海外でリメイクされた日本の作品を4つ紹介!
海外でリメイクされた日本の作品を4つ紹介!
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2018年5月11日より劇場で公開中の映画『ミッドナイト・サン タイヨウのうた』は日本映画『タイヨウのうた』(2006)のリメイク作品です。
当時シンガーソングライターだったYUIさんが主演し、劇中での歌や主題歌を担当しました。のちに恋人となる相手役には塚本高史さん。今から12年前の作品で、振り返って鑑賞すると懐かしさがありますが、男女の純粋な恋心や、家族、友人などとの関わりが描かれ、今も昔もかわらぬ普遍的なテーマがあります。
リメイクされた『ミッドナイト・サン』ではハリウッドで注目の若手女優のひとりであり、歌手としても活動しているベラ・ソーンと、アーノルド・シュワルツェネッガーの息子としても話題のパトリック・シュワルツェネッガーがW主演をつとめています。
このように、日本の作品をベースにリメイクした海外映画が他にも数多くあることをご存知ですか。今回は、『タイヨウのうた』をふくむ4ペアをご紹介します。
『タイヨウのうた』(2006)
⇒『ミッドナイト・サン タイヨウのうた』(2018)
映画『ちはやふる』シリーズで人気監督となった小泉徳宏さんの初監督作品でもある『タイヨウのうた』。海辺の街に暮らす薫(YUI)は、紫外線を浴びると命の危険もあるXP(色素性乾皮症)という病気を抱えていて、夜中にストリートライブをするのが密かな楽しみでした。
そこで出会ったのが塚本高史さん演じる孝治です。そのあと二人は距離を縮めていき、恋をしますが・・・。YUIさんのみずみずしいお芝居と安定した歌、そして若かりし塚本高史さんを観ると微笑みたくなる場面も多いなかで、孝治が純粋に薫に惹かれていく様子や、薫の病状の変化に最後は涙してしまいます。
現在公開されているリメイク作品『ミッドナイト・サン』では、日本の『タイヨウのうた』を思い起こす設定や場面を多分に盛り込んでいながら、学生同士のにぎやかなパーティーの場面があったり、恋人として過ごすふたりの時間が濃密に描かれていたりと、違いもありました。
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リメイク版では、薫にあたるケイティ(ベラ・ソーン)が、父親と深い絆で結ばれて生活していることがよく表れていて、小さい頃からの親友であるモーガン(クイン・シェファード)との仲の良さも、日本作品より色濃く描かれていました。
さらに孝治にあたるチャーリーを演じたパトリック・シュワルツェネッガーは今作が映画初主演。オーディションによって選出されたそうですが、ケイティに寄り添う好青年を見事に演じていました。チャーリーが水泳競技で挫折しているというエピソードはリメイク版ならではで、父親のアーノルド・シュワルツェネッガーを彷彿とさせる鍛えあげた肉体を披露した競技シーンは見どころのひとつです。
『ミッドナイト・サン』は約3年前に撮影されたそうで、劇中に登場するふたりは映画公開に合わせたインタビューなどで見るベラやパトリックよりも幼い印象を受けます。キャストの成長を感じるとともに、作品の中に高校生らしさが凝縮しているのが魅力的です。
そして、ケイティの父親の存在がとても大きかったですね。日本版での岸谷五朗さんも素晴らしいのですが、『ミッドナイト・サン』では母親がいない設定だったので、父親と娘の関係の深さが強調されていました。娘の病状が悪化するなかでの父親の一言に涙した人も多かったはずです。
12年を経てハリウッドでリメイクされたのは、長い年月をもって描かれるべきテーマであり、世界共通で感情を共有できるからでしょう。家族、友情、恋、そして病気と身近にある要素を組み込み、ピュアで美しい薫と孝治、ケイティとチャーリーの物語は長く語り継ぎたい作品になりました。
『ハチ公物語』(1987)
⇒『HACHI 約束の犬』(2008)
忠犬ハチ公の物語といえば、多くの人が知っている実話のひとつかもしれません。飼い主である大学教授を渋谷駅まで送り迎えをすることが習慣だった秋田犬・ハチが、教授の急死後も忠誠心を持ち続け、渋谷駅に通ったことは有名です。今も渋谷駅前にはハチ公像があり、シンボル的な存在になっています。
『ハチ公物語』には仲代達矢さんや八千草薫さんらが出演。鑑賞すると画面越しにもハチへの愛情が募っていきます。
そしてリメイク作品ではリチャード・ギアが大学教授を演じています。日本版とは時代設定が違い、犬との出会いなど少しずつ違っている部分もありますが、ハチの純真さ、忠誠心は受け継がれました。
両作品とも出演した秋田犬がすばらしく、動物と暮らしたことのある人、動物が好きな人にとって、涙なしには見られない作品です。
『Shall we ダンス?』(1996)
⇒『Shall we Dance?』(2004)
役所広司さんと草刈民代さんが主演を務め、社交ダンス教室を舞台にしたした作品です。家族や仕事に恵まれ、不自由ない生活をしている主人公・正平でしたが、日々に物足りなさを感じていました。そんな中、会社帰りにダンス教室の窓に佇む女性を見つけ、数日後、その教室でダンスを習い始める決断をして・・・。
社交ダンスを題材にした映画は日本では珍しく、元バレリーナである草刈民代さんのダンス、ダンスにのめり込んでいくうちに腕を上げていく役所広司さん演じる正平のダンスは見応えがあります。そして、なんといっても正平の同僚・青木を演じた竹中直人さんのお芝居は誰が見ても間違いなく楽しめるコミカルさがあり、目を引きます。
一方、リチャード・ギアが主演を務めた『Shall we Dance?』は日本版よりも家族、とくに妻との展開がロマンチックです。草刈民代さんが演じた舞あたるポリーナを演じたジェニファー・ロペスのダンスも圧巻です。
ちなみに、竹中直人さんが演じた青木にあたるリンク・ピーターソン(スタンリー・トゥッチ)もかなりコミカルで面白いです。世界共通で見て楽しいキャラクターだということがよくわかります。
『幸福の黄色いハンカチ』(1977)
⇒『イエロー・ハンカチーフ』(2008)
山田洋次監督の作品で、高倉健さん、倍賞千恵子さん、渥美清さん、桃井かおりさん、武田鉄矢さんなど日本映画界の名だたる役者陣がそろった贅沢な映画です。刑期を終えて出所した主人公の島勇作が、ひょんなことで出会った朱美(桃井かおり)と花田(武田鉄矢)と3人で旅をするロードムービー。シンプルな展開のなかに、登場人物に共感する気持ちを覚える人も多いはずです。
映画としては日本の作品を元に『イエロー・ハンカチーフ』としてリメイクしたことになりますが、そもそもストーリーのベースになったのは『ニューヨーク・ポスト』に掲載されたコラム『Going Home』(1971)なのだそう。
高倉健さんが演じた島勇作をウィリアム・ハートが演じ、マリア・ベロ、クリステン・スチュワート、エディ・レッドメインなどが出演しています。多少の変更はあるものの、ストーリーは日本版に忠実に製作されました。そして日本版でヒロインを演じていた桃井かおりさんがカメオ出演していることも見逃せないポイントです。いまや大スターであるエディ・レッドメインの若い頃のお芝居が見られる貴重な作品でもあります。
普遍的なテーマ、王道のストーリーが魅力
日本の映画をベースにリメイクされた映画は、わかりやすいストーリーに加え、家族、友人、恋人らの関係にせまる普遍的なテーマを持つ作品ばかりです。
公開中の『ミッドナイト・サン』のように10年前後でリメイクされたものもありますが、『幸福の黄色いハンカチ』にいたっては31年の時を経ています。日本の作品が長く受け継がれているということですね。
最近は、『君の名は。』がハリウッド版としてリメイクされることが決定しており、楽しみに待っている人も多いのではないでしょうか。
何より、いま日本で製作されている映画が、いずれ世界でリメイクされるかもと思うとわくわくしますね。
(文:kamito努)
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