映画コラム
社会派サスペンス×王道ティーンムービー!『クリミナル・タウン』の魅力
社会派サスペンス×王道ティーンムービー!『クリミナル・タウン』の魅力
今回ご紹介するのは、現在公開中の『クリミナル・タウン』。
王道ティーン・ムービーとしても社会派サスペンスとしても楽しめる一作です。
八雲ふみねの What a Fantastics! ~映画にまつわるアレコレ~ vol.171
親友で優等生のケビンが銃殺された。この知らせに驚いたアディソンは、彼が麻薬と関わりを持ち、その末、ギャングの抗争に巻き込まれたという捜査結果を疑う。そこで幼なじみのフィービーと犯人探しに乗り出すが、彼らを待ち受けていたのは凶悪犯罪の“闇”だった…。
最旬スターの“光”とワシントンD.C.の“闇”に迫ったクライム・サスペンス
本作は、『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』や『ヒッチコック』(脚本)を手がけたサーシャ・カヴァシが、ティーンエイジ・ノワールの傑作として絶賛された小説を原作に、親友が命を落とした銃殺事件の真相に迫るクライム・サスペンス。
実は、政治の街ワシントンD.C.はアメリカのシンボルタウンである一方で、殺人や襲撃・強盗件数が全米でもトップクラスという“犯罪の街”という顔も持ち合わせています。
そんなD.C.の裏の世界を10代の視点から語ることで、どこまでもクールに犯罪都市と化した実態を巧みに描き出すことに成功しています。
言わば、アンセル・エルゴート×クロエ・グレース・モレッツというキラキラと眩しいかぎりの最旬スターを主演に迎えることで、ティーンエイジャー特有の“光”を切り取りながら、同時にワシントンD.C.の“闇”の部分が浮き彫りになっているということ。
このコントラストの絶妙さには、驚愕の一言。
観る前と観た後では本作のイメージがガラリと変わることでしょう。
スターならではのきらめきが、映画に活力を与える!
さて、本作を語るにおいては、やはり主演キャストの魅力に触れずにはいられません。
親友の死に疑問を抱き真相究明に乗り出すアディソンを演じるのは、アンセル・エルゴート。ビデオカメラを片時も離さないアナログ好き。ナイーブで傷つきやすい一面も持つ少年を好演しています。190cm超えの長身にイケメンという完璧なルックスの持ち主なのに、本作のようなちょっぴりイケてない青年役もピタリとハマるのが彼の魅力のひとつ。より初々しく、まだ垢抜けきれてないアンセルを観ることが出来ますよ。
素顔はスクリーンで観る以上にベビーフェイスで、ふんわりと優しい雰囲気が漂うナイスガイ。ここまで完璧だと、彼のインスタグラムに度々登場する恋人とのラブラブショットも微笑ましいかぎりです。
そして、アディソンの“幼なじみ以上恋人未満”な女子高生フィービー役にはクロエ・グレース・モレッツ。同い年のアディソンよりも早熟で大人っぽいキャラクターで、謎解きの相棒でもあり恋人でもある、状況によって様々な“顔”を見せ、彼女の魅力が満載。ちなみに2人は『キャリー』(2013年)でも共演。クロエ演じるキャリーを卒業式のプロムに誘うトミーを演じたのが、映画デビューとなったアンセルでした。
2度目の共演を果たした彼らの俳優としての成長が垣間見えるのも、実はトリビアな注目ポイントです。
<作品情報>
クリミナル・タウン
2018年8月25日から新宿シネマカリテほか全国順次公開
監督・脚本:サーシャ・ガヴァシ
原作:サム・マンソン「クリミナル・タウン」(ハヤカワ文庫)
出演:アンセル・エルゴートン、クロエ・グレース・モレッツ、デヴィッド・ストラザーン、キャサリン・キーナー ほか
©️2016 November Criminals Holdings, LLC.
公式サイト http://gaga.ne.jp/criminaltown/
八雲ふみね fumine yakumo
大阪市出身。映画コメンテーター・エッセイスト。
映画に特化した番組を中心に、レギュラーパーソナリティ経験多数。
機転の利いたテンポあるトークが好評で、映画関連イベントを中心に司会者としてもおなじみ。
八雲ふみね公式サイト yakumox.com
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