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2021-01-25

土屋太鳳の魅力|形作る光と影


Netflix「今際の国のアリス」より

「女優・土屋太鳳のイメージは?」

そう聞かれたとき、多くの人は“陽性な明るさ”と“健気さ”を兼ね備えた女優という人が多いでしょう。

バラエティ特番のマラソンコーナーで一人激走し続けるあの姿こそ土屋太鳳のパブリックイメージだという人が多いはずです。

しかし、その一方で“影”や“暗い情念”を感じさせる演技を見せることも少なくありません。

彼女の中にある光と影の差こそが、女優・土屋太鳳を成立させていると言って言い過ぎではないと思います。

そんな女優・土屋太鳳のデビューからブレイクポイント、最新作などに触れながら彼女の中の光と影を追っていきたいと思います。

女優・土屋太鳳の起点~ブレイクポイントは長谷川博己のミューズ~



土屋太鳳は2005年のオーディションで審査員特別賞を受賞してモデル業を始めます。その後、黒沢清監督の2008年の作品『トウキョウソナタ』で映画デビュー、女優の道を歩み始めますが、テレビドラマは2010年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」まで待つことになります。



最初のブレイクポイントとなったのは2011年の長谷川博己主演の「鈴木先生」。

この異色の学園ドラマは視聴率以上の評価と話題を浴び、映画化もされました。土屋太鳳はここで長谷川演じる教師・鈴木のミューズとも言うべき女生徒・小川蘇美を演じます。

ここでの土屋太鳳は素直でピュアな感性の持ち主でありながら、ミステリアスな一面を持つキャラクターとして我々の前に登場。現在のパブリックイメージのまま見返すと大きな違和感を感じることでしょう。まだ演技経験の浅かった土屋太鳳はこの複雑な小川役を演じるにあたりかなりのプレッシャーだったと言うことですが、見事に乗り切ました。

また、この作品では意外なほどの身体能力の高さを見せその後の『るろうに剣心』シリーズや舞台出演に繋がっていくことになります。

ちなみにこの生徒の中には北村匠海がいて7年後の2018年には映画『春待つ僕ら』で再共演を果たしています。

光の土屋太鳳~“パブリックイメージ”の確立~


NHK連続テレビ小説「まれ」より
2011年の「おひさま」、2014年の「花子とアン」、そして主演を務めた2015年の「まれ」と連続してNHK朝の連続テレビ小説に出演したことで、土屋太鳳の陽性がより明確になり、皆さんが一番知っているパブリックイメージ通りの土屋太鳳像が出来上がりました。


『るろうに剣心 京都大火編』より

この路線はしばらく続き『るろうに剣心 京都大火編』&『るろうに剣心 伝説の最期編』編での御庭番集巻町操役を経て、少女コミックのベストセラーの映画化作品でヒロインを務めるようになります。このジャンルは若手女優のステップアップジャンルと言った趣もあって、土屋太鳳も着実に女優としての階段を昇っていきます。


『orange-オレンジ-』より

その後も共演が続く山﨑賢人との共演作2015年の『orange-オレンジ-』、2016年の竹内涼真との共演作『青空エール』、亀梨和也演じる警察官との結婚する『PとJK』、そして『兄に愛され過ぎて困ってます』や菅田将暉と共演した『となりの怪物くん』などなど、“キラキラ映画”と呼ばれるジャンルのヒロインをこなしていきます。


『8年越しの花嫁 奇跡の実話』より

『図書館戦争-THA LAST MISSION-』の中澤毬江役や『8年越しの花嫁 奇跡の実話』の中原麻衣役などは“活発な”部分を抑えて、“健気さ”が全面に出た役どころですが、これもまた“朝ドラ”以降の土屋太鳳像の延長線上にあるキャラクターでした。日曜劇場の「下町ロケット」のキャラクターもこの延長線上の存在といっていいのではないでしょうか。

陽性キャラクターの最新作~『フード・ラック!食運』~


『フード・ラック!食運』より

このパブリックイメージ通りのキャラクターを演じている土屋太鳳の最新作は、昨年2020年の11月に公開された『フード・ラック!食運』でしょう。


第33回東京国際映画祭でワールドプレミア上映された寺門ジモンの初監督作品。食、特に焼肉にこだわりを持つ寺門監督が“肉”を主役に据えた異色のグルメ映画。ここでの土屋太鳳は食に独特の感覚を持つフリーライター佐藤良人(EXILE NAOTO)に振り回されながらも、“本物”を追いかけ続ける編集者の竹中静香を演じています。

本作の静香役は何より食事のシーンのおいしそうな表情がとても魅力です。グルメの映画と言うこともあって劇中の食に関しても相当なこだわりがあって、それが反映された結果なのかもしれませんが、劇中の土屋太鳳は美味しいものに出会えたときには実に嬉しそうにその喜びを体現して見せてくれます。


『フード・ラック!食運』より

良人がこだわりがあるあまり他者とのコミュニケーションの取り方や感情の表し方に難があるキャラクターで何かと周囲と衝突ごとを起こしがちなのです。そんな良人と対照的にキャラクターとして土屋太鳳の静香が置かれていることもあって、非情に素直でまっすぐなヒロインとなっています。
ちなみに土屋太鳳は実際にプライベートでも肉好きを公言しているのでそういう面でも適任と言えるでしょう。

影の土屋太鳳~女優としての深みを増す~



『人狼ゲーム ビーストサイド』より

前述した一つのブレイクポイント作となった「鈴木先生」ではミステリアスな雰囲気を纏った演技を見せていました。このこともあってか、その後ホラーテイストの『アルカナ』『赤々煉恋』(ともに2013年)『人狼ゲーム ビーストサイド』(2014年)といった作品に出演しています。

この頃のホラー映画は若手女優の登竜門的なものになっていて、土屋太鳳もまたその流れに乗ったといったところでしょうか。

作品が中小規模ということもあってか他の作品に比べて認知度が低いのですが、シリアステイストの“初期型土屋太鳳”を見ることができる貴重な作品群となっています。

ちなみにこれらの作品には吉沢亮や森川葵、藤原季節など今となっては主演級の面々が揃っています。


『累-かさね-』より

その後、“明るい土屋太鳳”作品がしばらく続き、“影のある土屋太鳳”は見れずにいましたが2018年に芳根京子とW主演した『累-かさね-』では演じることに極端な執着心を持った累と丹沢ニナという変則的な二役の演技を見せてくれます。

この映画では大学で専攻している舞踏を披露する部分もあり、情念たっぷりの暗さ・影を抱えた土屋太鳳を見ることができます。本作は東宝系で公開されたこともあり広く多くの人の目に触れることになり、驚いた人も多かったのではないでしょうか?

この笑わない、剛さを抱えたキャラクターはNETFLIXオリジナルドラマとして昨年冬に放映され大ヒットとなった「今際の国のアリス」の宇佐木柚葉に繋がっていくことになります。 

影の土屋太鳳の最新形~『哀愁しんでれら』~


『哀愁しんでれら』より

この情念と影を感じさせる土屋太鳳の最新形の作品が2021年2月公開予定の『哀愁しんでれら』でしょう。

児童相談所で真面目に働く小春を演じた土屋太鳳。ある晩、まるで嘘のように小春の身に不幸が立て続けに襲い掛かります。悪夢のような夜が明けたとき一人の男性・大悟と出逢います。一女の父で開業医の大悟と小春はこの出逢いをきっかけに急接近、やがて二人は夫婦となり、大悟の娘のヒカリと共に新生活をスタートさせていきます。

まさにシンデレラストーリーを地で行く展開ですが、全く違う価値観の世界に放り込まれた小春は、その後の思、もよらない悩みを抱えるようになっていきます。



『嘘を愛した女』や『ルームロンダリング』などを輩出したTSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILMのグランプリ脚本の映画化作品である『哀愁しんでれら』は、今までの日本映画にはなかったダークファンタジーとも言える作品に仕上がっています。

特にある時点からすべてを飲み込んで妖艶さを纏い始める姿は今まで見てきた土屋太鳳にはない顔です。相手役が『図書館戦争』シリーズで爽やかな都市の差カップルを演じた田中圭というのがまた何とも皮肉です。

あまりの難役に「覚悟できないまま取り組むべきではない」と土屋太鳳は三回もオファーを断ったというほどです。最終的に「この物語は生まれたがっている」と考え出演を決めたと言うことです。

ステージ上の土屋太鳳~表現力の高さを知る~

土屋太鳳は日本女子体育大学で舞踏を専攻しています。多忙故に学業との両立には苦労があるそうですが、持ち前の身体能力の高さを活かしながら、表現の幅を拡げることに繋げています。



「プルートウPLUTO」より

そんな土屋太鳳は2018年の舞台「プルートウPLUTO」で初舞台を踏んでいます。浦沢直樹が“マンガの神様”手塚治虫の「鉄腕アトム」の名エピソード「史上最大のロボット」を原作に再構築したSFコミックをもとにした舞台で、主演は舞踏家・ダンサーとしても国際的な活躍を見せる森山未來。2015年に初演を迎え、2018年に再演され、ここで土屋太鳳はヒロインのウラン/ヘレナの二役を演じています。

森山未來が主演と言うこともあって「プルートウPLUTO」はダンスとパントマイムをふんだんに盛り込んだ構造になっていました。再演からこの作品に参加した土屋太鳳は森山未來との共演部分も多い役どころでしたが、臆することなく舞台で伸び伸びとした演技を披露しました。

『累-かさね-』や紅白歌合戦のダンスパフォーマンスの時にその片鱗を見せましたが、これからはもっと舞台に出演して舞い踊る姿を披露するというのもいいかもしれません。


ミュージカル「ローマの休日」より

2020年10月から公演されたミュージカル「ローマの休日」では主役のアン王女を演じ、その歌声も披露しています。なんと言っても基になった映画でこの役を演じたのは伝説的な女優オードリー・ヘップバーンと言うことで、同じ役を演じればオードリーと比較されることは避けられず、相当のプレッシャーもあったでしょうが、それでもアン王女を演じきりました。

「鈴木先生」の時や『哀愁しんでれら』の時のエピソードを聞くと、ある程度のプレッシャーは女優・土屋太鳳には逆に好材料になるのかもしれませんね。

これからの土屋太鳳~新作・話題作多数待機中~

オーディション合格から数えての15周年イヤーだった昨年・2020年は公開予定だった映画3タイトルが公開延期になるなど、コロナ禍の影響をもろに受けてしまう部分もありました。それでも映画『フード・ラック!食運』は公開され、ミュージカル『ローマの休日』も最後まで完走しきりました。

そんな土屋太鳳の2022年はその延期になった映画3タイトルが公開される予定です。



一つは話題の大作シリーズの最終章『るろうに剣心 最終章 The Final』と『るろうに剣心 最終章 The Beginning』の2部作。4月23日と6月4日に連続で公開されます。2014年の『京都大火編』『伝説の最期編』に続いて巻町操を演じます。

『るろうに剣心 最終章』2部作は原作通りなら“人斬り抜刀斎”こと緋村剣心の未来と過去を巡る物語になり、操はその間をつなぐ重要な使命を負ったキャラクターとなっているので、どのような活躍を見せるのか楽しみです。



もう一つの映画は1998年の冬に日本・長野で開催された冬季オリンピックを舞台にした『ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~』。この大会で国民の期待を一身に背負い金メダルを目指していたのがスキージャンプのラージヒル日本代表たち、映画『ヒノマルソウル』では、その日本代表を陰ながらに支えたテストジャンパーたちを描きます。

共演は田中圭。『図書館戦争』シリーズでは年齢の差カップルを、『哀愁しんでれら』では理想に絡み取られていくカップルを演じた二人ですが、今回は怪我で代表から漏れ、テストジャンパーという裏方に回った男と彼を支える役どころを演じています。



さらに2022年には山田涼介と共演した映画『大怪獣のあとしまつ』も待機中です。これまでの怪獣特撮映画では語れることのなかった“怪獣のあとしまつ”に奔走する人々の姿を描くコメディタッチの映画で監督は『時効警察』シリーズの三木聡監督です。

もう一つの注目プロジェクト~『今際の国のアリス』シーズン2~


「今際の国のアリス」より

映画だけでなくドラマ・舞台と活躍の場を広げてきている土屋太鳳ですが、昨年冬にNETFLIXで放映されたNETFLIXオリジナルドラマ「今際の国のアリス」は国内外で大きな話題を呼び大ヒットしました。

すっかり慣れた感のある山﨑賢人との息の合ったコンビネーション、実寸大で完全再現された渋谷駅前ハチ公広場のセットの迫力など見どころたっぷりのデスゲームドラマは、2020年の12月10日に世界同時配信されるや大きな話題を呼び、その勢いのまま2020年12月のクリスマスイブにはシーズン2の制作が決定するというスピード決定を見せて、視聴者を驚かせました。



シーズン1で“げぇむ”を生き残ったメンバーと共に山﨑賢人、土屋太鳳の二人に、佐藤信介監督の続投も決まっていてあとは多忙なキャストのスケジュール調整次第というところまで話が進んでいるようです。なにせシーズン1は8話のドラマの撮影に計10カ月を費やすというスケール感なので、諸々の調整は大変そうですね。
 
オーディションに合格してから16年目に入る土屋太鳳。しかしまだ年齢で見れば25歳、可能性も選択肢も無限に拡がっています。「今際の国のアリス」の出演の際には海外メディアからの取材も多く受けるなど、発見の多いこともまだまだ多いようです。

チャリティに興味があると語ったり、司会業やバラエティ番組のレギュラーをこなしたりと八面六臂の活躍を見せてきましたが、まだまだこれは序章に過ぎないのかもしれません。

(文:村松健太郎)

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