからは、アクション映画さながらのバトルシーンやブラックジョークが炸裂。歌ったり踊ったりラップを披露したりと芸達者ぶりも発揮し、パーティームービーとしての盛り上がりも最高潮となります。

ファンキーでコメディタッチなエンタテインメント作品となった実写版『ピーターラビット』。メガホンを取ったのは『ANNIE アニー』の映画版も手がけたウィル・グラック監督。
「CGを使っているということを観客が忘れてしまうものを作りたかった」と監督が語るように、観るうちにピーターたちが“スクリーンの中のキャラクター”ではなく“身近な友人”のように感じてしまえるハートフルな作品に仕上がっています。




原作者へのリスペクトにもつながる、人間と動物との共生の物語


2020年全米公開を目指し、早くも続編の製作が発表された本作。これほどまでのヒットにつながったのは、ピーターをはじめとする動物たちが可愛いだけではなく、ストーリー性がしっかりとしていることも大きいでしょう。現代のあらゆる世代の人が楽しめる映画でありながら、原作の持つ世界観からはブレることなく、そのテーマをしっかりと根付かせているのも本作の特徴です。

主人公であるピーターのキャラクター設定は、やんちゃで悪戯っ子でちょっぴり困ったちゃん...といった部分が取りざたされがちですが、彼の真っ直ぐで素直なハートがきちんと描かれているのも注目ポイントのひとつ。ウサギ同士が仲直りする時におでこを合わせるしぐさは、ピーターの優しい人柄(ウサギだけど)が上手く表現された名シーンです。

また“人間と動物の共生”について触れているのは、原作者であるビアトリクス・ポターへのリスペクトと言えるでしょう。人と動物は壁や垣根などなく共に生きていくことが本来は自然な姿ですが、そのためには決して綺麗事では済まされないこともある。時には争いごともあるかもしれないけれど、お互いの存在を尊重することが幸せにつながることを、この映画は教えてくれています。

カワイイだけじゃない、イタズラ好きなだけでもない!実写版『ピーターラビット』の奥深さを、是非スクリーンで体感してみて。




ウサギ&ニンジンまみれ!? 賑やかに盛り上がったジャパンプレミア


映画の公開に先駆けて行われたジャパンプレミアには、ウィル・グラック監督、日本語吹替版でピーターの声を演じた千葉雄大が登場。さらにスペシャルゲストとして森泉、平昌オリンピックスキージャンプメダリストの高梨沙羅も駆けつけ、日本での初お披露目を賑やかにお祝いしました。




まずは、東京ミッドタウン日比谷 パークビューガーデンで行われた「ウサギまみれイベント」の模様から。

日本語吹替版の収録秘話を語る千葉雄大さんの足元には、10羽のミニウサギたちが。イベント開始当初は千葉さんが座るベンチの奥で身構えていたウサギさんたちも、雰囲気に慣れてくると芝生の上を思い思いに駆けるように。中には、柵の間から“脱走”を図ろうとする、ピーター並みに好奇心旺盛なウサギさんも。

そんな自由すぎるウサギたちを眺めながら、千葉さんは「ピーターを演じたから、この子たちの気持ちがよく分かる」と笑顔。イベントの最後には「彼ら(ウサギ)にも拍手を…」と、共演者であるウサギさんに賛辞を送る、とってもジェントルな千葉さんでした。




屋外でのイベントがウサギまみれなら、舞台挨拶はピーターも大好きなニンジンまみれ!?高梨沙羅さんのピーターラビット愛、動物愛好家の森泉さんならではの動物と暮らすライフスタイルのお話など、いろいろな話題で盛り上がった舞台挨拶。その中でもリアルなウサギを生み出したウィル・グラック監督の制作秘話はやはり興味深く、登壇者の方々も司会を務める私もじっくりと聞き入ってしまいました。




<作品情報>


ピーターラビット
2018年5月18日から全国ロードショー
監督:ウィル・グラック
原作:ビアトリクス・ポター
出演:ローズ・バーン、ドーナル・グリーソン、サム・ニール ほか
声の出演:デイジー・リドリー、エリザベス・デビッキ、マーゴット・ロビー、ジェームズ・コーデン ほか
公式サイト http://www.peterrabbit-movie.jp/

八雲ふみね fumine yakumo


八雲ふみね

大阪市出身。映画コメンテーター・エッセイスト。
映画に特化した番組を中心に、レギュラーパーソナリティ経験多数。
機転の利いたテンポあるトークが好評で、映画関連イベントを中心に司会者としてもおなじみ。
八雲ふみね公式サイト yakumox.com

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