『ヨンガシ 変種増殖』は食事中の鑑賞注意!寄生虫感染で大パニック!




通常は、主にAmazonプライム・ビデオで観られるオススメの韓国映画を紹介しているのですが、今回ご紹介するのは現在Huluで配信中の、2013年日本公開の韓国映画『ヨンガシ 変種増殖』です。

タイトルにある聞き覚えの無い言葉"ヨンガシ"とは、韓国語でハリガネムシという寄生虫を意味します。

本来は人間に寄生しないはずのハリガネムシが、突然変異で人間に寄生! 韓国全土を巻き込んでの感染パニックに発展するという内容ですが、新型コロナウイルス感染症の影響下にある現在の目で観ると、実にリアルに感じられる部分が多いのも事実。

寄生虫感染という珍しい題材に加えて、家族の命を救うために奮闘する主人公を、あえて特別なヒーローとして描かない点も興味深い作品なのですが、その内容と見どころとは、いったいどのようなものなのでしょうか?

ストーリー


株取引の失敗による損失で製薬会社の営業職に転職したため、家族との時間も取れないほど忙しい日々を送るジェヒョク(キム・ミョンミン)。ある日、全国の川辺で死因不明の変死体が相次いで発見され、ジェヒョクの弟で刑事のジェピル(キム・ドンワン)は捜査に乗り出す。
次第に増える変死体に韓国中がパニックに陥る中、その原因が突然変異したヨンガシ(ハリガネムシ)の寄生によるものだと判明!
爆発的な感染を抑えるため、政府が緊急対策本部を設置し感染者の隔離を行う中、ジェヒョクは妻と子供たちが大量の水を飲む姿から、彼らの感染を確信するのだが…。


人間に寄生する、ハリガネムシが怖すぎる!



自分たちが水中で繁殖するために、寄生した生物の行動をコントロールして喉の渇きを覚えさせ、水のある場所に向かわせる、このハリガネムシという寄生虫。

通常は人体に寄生しないはずのハリガネムシですが、映画の中では突然変異により人間の体内に寄生を開始!

河川を介して韓国中に感染者が続出するという、空前の大パニックが巻き起こることになります。

寄生された人々は次第に強烈な喉の渇きを覚えるようになり、大量の水をガブガブ飲むようになるのですが、成長したハリガネムシは、やがて体の外に出る時期を迎えます。

その頃になると人々は更に異常な渇きに襲われ、川やプール、トイレなどの水場を求めて狂ったように走りだすのですが、大量の感染者が次々に川に飛び込んだり、水槽に顔をつけて溺死する描写は、まさにゾンビ映画並の地獄絵図!

更に、ジェヒョクの家族の食事風景の微妙な変化や、韓国各地の川に浮かんだ死体の数で感染の拡大を表現するなど、普段の生活の中にジワジワ忍び寄る感染の恐怖をビジュアルで観客に分からせる点も、実に効果的と言えるのです。

加えて、体内で成長する寄生虫がいつ外に出ようとするのか、症状の悪化が外からは見えないだけに、迫るタイムリミットへの緊迫感が持続するのは見事!

隔離された感染者にも有効な治療法がないまま、ジェヒョクと弟のジェピルは家族の命を救うために決死の捜査を続けるのですが、その過程で今回の感染に隠された巨大な陰謀を知ることになります。

人間の腸に融合して寄生しているため、手術で摘出不可能なハリガネムシに対する唯一の特効薬に隠された陰謀とは何か?

鑑賞後は、思わず水に入るのを躊躇してしまいそうな、この『ヨンガシ 変種増殖』。

CGで描かれるハリガネムシがリアルなため、食事中の鑑賞には若干の注意が必要かもしれませんが、あえて全力でオススメします!

最後に



主人公を強いヒーローとして描かず、家族を救うために悪戦苦闘しながらも決して諦めない等身大の人間として設定した点が素晴らしい、この『ヨンガシ 変種増殖』。

この人間的な弱さを持った主人公の設定のおかげで、唯一の特効薬をやっと手に入れたジェヒョクが取った人道的行動に観客が共感・納得できることになり、その後の薬を求めて群がる人々の利己的な行動との対比が、より際立つ効果を生むのです。

更には寄生虫感染による大パニックに加えて、自社の利益目的で恐ろしい計画に手を染める製薬会社や、株取引で失敗して人生が大きく変わってしまう人々の姿など、現代社会が抱える様々な問題を盛り込んだ現実的内容に仕上がっている本作。

前述した主人公の設定に加えて、こうした現実的な背景が描かれている点も、人体に寄生するハリガネムシという、ありえない設定や展開に抜群の説得力を与えてくれているのです。

加えて、体育館に収容された患者が家族から隔離される描写や、唯一の治療薬を求めて薬局に殺到する人々の姿など、現在の状況で観ると実にリアルなシーンが展開する点も、本作の大きな見どころと言えるでしょう。

寄生虫感染を食い止めるための僅かな希望が次々に失われていく中、果たしてジェヒョクは家族の命を救えるのか?

続編への期待を持たせるエンディングとあわせて、ぜひお楽しみ頂ければと思います。

(文:滝口アキラ)

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