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2020-08-11

コラム

『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』レビュー:ウディ・アレン初期作のような雰囲気のロマンティックなラブコメ

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■橋本淳の「おこがまシネマ」

どうも、橋本淳です。
63回目の更新、今回もどうぞよろしくお願いします。

東京は梅雨が長引いているのか、雨が降る毎日です。

週間天気予報を見れば、雨マークと曇りマークがつき、ほぼずっと50%。天気予報の意味がまるでないような気も。降ったり止んだりを繰り返すために、なかなか洗濯もおもうようにいきません。ちょっぴり憂鬱になってきますよね。ほら、生乾きなんて臭いですし。

でも、そんな雨降りも嫌いでは無いのです。静寂な家の中で、雨音だけが聞こえる時間がなんだか幸せなのです。

街には音があふれているけれど、すべてを雨が遮ってくれているような。そして雨の日の光もいいですね。快晴ですと、そんなに代わり映えのしない明るさが、雲の濃さ、雨の強さ、風の向き、色々な要素がグラデーションになっていく美しさも雨の日ならではですし。映画監督であるウディ・アレン氏は、「街って、雨が降るとよりロマンティックになる」と語っています。

洗濯とくせ毛の処理で憂鬱になりがちな季節ですけど、そういうロマンティックな部分に目を向けて心は晴れやかにしたいものですね。

それでは今回は、こちらの作品をご紹介。

『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』





ニューヨークの裕福な家庭で育ち過大な期待をかけられているギャツビー(ティモシー・シャラメ)は、文化人気取りの母(チェリー・ジョーンズ)の勧めでアイビーリーグに進学するが、挫折してしまい小さなヤードレー大学に通っていた。しかし彼は幸せだった、その理由はガールフレンドの美人なアシュレー(エル・ファニング)の存在。アリゾナ生まれの金髪の彼女は、純真で無垢な女の子。そんなアシュレーといられることにギャツビーは満足していた。




記者を目指すアシュレーが、学校の課題で著名な映画監督ローランド・ポラード(リーヴ・シュレイパー)にインタビューするためにマンハッタンに行くことになる。生粋のニューヨーカーであるギャツビーは、アシュレーにニューヨークを案内したくて堪らなくなり、ギャツビーはプランを練る。ギャンブルとピアノが趣味で、クラシカルなものを愛するギャツビーは、古き良きニューヨークを巡るプランを組むのだが、いざ当日になると2人の予定が瞬く間に狂い始める。




1時間で終わると言っていたインタビューだったが、アシュレーの純粋さに心を開いたポラードは彼女を試写に案内する。そのことを知らされたギャツビーはちょっと不貞腐れるが、1人タバコを燻らせながら散歩をしていると学生映画を撮っている旧友に再会する。役者が足りないからと急な出演を頼まれキスシーンに参加することに。その相手を演じるのは、元カノの妹のチャン(セレーナ・ゴメス)であった。

自信喪失中の監督ポラードは、試写の途中で「見てられない」と退出してしまう。このままではまずいと、脚本家のテッド・ダヴィドフ(ジュード・ロウ)に巻き込まれながらアシュレーも彼を探すことになり、、、

2人の予定や未来が、晴れ間に急に訪れた夕立のように、どんどんと狂っていくが。。。




毎年のように新作を撮り続けるウディ・アレン監督に新作。日本公開から少し時間が経ってしまいましたが、行ってまいりました。

ティモシー・シャラメとエル・ファニングとセレーナ・ゴメスの共演も話題になっている本作。ウディ・アレン初期作のような雰囲気で、ロマンティックなラブコメでございました。

ただでさえ画になるニューヨークが、雨の光のグラデーションでより魅力的なロケーションに。主人公ギャツビーは、もろ若かりし頃のウディ・アレン像で、アニーホールが脳内をよぎる。

出てくるキャラクターそれぞれが、自身のアイデンティティに関する問題を抱き悩んでいる。そこが本作の魅力の一つで誰しもが共感するポイントなのではないでしょうか。外面ではなく、内面の自分を見て欲しいと強く望むあまり、それが素敵にも滑稽にも見える。とても共感できます。憂鬱な表情でウィットな会話をするシーンがくると、これこれ!待ってました!と膝を打つ。

「最新鋭」「最先端」と言われるとたしかに興味をそそられ魅力を感じますが、疲れたときにはクラシカルなものがほっこりと身に染みます。

光も音もにおいもすべてがロマンティック。約90分ほどの時間で、心の中まで物語やキャラクターが染み込んできました。正統派な素敵なキスシーンを新作で久々にみた気がしますね。




雨が続く憂鬱な日は、換気がしっかりされている映画館で、心を洗ってみては如何でしょうか?

是非ご鑑賞ください。オススメです。

それでは今回も、おこがましくも紹介させていただきました。

(文:橋本淳)

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