無声映画の楽しさを知るための「7つ」のポイント
3:無声映画時代を象徴する
チャップリンらの喜劇
無声映画ということでもっともポピュラーに挙げられるのは、チャールズ・チャップリンやバスター・キートン、ハロルド・ロイドらによるドタバタ喜劇ではないでしょうか。
ご承知の通り、無声映画には音がないことから、あくまでも映像そのものでドラマを目で見せて(魅せて)いく必要があったわけですが、チャップリンらによる文字通り身体を張ってのドタバタ・アクションは言葉による説明を抜きにした映画そのものの面白さと直結し、世紀を超えて今の観客が見ても大いに楽しめるものとして屹立しています。
(現在もジャッキー・チェンやトム・クルーズなどが、こうした無声映画時代のスピリッツを真摯に継承しているように思えます)
「映画の基本はアクションである」ということの実践は、無声映画だからこそ発展していったわけですが、次第にそれがエスカレートして数々の危険なアクションを伴うものへ導かれていきます。今ではCGで処理できることも当時はすべてリアルに行わなければいけなかったので、その危険度も相当なものがあったことでしょう。
また最近チャップリン映画のメイキング風景を収めたフィルムが発見され、それらを見ますとスマートでコミカルかつリズミカルな映像の動きの数々が、実は幾度もNGテイクを繰り返しながらタイミングを合わせて成し得ていたという事実に衝撃を受けます。
(ジャッキー・チェン映画のエンドタイトルNG集を思い起こしてもらえれば、きっとご理解いただけるのではないかと!)
チャップリン、キートン、ロイド主演の無声映画は割かしソフト化されており、特にチャップリン作品はBlu-ray化やTV放送、配信もされています(日本のベテラン声優陣が無声映画に声を吹き込んだヴァージョンも先ごろ製作されましたね)。
まだ彼らの奮闘を見たことのない若い世代も楽しめること受け合いですので、機会があればぜひ接していただければと思います。
(C)2019「カツベン!」製作委員会
映画『カツベン!』でも、クライマックスで彼らの映画にオマージュを捧げたと思しきドタバタ追っかけシーンが「これぞ無声映画の醍醐味だ!」と言わんばかりに登場します。
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