映画コラム

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2019年01月02日

2019年公開の期待作!ディズニー無双を止める作品は現れるか!?

2019年公開の期待作!ディズニー無双を止める作品は現れるか!?



(C)2019 MARVEL



音楽映画やインド映画が業界をけん引した2018年が終わり、新たに迎えた2019年も例年にないほどの話題作が公開を待っている。早速だが今回は、筆者が独断で選んだ今年期待の作品を駆け足で紹介していきたい。もちろんリストから漏れているからといって、「期待していない」ということは絶対にないので悪しからず(一度リストアップしてみたらとんでもない本数になったので泣く泣く本数を絞りました)。

新年早々、熱い作品が連続公開!



まずは1月からチェックしていくと、11日に『蜘蛛の巣を払う女』が公開。北欧のミステリー小説『ミレニアム』シリーズの映画版『ドラゴン・タトゥーの女』最新作で、前作を監督したデヴィッド・フィンチャーが製作総指揮を務め、監督には『ドント・ブリーズ』のフェデ・アルバレスを迎えている。今回は主人公リスベット(クレア・フォイ)の過去を紐解きながら、アルバレス監督らしい息の詰まるような引き締まった構図や、リスベットの双子の姉妹カミラの冷たい存在感、アクションシーンなど前作に劣らない映像が展開しそう。

同じく11日公開の『クリード 炎の宿敵』は、『ロッキー4/炎の友情』を回収する物語に。今回アドニス(マイケル・B・ジョーダン)とロッキー(シルヴェスター・スタローン)の前に立ちふさがるのは、アドニスの父アポロの命をリング上で奪ったイワン・ドラコ(ドルフ・ラングレン)とその息子ヴィクター(フロリアン・ムティアヌ)。前作はライアン・クーグラーが監督を務め、新世代への継承とロッキーが漂わせる哀愁感が絶妙にマッチングしていたが、今回はスティーブン・ケイプル・Jr.監督にバトンタッチ。音楽は前作に続きルドウィグ・ゴランソンが熱いロッキー&クリードサウンドを奏でる。



(C)2018 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.



1月18日公開の『ミスター・ガラス』は近年見事な大復活を果たしたM・ナイト・シャマラン監督の最新作で、『アンブレイカブル』『スプリット』に続く物語。『スプリット』自体にアッと驚く仕掛けが施されていたわけだが、本作ではいよいよブルース・ウィリス、サミュエル・L・ジャクソン、ジェームズ・マカヴォイ、アニヤ・テイラー=ジョイが本格合流。前2作も観客を手のひらで意のままに転がし続けたシャマラン監督が、今回も“特殊能力”をキーワードにして三度予測不能のストーリーを展開するに違いない。

同日公開の『マイル22』はみんな大好き『バトルシップ』のピーター・バーグ監督の最新作。『ローン・サバイバー』や『バーニング・オーシャン』でも組んでいるマーク・ウォールバーグを主演に迎え、重要参考人を空港までの22マイルを警護するCIAの護送作戦を描く。重要人ノアーを演じるのは、『ザ・レイド』でインドネシアの武術“シラット”を世に知らしめたイコ・ウワイス。予告編ではバーグ監督らしい街中でのド派手な爆発に次ぐ爆発、ウワイスの格闘術の一端を見ることができる。「ウワイス、護衛いらなくない?」というツッコミは野暮というものだ。



(C)2019「十二人の死にたい子どもたち」製作委員会



1月25日に公開される『十二人の死にたい子どもたち』は、冲方丁の小説を原作に『トリック』シリーズや『イニシエーション・ラブ』を手掛けた堤幸彦監督が映画化。廃病院に集まった自殺志願の少年少女12人の前に“13人目”の死体が現れたことで疑心暗鬼に陥っていく。杉咲花や新田真剣佑、北村匠海、高杉真宙ら若手俳優が集結し、これまで謎とされてきた4番目のキャラクター・リョウコを橋本環奈が演じていることが発表されたばかり。13人目の死体をめぐる謎をどのように展開し、そして畳んでいくのか。堤マジックに期待したい。



(C)Courtesy of Amazon Studios



同じく25日公開の『サスペリア』は、ダリオ・アルジェントの不朽の名作を『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ監督がリメイク。ダコタ・ジョンソンやティルダ・スウィントン、クロエ・グレース・モレッツに加え、オリジナル版からジェシカ・ハーパーが出演している。オリジナル版では狂気的な映像に全く引けを取らないゴブリンによるサウンドも有名だが、今回はレディオヘッドのトム・ヨークが音楽を担当。寄宿学校を舞台に繰り広げられる悪夢的な物語に音色を添える。

新宿の名スイーパー、20年ぶりの帰還



2月に入ると、1日には言わずと知れたディズニーの名作『メリー・ポピンズ』の55年ぶりの続編となる『メリー・ポピンズ リターンズ』が公開。大恐慌時代を舞台に、マイケル・バンクス一家の前に再び魔法使いのメリー・ポピンズが現れる。『シカゴ』や『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』『イントゥ・ザ・ウッズ』のロブ・マーシャルがメガホンをとり、メリー・ポピンズ役のエミリー・ブラントのほか、リン=マニュエル・ミランダ、ベン・ウィショー、コリン・ファース、メリル・ストリープといった豪華キャストが集結している。



(C)2018 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved



2月8日公開の『劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ』は、約20年ぶりとなるアニメ『シティーハンター』の最新作。冴羽獠役の神谷明はもちろん、伊倉一恵、玄田哲章らオリジナルキャストが続投し、ほかにも山寺宏一・飯豊まりえ・徳井義実のゲスト声優として参加する。予告編からは既にこれまでと変わらないアクションなど冴羽獠のカッコよさや、シティーハンターそのものの魅力が存分に伝わってきている。劇場で「Get Wild」が聴けたなら、それだけで筆者は落涙するかもしれない。

同日公開の『アクアマン』は既に本国アメリカで大ヒットを記録しており、改めてホラー畑出身のジェームズ・ワン監督の高い娯楽性が評価されている。ジェイソン・モモア演じるアクアマン自体は『ジャスティス・リーグ』に登場しているが、満を持しての単独作品となった。なお音楽を担当しているのは、同じDC作品で『ワンダーウーマン』を手掛けたルパート・グレッグソン=ウィリアムズ。ド迫力の海中バトルをどのように引き立てるのか耳を傾けたい。



(C)2018 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC Comics



2度の公開延期を経て2月22日にようやく落ち着いた『アリータ:バトル・エンジェル』は、木城ゆきとの漫画『銃夢』をロバート・ロドリゲス監督が実写映画化。ジェームズ・キャメロンが製作だけでなく脚本にも携わり、ロドリゲスをバックアップしている。スクラップ場でイド(クリストフ・ヴァルツ)に拾われたアリータ(ローサ・サラザール)が、自身の記憶を取り戻すため戦い抜いていく姿を描く。音楽は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のジャンキーXLことトム・ホルケンボルフが担当。



(C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation



ティム・バートンがディズニーアニメの名作を実写化



3月1日公開の『映画ドラえもん のび太の月面探査記』は劇場シリーズ39作目で、直木賞作家にして大の「ドラえもん」好き(小説の章題にひみつ道具の名前をつけたこともあるほど)である辻村深月が脚本を担当している。今回は月の裏側にある“ウサギ王国”を舞台に、謎の転校生ルカとのび太たちの友情と冒険を描く。ルカ役の皆川純子に加えゲスト声優に広瀬アリス、柳楽優弥、吉田鋼太郎、ロッチ・中岡創一、サバンナ・高橋茂雄と豪華な布陣となっている。



(C)2018 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC



3月8日公開の『運び屋』は御年88歳の巨匠クリント・イーストウッドが、『グラン・トリノ』以来、約10年ぶりに自身の監督作に出演したサスペンス作品。この年齢にして監督・主演を兼ねるという飽くなき創作意欲の強さからも、本作に込められた熱量が推し量れるというもの。実際にあった事件をベースに、幾度となく麻薬を運び続けた伝説の老男性を描いた本作は予告編の段階でただならぬ緊張感が漂う。ブラッドリー・クーパーやアンディ・ガルシアといった名優との共演も楽しみな一作。

3月22日公開の『バンブルビー』は、マイケル・ベイ監督の『トランスフォーマー』シリーズ初となるスピンオフ作品。ベイとスティーブン・スピルバーグが製作総指揮を担当し、『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』で高い評価を受けたトラビス・ナイトが監督を務めている。主演のヘイリー・スタインフェルドとバンブルビーが織りなす友情がこれまでのシリーズにはなかった温かみを感じさせ、バンブルビーのどこか子どもじみた行動もなんとも愛らしい。一方でトランスフォームシーンやアクションシーンもしっかり描かれているようなので、シリーズと見比べてみるのも面白いかもしれない。



(C)2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved



3月29日公開の『ダンボ』は、ディズニーアニメーションの名作を鬼才ティム・バートンが実写映画化。既に予告編では“主人公”であるダンボの飛翔シーンも見られ、視覚効果による完成度の高さも伺える。主演にコリン・ファレルを迎えたほか、マイケル・キートンやダニー・デヴィート、エヴァ・グリーンといったバートン作品ゆかりの面々が集っているのもポイント。また音楽を担当するのはバートン監督の盟友ダニー・エルフマンで、2人がタッグを組むのは『ビッグ・アイズ』以来となる。果たして“ピンクのゾウ”のシーンは描かれるのか?

クレヨンしんちゃん・ミーツ・マッドマックス



4月12日に公開される『名探偵コナン 紺青の拳』は劇場版シリーズ23作目で、“月下の奇術師”怪盗キッドと“蹴撃の貴公子”京極真をフィーチャー。劇場版初となる海外・シンガポールを舞台にブルーサファイアの“紺青の拳”をめぐる物語が描かれる。劇場版シリーズは近年作品ごとに自己興収記録を更新し続けており、前作『名探偵コナン ゼロの執行人』に至っては全世界興収で110億円ものヒットを記録。キーパーソンの安室透を指して“100億の男”と呼ばれるまでになった。今回は国内興収だけで100億円突破できるかがポイントになりそう。

4月19日には『キングダム』『シャザム!【仮!】』『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン 失われたひろし』と話題作が一挙公開。『映画クレヨンしんちゃん』では野原一家が(今更だけれど)ハネムーンでオーストラリアを訪れ、謎の仮面集団に父ひろしが連れ去られてしまう。さらに世界中からトレジャーハンターも集まり、ひろしをめぐって怒涛の争奪戦が展開。タイトルからも分かる通り『インディ・ジョーンズ』シリーズへオマージュが捧げられ、さらにオーストラリアが舞台とあって『マッドマックス 怒りのデス・ロード』までパロディにしているので映画好きにはたまらない作品になるかも?

目下のところ2019年の世界興収で最も大きな注目を浴びているのが、4月26日公開の『アベンジャーズ/エンドゲーム』。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の後半戦でもある本作では、サノスの指パッチンによる“全宇宙人口の半減化”を生き延びたヒーローたちがどのようにサノスに立ち向かうことになるのか。公開された予告編でちらりと映ったスコット・ラングや、出演が噂されるティルダ・スウィントン演じるエンシェント・ワンがどのような立ち位置で登場するのかが鍵を握りそうだ。またMCUの総決算となる物語で、それぞれのヒーローがどのような結末を迎えるのかも気になるところ。

日付は決まっていないが4月公開となっている『ハロウィン』は、1978年公開版『ハロウィン』の正統続編としてデビッド・ゴードン・グリーン監督が40年後を描いた。第一作のヒロインを務めたジェイミー・リー・カーチスが復帰を果たしただけでなく、シリーズの生みの親でもあるジョン・カーペンターが製作総指揮として参加。さらにカーペンター自身が音楽を担当して往年のテーマ曲を、より不気味な音色に仕立てて蘇らせているのも嬉しい。



(C)2018 UNIVERSAL STUDIOS



日本の大怪獣、ハリウッドを総攻撃



5月公開予定の『名探偵ピカチュウ』は、「ポケットモンスター」シリーズの同名タイトルを『グースバンプス モンスターと秘密の書』のロブ・レターマン監督が実写映画化。ピカチュウをはじめとしたポケモンたちがモフモフの実写キャラとして登場し、デッドプールことライアン・レイノルズがピカチュウの声を担当しているのも面白い。物語の展開とともにピカチュウ・レイノルズがどんな演技を見せてくれるのか楽しみにしたい。

5月31日公開の『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は、ギャレス・エドワーズ監督がクリエイトした『GODZILLA ゴジラ』の続編。『キングコング:髑髏島の巨神』のおまけ映像にあった通り、本作にはモスラ、ラドン、キングギドラが登場。公開された予告編ではそれぞれの怪獣が暴れまわる姿が映し出されているが、飛翔するだけで街が吹き飛ぶラドンやゴジラとタイマンをはるキングギドラなど全てが規格外の映像に。終末観を漂わせる世界観を構築したのは日本版ゴジラシリーズの大ファンであるマイケル・ドハティ監督で、監督は音楽担当のベアー・マクレアリーが“ゴジラのテーマ”を鳴らすことを予告している。

既に楽しそうなガイ・リッチー版アラジン



6月7日公開の『アラジン』はもちろんディズニーアニメーションの名作『アラジン』を実写リメイクしたものだが、やたら映画ファンに愛されているガイ・リッチーが監督を務めているのでそれだけで話題になりそうな予感。さらに先日公開されたキャラクタービジュアルでは、ウィル・スミス演じる魔法使いのジーニーがほぼウィル・スミスだったことも注目を集めたばかり。本編ではCGI処理されているそうだがそのクオリティやいかに。ちなみに音楽は大御所アラン・メンケンが手掛けるほか、『ラ・ラ・ランド』『グレイティスト・ショーマン』のベンジ・パセック&ジャスティン・ポールも参加している。



(C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation



6月公開予定の『X-MEN:ダーク・フェニックス』はX-MEN最強にして最大の闇とされているジーン・グレイの暴走を描いた作品。これまで『X-MEN』シリーズや『デッドプール』シリーズなどで製作や脚本を担当してきたサイモン・キンバーグが自らメガホンを握り、ジーンによる人類滅亡の危機を描く。音楽を担当するのは『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』を最後に「ヒーロー映画はもうやらない」と宣言していたハンス・ジマー。あっさりと前言撤回したことはさておき、これまでバットマンやスーパーマン、スパイダーマンの音楽を手掛けてきたジマーが初めて『X-MEN』シリーズに登板する。

2019年下半期も怒涛の公開ラッシュ



7月12日公開の『トイ・ストーリー4』は、もちろんピクサーの『トイ・ストーリー』シリーズ最新作。“完璧なラスト”とまで言われた『トイ・ストーリー3』から9年を経ての続編に、驚きを隠せない『トイ・ストーリー』ファンも多いはず。不安を一掃する傑作となるか、それとも“蛇足”となってしまうのか、こればかりは公開されないことには分からない。



©2019 Disney/Pixar. All Rights Reserved.



夏以降の公開待機作としては、クリス・ヘムズワース&テッサ・トンプソン共演の『メン・イン・ブラック:インターナショナル』、大ヒットドラマがスクリーンを飾る『劇場版 おっさんずラブ(仮題)』、『ペット2』『スター・ウォーズ エピソード9(仮題)』など大作や話題作が目白押し。

また筆者個人として期待しているのが、ディズニーアニメ『ライオン・キング』の実写映画化『THE LION KING(原題)』(公開は2019年内)。こちらは実写版『ジャングル・ブック』を大成功に導いたジョン・ファブローが監督しており、本物の動物と見分けが全くつかない予告映像は鳥肌が立つほどだ。さらに音楽面では作詞・作曲のエルトン・ジョン&ティム・ライス、スコアのハンス・ジマーと、アニメ版と同じチームを招集。同チームは揃ってアニメ版でオスカーを戴冠しているので、実写版における“本気度”が伺える。

ざっと並べただけでもディズニー作品がひしめき合っている状態で、ほかの作品が“対抗馬”となりそうな今年の映画興行シーン。どのような作品が興収ランキングを賑わせることになるのか、しっかり注目していきたい。

(文:葦見川和哉)

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