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2020年12月28日

【Netflix】悲喜こもごも、ほろ苦テイストのオススメ作品5選

【Netflix】悲喜こもごも、ほろ苦テイストのオススメ作品5選



起承転結で綺麗に構成されたハッピーエンドなドラマや映画を見ていると、「自分の人生もそうであればいいのに」と思うことがあります。

しかし残念ながら、現実はそううまくはいかず、腹が立つこともしばしば。

キラキラした映画に出てくる異常に運が良くて能天気そうな奴らと自分を比べて、イライラしてしまうこともあります。

そんな時は、ほろ苦人生劇場系作品がオススメです。思い通りにいかないのがデフォルトだけど、人生捨てたもんじゃない。今回はNetflixで見ることができる素敵な作品を5つご紹介します。

平和な老後……何それ?
『コミンスキー・メソッド』(2シーズン・16話配信中)



元人気俳優で現在演技コーチをしているサンディ・コミンスキーはバツ3独身ですが、しっかり者の優しい娘に恵まれました。一方長年の仕事仲間(エージェント)で親友でもあるノーマンは、生涯連れ添った最愛の妻を亡くし、同時に薬物依存の娘にも手を焼いています。

対照的なキャラクターのふたりは、さまざまなトラブルに巻き込まれながらも強い絆で乗り越えます。

マイケル・ダグラス演じる色男サンディと、アラン・アーキン演じる真面目な親友ノーマンの友情物語。シニア世代ならではの悩みを、ブラック・ユーモアたっぷりに明るく描いています。

皆さんは自分の老後の人生を想像したことがありますか。若い時にさまざまな苦労や努力をしたぶん、孫や犬猫に囲まれてのんびり穏やかな余生を送っているんだろうナア……などと漠然と考えたことがあるかもしれません。

しかし若い時の苦労が必ずしも報われるとは限りません。冒頭でも記しましたが、リアルな人生では、綺麗な起承転結などめったに起こらない……!

体の衰え、病気、家族・友人の死、成人したのに手がかかる子どもの心配、お金のトラブル、老いらくの恋。

体は老いてつらいのに、問題は次から次へと絶え間なく発生。


「豊かで穏やかな老後?何それ、おいしいの?」


二人とも若い頃から一生懸命に働き努力を重ねて生きてきたはずなのに、いくつになっても安定しない人生を送っています。

でも悪いことばかりで絶望的な人生かというと、決してそんなことはありません。どうにもならない悩みや苦しみを分かち合って、笑い飛ばしてくれる唯一無二の親友がいるから。

私たちは、人生でつらいことや問題が発生すると、何とかしてそれを消そうとしたり、乗り越えようと頑張ってしまう傾向があります。しかし本作を観ていると、諦めて共存していく選択肢も正解だと思えるでしょう。

ラストとなるシーズン3への更新も、決定済みです。

夫同士が不倫してたけど、私たち負けないからね!
『グレイス&フランキー』(6シーズン・78話配信中)



グレイスとフランキーは、対照的な性格の熟年主婦。ある日ふたりの夫同士が、実は長年不倫関係のゲイ・カップルだったことが判明。衝撃の告白・離婚を経て、グレイスとフランキーは強い友情で結ばれていきます。

シニア世代の友情をテーマとし、ゆる~いブラック・コメディ満載なところが『コミンスキー・メソッド』の女性版とも言うべき作品。数々の名作に出演してきたベテラン俳優ジェーン・フォンダとリリー・トムリンがW主演で逞しい熟女コンビを熱演しています。

結婚は、多くの物語の中で“ハッピーエンド”の象徴として描かれているイベント。しかしリアルな人生の中では、あくまでも通過点に過ぎません。

本作は、“ハッピーエンドのその後”の人生をシニカルかつ軽快に描いています。

(その時点では)大好きな人と結婚して、妊娠・出産・子育てを経て、子どもが巣立ったら老後は夫とふたりでのんびり……そんなライフプランがガラガラと音を立てて崩れていく。

「私が今まで頑張ってきたことは何だったの?」と深い悲しみに打ちひしがれても、喉元過ぎれば元夫をも忘れる。

最初こそショックを受け号泣したり精神不安定になったりしたものの、少しずつ立ち直り、仕事に恋愛に趣味にとなんだかんだ前向きに楽しくやっています。

『グレイス&フランキー』の打たれ強さと切り替えの見事さには、すべての人が勇気を貰えるはず!

ファイナルとなるシーズン7への更新も発表済みです。


女子刑務所だからこその濃ゆい人生劇場
『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』(全7シーズン・91話配信中)



ニューヨークで豊かな暮らしを送っていた女性パイパー・チャップマンは、ある日恋人の女性アレックスの麻薬密売に加担した罪で女子刑務所に収監され、過酷なサバイバルを経験します。

麻薬取引を行った罪で投獄された中流階級の白人女性パイパー・カーマンの回想録『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック 女子刑務所での13ヵ月』を原作とするコメディ&ヒューマン・ドラマ。

女子刑務所という閉ざされた空間だからこその、濃厚な群像劇が繰り広げられます。

アメリカ生まれのドラマではありますが「なんだか演歌も似合うな」、というのが個人的な感想。本作を観ていると、“人生いろいろ”であることをしみじみと嚙みしめることでしょう。

世間一般的には“刑務所に入っている人間=悪人”というイメージが持たれがちですが、囚人一人ひとりの人生にスポットライトを当てていくうちに、実はそんなに単純な話ではないという思いに至ります。

運や環境など、人間ひとりの力ではコントロールできない大きな存在によって犯罪をさせられたという人も、実は少なくないのではないか。

女性たちの悲喜こもごもの人生劇場を通して、「悪人とは何なのか、誰が決めるのか」という問いも投げかけてくる作品です。

裏稼業と主婦業のジャグリング!
『グッドガールズ: 崖っぷちの女たち』(3シーズン・34話配信中)



お金の問題を抱えたベス、ルビー、アニーの崖っぷち主婦3人組は、スーパー強盗を実行。それをきっかけに、裏稼業からなかなか足を洗うことができなくなっていきます。

『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』とは“犯罪×女性”という共通点がありますが、本作の舞台は主に塀の外であり、子どものいる主婦3人組が主役。

主婦版『ブレイキング・バッド』とも言われることがあり、スリルとユーモアたっぷりの見応えある作品。

家庭という守るべきものがあるから犯罪に手を染めない、という考え方の人が世の中ほとんどだと思います。しかし本作のように、家庭があるからこそ魔が差して犯罪に手を染めてしまい、そこからなかなか抜け出せないという状況も稀にあるのかもしれません。

結婚して家族ができると、自分ひとりの感情や都合だけで動くことができないもの。自分の一挙手一投足が、家族にどのような影響を及ぼすのか計算しながら、慎重に動かなければなりません。

家族の健康と安全を真剣に願うからこそ、ますます危険な状況に追い詰められて、後戻りできなくなっていく“がんじがらめ”の主婦3人組。

比較的身軽でしがらみの少ない独身者と違って、主人公たちが子持ち主婦であることが、本作にのっぴきならない複雑な面白さを与え、類い稀なクライム・コメディドラマに仕上げています。

ちなみに本作は好評のためシーズン4への更新が決定しています。

結婚って何だろう?
『マリッジ・ストーリー』(2時間16分)



舞台演出家・脚本家の夫チャーリーと、俳優の妻ニコールは、すれ違いから離婚することに。当初は円満離婚を望んでいたが、弁護士を通してお互いの要望をぶつけ合ううちに泥沼の離婚争いへと発展していきます。

タイトルは“マリッジ・ストーリー(結婚の物語)”ですが、内容は主に離婚について。愛し合っていた一組の夫婦が離婚に至るまでの過程を、スカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライバーが熱演。ノア・バームバック監督の繊細で思いやり溢れる眼差しも、高い評価を得ています。

お互いに魅力を感じているから、愛し合っているからといって必ずしもうまくいくとは限らないのが、結婚の難しいところ。

たとえ愛情があっても、性格やライフスタイルの相性が悪いと、二人三脚で日常生活を歩み続けるのが苦しくなっていくものです。

逆に、そこまで好きではなくても、相性が良く利害が一致していれば、平和な結婚生活を送ることができるかもしれません。

本作の場合、同業者であるからこそお互いの魅力や才能を理解し惹かれる一方、ライバル意識や譲れないこだわりもあり、衝突を繰り返します。

好きだけど相性の悪い人と結婚生活を続けるためには、片方が何かを我慢したり諦めたりする必要があるでしょう。しかし自分のアイデンティティや生き甲斐を犠牲にしてまで結婚生活を続けることが、必ずしも正解とは限らないはず。

好きだけど、離婚する。でもこれまでの結婚生活は決して無駄ではなかったし、離婚したことも失敗ではない。

恋愛関係で白黒つけたがる癖がある人に、オススメの作品です。

(文:吉野潤子)

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