特撮向上委員会
『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』最終回!この1年を振り返る
『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』最終回!この1年を振り返る
ついに最終回を迎えた『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』。
前スーパー戦隊と現スーパー戦隊が共闘するのが醍醐味だった年に一度のお祭り作品のVSシリーズを、大胆にレギュラー作品へと昇華させた今作。
初めてこのタイトルを聞いた時、2つのスーパー戦隊を同時に描くなんて、どっちつかずになってしまわないかなどと思ってしまいましたが、そんな心配はまったく不要でした。
「ルパパト」の感想を一言で言うならば、いい意味で展開が遅い作品。
近年、速い展開でファンの心を掴む作品が多い中、物語が急展開することは少ないながらも一話一話じっくり丁寧にそれぞれのキャラクターを積み上げていきました。
僕的に外せない軸だったのは随所にはさまれる、魁利達の過去の悲劇。
明るい話やギャグ回の時でも悲劇がしっかり描かれているので、重いものを背負ってる感が損なわれません。
その要因はザミーゴの出し方。
今までの作品なら中盤以降に満を持して登場させ、そのまま最終決戦にいくか、中盤あたりのピークで倒されて物語の山場に一役買うところだと思うんですが、結構序盤も早々に登場させてどうなるのと思ったら出てこなくなって、忘れた頃にまた出てきて。
このザミーゴがちょいちょい出てくることで魁利達がザワつき、僕らはなぜルパンレンジャーが結成されたのかを思い出したり、大事な人がなかなか返ってこないと焦らされたり、意外と今までになかった効果をもたらしてくれました。
ほかには朝加圭一郎の描き方が秀逸でした。
絶対的な正義感をこれでもかと見せ、ルパンレンジャーへの敵対心を一貫して持ち続けつつも、世の為人の為と魁利達のことを思い、おせっかいするこのバランスが絶妙で、朝加圭一郎がルパンレンジャー、そして魁利達にとるそれぞれの距離感が「ルパパト」の大きな魅力のひとつと言っても過言ではありません。
「ルパパト」が始まった当初に宇都宮孝明プロデューサーがおっしゃられていた快盗、警察を軸にするのではなくVSを軸にするという言葉の通り、2戦隊が仲間になることは決してせず、共闘する際も両スーパー戦隊それぞれの目的の為には、協力せざるを得ないという状況をきっちり作ったうえで闘うという丁寧さ。
この丁寧の積み重ねが作品後半に怒涛の勢いを生み出し、40話辺りまでに培ってきたものがその後一気に花咲くという爽快感を与えてくれました。
デストラを倒す回のルパパトの共闘なんて本当に神回で、これが最終回でいいんじゃないかなどと思いましたが、そこからさらに盛り上がっていくルパパト。
そしてついに訪れた魁利達の正体バレ。
8話で一旦正体バレかけたのに、コグレさんによるアリバイで終盤まで安易にバラさずにじっくり引っ張って、疑われながらも関係性を熟成させていく。
これも丁寧な作品づくりのなせる技。
それがあってからの、正体を知った朝加圭一郎の発言は胸の深くに正にグッとくる。
快盗逮捕への執着を見せていた途中までの心情とは一転して、苦しむ魁利達を救う為に警察という立場が邪魔になるなら辞めてもいいと口にする朝加圭一郎。
作品冒頭だったら絶対にでないセリフ。
毎週対決の裏で少しずつ信頼を蓄積したからこそ言えること。
僕たちはこのシーンを見たくて1年間見てきたんだとスッキリする感じがありました。
まだこれを書いてる時点では最終回は見れていません。
なのでどのような展開になるかはわかりませんが、前フリがここまでしっかりしてるスーパー戦隊はなかなかありません。
どう転んだって面白いはずです。
テレビ放送のスーパー戦隊シリーズで初めてVSと銘打った今作品。
しかと最後を見届けたいと思います。
(文:篠宮暁)
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