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2019-12-29

コラム

『野獣処刑人 ザ・ブロンソン』に映画ファン騒然!え、CGじゃないのこれ?



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アラフォー以上の世代には懐かしい、あの男が帰ってきた!

70年代アクション映画の象徴であり、惜しくも2003年に81歳でこの世を去った、あの名優チャールズ・ブロンソン本人にしか見えない宣伝ポスターが話題の新作映画『野獣処刑人 ザ・ブロンソン』が、ついに12月20日から日本でも劇場公開された。

確かにポスターを見る限りでは、まるでブロンソン本人主演の新作映画? そう勘違いしてしまいそうだが、事実ネット上でも、「実際に映画を観たら、本当にブロンソンだった!」との声が多数寄せられている本作。

その内容と出来、そして実際に動く姿は、果たして評判どおりのものだったのか?

ストーリー


人身売買組織、麻薬の密売人、ギャング同士の抗争など、凶悪犯罪が蔓延する一方の街に現れた謎の男"K"(ロバート・ブロンジー)。必殺の銃弾で街のダニどもを次々と処刑していく彼は、地元ラジオ局の人気DJダン(ダニエル・ボールドウィン)の協力を得て、麻薬密売組織のボス、タイレル(リチャード・タイソン)を追い続ける。
人里離れた森林でついに対決する"K"とタイレル。そこで明かされる二人の過去にまつわる因縁とは?


あの伝説のアクションスターが帰ってきた!



CGで再現されたブロンソン? 誰もが一瞬そう思うほどの存在感で主役を演じるロバート・ブロンジーを観るだけでも、充分に劇場に足を運ぶ価値のある本作。

なにしろ別に無理に似せようとしなくても、ただ黙って立っている姿がブロンソンでしかないのが凄い!

しかも見る角度によって、「あ、この顔は、あの映画のブロンソンに似てる」、そんな楽しみ方ができるのも、昔から彼を追いかけてきたファンにとっては、嬉しいサービスと言えるのだ。



肝心な本編の内容も、決してハデな爆破やCGに頼ったものではなく、車椅子の娘を抱えるシングルマザーを陰ながら見守る主人公"K"の過去に隠された秘密や、自分の過去の償いのために悪人を追い続けるその姿は、まさに70~80年代アクションの主役たちを現代に蘇らせたもの。

悪人たちには一切容赦しないが、社会的弱者や正義の心を持つ者には慈悲の心で接する"K"こそ、男たちの中に今も生き続ける"ブロンソン魂"を具現化させた存在! そう思わずにはいられなかった。

80年代アクションとブロンソン映画へのオマージュ満載の内容は、もはやチャールズ・ブロンソンのPV、あるいは究極のイメージビデオとも言える、この『野獣処刑人 ザ・ブロンソン』。

令和元年の締めくくりには最適な作品なので、ぜひ劇場で!

チャールズ・ブロンソンとは、何者だったのか?



60年代の西部劇や戦争映画への出演を経て、70年代の全盛期に数々の名作アクション映画を生みだし、更に80年代以降もアクション映画に主演するという、実に息の長いキャリアを誇った永遠のアクション俳優、それがチャールズ・ブロンソン!

特に日本では、1970年に男性化粧品メーカーの化粧品「マンダム」のテレビCMに起用されたことで、子供たちにもその名前と顔が知られるほどの人気者となった。

本作の元ネタにもなっている、彼の代表作『デス・ウィッシュ』シリーズや、アクションを離れた静かな名演を見せた90年代の傑作『インディアン・ランナー』など、その時代毎に観客の記憶に残る作品を世に送り出してきたブロンソンだが、中でもオススメの作品は、やはりトレードマークのヒゲを剃って素手の格闘に挑んだ、1975年の作品『ストリートファイター』だろう。

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なぜなら、すでにブルース・リーの出現により、映画の中の格闘シーンがボクシングのような殴り合いから、空手・カンフーのように技と蹴りを多用するアクションへの移行が始まっていた1975年に公開された本作は、アジアのアクションに対するブロンソン流の答えと言える内容に仕上がっているからだ。

男対男、一対一の素手の殴り合いで勝ち上がっていく"ストリートファイター"を演じるブロンソンは、この当時すでに54歳なのだが、作品中で上半身裸になると、とてもそんな年齢には見えないのが凄い!

後年制作された、ジャッキー・チェンの『バトルクリーク・ブロー』にも通じる内容は、もしもブルース・リーが生きていたら、きっとブロンソンと共演・対決していたのでは? そんな夢を映画ファンに与えてくれるものとなっているのだ。

もちろんその他にも、近年リメイクされた『メカニック』や『狼よさらば』(『デス・ウィッシュ』)など、彼の主演作品は一度観たらその強烈な存在感にハマる名作ばかりなので、興味を持たれた方はぜひ一度ご鑑賞頂ければと思う。

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最後に



ネット上でも多くのファンが発言していた通り、まさにブロンソンが現代に蘇ったかのようなアクション映画に仕上がっていた、この『野獣処刑人 ザ・ブロンソン』。

監督のレネ・ペレスがインタビューに答えている通り、『狼よさらば』の続編である『ロサンゼルス』以降の、80年代ブロンソン映画の再現を目指しただけに、画面の質感や登場人物たちのビジュアルへの再現度には、確かに監督の強い想いと、こだわりを感じずにはいられなかった。

なにしろ、単にソックリさんを出演させて1本映画を作りましたというレベルではなく、オリジナルの『デス・ウィッシュ』シリーズへのオマージュシーンはもちろん、今は亡きブロンソンへのリスペクトや、80年代アクション映画への憧れが満載な本作は、ある世代以上の映画ファンにとっては堪らない内容の作品となっているのだ。

リアルタイムで彼の魅力に触れた世代だけでなく、映画館で観られなかった世代にも、ぜひ一度観て頂きたい作品なので、全力でオススメします!

(文:滝口アキラ)