特撮向上委員会

SPECIAL

2020年12月27日

仮面ライダー冬映画の感想|コロナ禍の作品だからこそ感じられた感動と感謝

仮面ライダー冬映画の感想|コロナ禍の作品だからこそ感じられた感動と感謝

■オジンオズボーン・篠宮暁の“特撮”向上委員会

新型コロナウイルスによってもたらされた危機のせいで、毎年楽しみにしてる恒例の仮面ライダーとスーパー戦隊の夏映画が今年は公開されませんでした。



しかし、それをもプラスの要素として昇華させてくれたのが今回の『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』。

本来夏にやるはずだった今作が先日まで延期になったわけですが、そのまま公開せずに最終回を経てという極上のスパイスを巧みに利用。

夏映画の要素が多分にありながらいつもの夏映画ではできなかったことを盛り込んでいて、例年の冬映画とはまた一味も二味も違う豪華な仕上がりになっていました。

見終わった後、感動とそして感謝の気持ちが溢れて仕方ありませんでした。

この胸の高鳴りはコロナによる未曾有の危機がなければ感じることができなかったし、この先もこれまでと同じように夏休みに合わせて公開するとしたら、ひょっとするともう味わうことのできない感情なのかもしれません。

絶対に劇場で見てほしいので詳しくは書きませんが、「ゼロワン」ファンが望んだ展開が描かれていて相当エモいです。

もちろんどこかでこういった落とし所になってくれるんだろうなと期待はしていたんですが、そこに至るまでの過程が秀逸で、夏映画からの修正にスタッフさんの相当な熱量が当てられていることがわかります。



そしてまたまた驚かせてくれたのが、やはり杉原監督演出のアクションシーン。

これまでの杉原監督の映像でも見たことのない特撮を僕らに見せてくれていましたが、失礼承知で上から言わせていただくと「成長止まんねーな」の一言につきます。

「ゼロワン」ではヒューマギアのラーニングが物語の背骨として描かれてきましたが、監督が一番ラーニングしてるんじゃないでしょうか。

今までの技術も組み込みながら、さらに実写化不能と思っていたアニメのようなカットもあり、最先端の特撮を開拓する杉原監督への次作への期待がもはや青天井です。

そして高橋悠也さんの脚本も同じく底無しのラーニングを遂げたかのような仕上がりで、もう勘弁してくださいといった感じ。

映画館で息子を横にして、年甲斐もなく涙してしまいました。

「ゼロワン」のチーフの大森プロデューサーは、今回もとんでもない仕掛けを施されています。

『仮面ライダーエグゼイド』の劇場版「トゥルー・エンディング」の時は時系列を明かさず公開したことで、最終回を見る前と見た後では違った印象を与えるという仕掛けがされていました。



今回の仕掛けはポスターにあります。

見る前と見た後では見方が全く変わります。

見た後では、もう「それ」にしか見えません。

その辺も含めて確認していただきたいと思います。



そして『劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本』なんですが、最初からクライマックスで、短い上映時間ながらもこれでもかと見所が詰め込んであり、ただただ楽しめます。

短い時間でも見応えがあったのは、仮面ライダーファルシオンを演じた谷口賢志さんの力量に依るところがかなり大きいんじゃないかと個人的に思っています。



凶悪で邪悪な敵というのを短時間で感じさせるのはかなり至難の業かと思うんですが、谷口さんだから出せる狂気のおかげでそこがいともたやすくクリアしており

シンプルにセイバーを応援できるんです。

魅力的な悪役がいなければセイバーの圧勝に終わってしまい応援することができません。

その点も踏まえると、谷口さんのキャスティングは他に候補がいなかったんじゃないかと思うほど必然であるように感じました。

そして今回も『仮面ライダーアマゾンズ』の仁さんを演じていたとき同様に、谷口さんのSNSを使った巻き込み方は素晴らしいものでした。

コロナの負の要素を見事いい方向に転換した傑作、こんな状況下でありますが、しっかりとマスクを着用し対策を万全にして劇場でしかと勇姿を眼に焼きつけましょう。

(文:篠宮暁)

【オジンオズボーン・篠宮暁の“特撮”向上委員会】

第185回:『小説 仮面ライダー電王 デネブ勧進帳』が面白い!史実と電王を絡めた傑作
第184回:子供心を掴まれた『星雲仮面マシンマン』への思い入れ語る
第183回:『仮面ライダーセイバー』衝撃の展開とTTFCでの裏話、そして劇場版への期待を語る
以前の記事はこちらから

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