映画コラム

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2019年04月20日

『愛がなんだ』非リア充必見の恋愛映画である「5つ」の理由!

『愛がなんだ』非リア充必見の恋愛映画である「5つ」の理由!



4:豪華若手俳優がみんな超ハマり役! 
成田凌のアドリブは必見!


本作を語るにおいては若手俳優たちの魅力は外せません。まず何よりも訴えておきたいのは、“ダメなほうの成田凌の魅力”が大爆発しているということ! 劇中の成田凌はリアルにダメだけど、ちょっと愛おしくてキュートで、でもやっぱりちょいクズで時々イラっともするけど、でもどこか憎めなくて母性本能をくすぐられ、でも「お前はやっぱりダメだわ!」とマジメに怒りたくもなるっていう……ええい!もう!これは言語化不可能だよ!成田凌のファンという方は明日地球が終わろうとも劇場に駆けつけてください!そのタイプの最高の成田凌をずっと眺められるから! 詳しくは観て欲しいのですが、“追いケチャップ”のシーンの衝撃も半端ないよ!しかもこの追いケチャップは脚本にない成田凌のアドリブだったのだとか。なんだよ!モテる男が自然とやるやつじゃないか!ちくしょう(嫉妬)!



©2019映画「愛がなんだ」製作委員会




そしてヒロインを演じる岸井ゆきのは始終「なにこの可愛い生き物」と頭の中で尊さを叫ばなくてはならなくなります(本当に声を出すと周りのお客さんの迷惑になるのでやめましょう)。そして人懐っこさを通り越して“粘着質”な若干の危うさを感じさせるキャラにもハマりまくりで、なんと劇中では“ラップ”も披露! 2017年末に公開され各界から絶賛された『勝手にふるえてろ』の松岡茉優に通じる、「本当にイタイんだけど応援したくなる」最高のヒロインでしたよ!



©2019映画「愛がなんだ」製作委員会



さらに『葛城事件』で鮮烈な印象を残していた若葉竜也が、これまたリアルなダメな青年にハマりまくりです。原作から活躍を膨らませた“決して悪いヤツじゃない”キャラは、誰でも感情移入がしやすいのではないでしょうか。



©2019映画「愛がなんだ」製作委員会




深川麻衣は『パンとバスと2度目のハツコイ』でも今泉監督とタッグを組んでいましたが、そちらでの恋愛に自信がなかったキャラや、本人のパブリックイメージとは大きく異なる“自由奔放で我が道を行く”キャラクターになっています。彼女の役もまた別ベクトルでダメな人なのに、やはり人間的な魅力にも溢れているのです。



©2019映画「愛がなんだ」製作委員会




そして強烈なキャラを演じる江口のりこは、もう何かを喋るだけで笑えてきます。初登場時のインパクトもさることながら、“意外と正論も言っている”飄々とした性格になっていて、トンデモさと「こういう人いるいる!」というリアルさを両立させた、「彼女以外には演じられないのでは?」と思うほどの好演をみせていました。



©2019映画「愛がなんだ」製作委員会



さらに筒井真理子、片岡礼子、穂志もえか、中島歩も脇を固めています。登場人物がごく最小限で、それぞれのキャラが群像劇の中で生き生きとしているというのも今泉監督らしさ。実力派若手俳優の魅力を再発見したいという方にとっても、『愛がなんだ』は必見作なのです。



5:「恋愛ってめんどくさいなあ」と思っている方にこそ必要な映画だ!



総じて『愛がなんだ』は、リアルでイタい恋愛の「あるある」の数々に共感しやすく、演出や脚本や実力派若手俳優の演技に到るまで完璧と言える出来栄え、幅広い方に掛け値なしでオススメできる映画に仕上がっていました。言うまでもなく、今泉監督の作品を観たことがないという方や、原作小説を読んだことがないという方も大いに楽しめるでしょう。

なお、最初に「恋愛について“非リア充”であることを自覚している人に絶対に観て欲しい」と掲げましたが、今泉監督自身が「この作品に限らず、僕の映画は恋愛が順調でリア充な人には必要ないんです」とコメントしたりもしています。それは今泉監督が劇中のような“めんどくさい恋愛”が決して悪いことではないと考えている、むしろそのめんどくささこそに愛情を注いで描く作家だからなのでしょう。逆に言えば、『愛がなんだ』および今泉監督の作品は「恋愛ってめんどくさいなあ」と思っている、やはり恋愛について非リア充の人にこそ“必要”な映画であると思うのです。

最後に、原作にはない“象の飼育員”の描写(原作にもあった動物園に行くシーンを少しだけ膨らませている)が重要な意味を持っている、ということをお伝えしておきます。これは今泉監督によると「群盲象を評す」というインドの寓話から発想を得たそうで、その意味は「物事や人物の一部、または一面だけを理解して、全てを理解したと錯覚してしまう」ということ。劇中のヒロインの“視野の狭さ”は、その寓話とリンクしているのです。そんなヒロインがどのように成長し、どのような視野を新たに持つようになるのか……映画を観終わると、感慨深いものがあるはずですよ。

(文:ヒナタカ)

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