『音量を上げろタコ!』は小ネタがジワジワと笑いのツボを刺激する!?
©2018「音量を上げろタコ!」製作委員会
こんにちは、八雲ふみねです。
今回ご紹介するのは、現在公開中の『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』。
八雲ふみねの What a Fantastics! ~映画にまつわるアレコレ~ vol.178
驚異の歌声を持つロックスターのシン。
カリスマ的人気を誇る彼には、実は大きな秘密があった。
それは、彼の歌声は“声帯ドーピング”というオキテ破りな方法で作られたものだったのだ。
長年にわたる“声帯ドーピング”の副作用で喉に限界を覚え、焦りと恐怖を抱えるシン。
そんな折、シンはあるストリートミュージシャンに出会う。
それは、異様に声が小さいシンガー、ふうかだった…。
©2018「音量を上げろタコ!」製作委員会
独自の世界観で映画界を爆走する!三木聡監督5年ぶりのオリジナル作品。
言われてみると確かに、ロックシンガーの歌声はとにかく大きい。自分の思いを伝えたいと思うほどに自然と声を張り上げ、その熱量が観客を酔わせ、ミュージシャンのカリスマ性にもつながっているのかもしれません。
でももしも、カッコいいはずのロックシンガーの歌声が、どんなにマイクの音量を上げても小さかったら…。
そんな“ロックあるある”と、その真逆となる“タラレバ”から生み出されたストーリー、それが『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』です。
主人公のシンを演じるのは、俳優としてだけでなくグループ魂のボーカルとしても活躍する阿部サダヲ。
そして、ふうか役には吉岡里帆。
初タッグとは思えないコンビネーションの良さで作品をパワフルに引っ張っています。
またシンのレコード会社の担当者・坂口役を千葉雄大が熱演。自身初のぶっ飛びキャラで、可愛いだけじゃない新たな魅力を発揮しています。
さらに田中哲二、小峠英二(バイきんぐ)らが三木組に初参戦。
人気俳優たちが毒っ気全開でスクリーンを暴れまくる姿に、痛快さを覚える人も多いはず。
©2018「音量を上げろタコ!」製作委員会
笑いのツボがジワジワ効いてくる… あなたも“沼”にハマってみる?!
メガホンを取ったのは、『転々』『インスタント沼』などオリジナルな作風と笑いのエッセンスを持つ、三木聡監督。今作では原案から小説・脚本まで手がけ、5年ぶりの新作となりました。
三木聡監督作品が放つ独創的すぎる世界観は、必ずしも万人ウケするものではないかもしれませんが、私は長編監督デビュー作の『イン・ザ・プール』を観た時からの大ファン。シニカルな笑いを交えながら描き出す人間の本質にこそ、三木監督作品の醍醐味を感じずにいられません。
そんな三木作品に欠かせないのが、常連俳優の面々。眼帯姿がミステリアスな麻生久美子、やたら声がデカいふせえり、何故かいつも“寄り目”の松尾スズキ、よろこびソバを売る森下能幸にレコードをタダで配る岩松了。セがありすぎるキャラ設定に、三木監督の映画をこれまで観たことがある人なら悶絶すること間違いなし。そう、この方たちがシュールすぎる三木ワールドを支えているといっても、過言ではないのです。
小ネタを随所に散りばめ、観れば観るほどまるで沼にハマっていくかのようにその魅力に取り憑かれてしまう。このジワジワくる“中毒性”こそ、三木聡監督作品の持つ最大の魅力と言えるでしょう。
©2018「音量を上げろタコ!」製作委員会
<作品紹介>
音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!
2018年10月12日(金)から全国ロードショー
監督・脚本:三木聡
音楽: 上野耕路
主題歌:SIN+EX MACHiNA「人類滅亡の歓び」(作詞:いしわたり淳治 作曲:HYDE)(Ki/oon Music)
ふうか「体の芯からまだ燃えているんだ」(作詞・作曲:あいみょん)(Ki/oon Music)
出演:阿部サダヲ、吉岡里帆、千葉雄大、麻生久美子、小峠英二(バイきんぐ)、片山友希、中村優子、池津祥子、森下能幸、岩松了、ふせえり、田中哲司、松尾スズキ ほか
©2018「音量を上げろタコ!」製作委員会
公式サイト http://onryoagero-tako.com/
八雲ふみね fumine yakumo
大阪市出身。映画コメンテーター・エッセイスト。
映画に特化した番組を中心に、レギュラーパーソナリティ経験多数。
機転の利いたテンポあるトークが好評で、映画関連イベントを中心に司会者としてもおなじみ。
八雲ふみね公式サイト yakumox.com
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