『ジャッカーズ 強奪者たち』レビュー:ネット犯罪に挑む男たちを描く魂のアクション映画!
■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT
コロナ禍の中、覆面姿の凄腕ハッカー、グース(俳優名は秘密)が裏サイトの掲示板で“仕事”のメンバーを集い、パスタ(長濱慎)とスネーク(寺中寿之)といったそれぞれワケありの小悪党が参加。
3人はそれぞれ別の場所から自身の役割を遂行し、インターネットでの金庫破りを目論んでいます。
しかし、いざ計画実行のとき、そこにTJ(南圭介)と名乗る新たな謎のハッカーが現れ、パスタの通信網を乗っ取って、さらには彼の恋人(小日向雪)を危機にさらしながら脅迫し、金を横取りしようとします。
『SCORE』『GUNCRAZY』シリーズなどで知られる豪快熱血アクション派監督・室賀厚が、従来とは趣を異にし、舞台の大半がPCやスマホのモニター画面といった犯罪計画をスリリングに描出していく“魂”のアクション映画。
そもそもは室賀監督が新作アクション映画を撮影すべく海外渡航しようとしていた直前、コロナ禍による非常事態宣言でそれが叶わなくなり、「ならば、誰も人が集わない映画を撮っちまえ!」とばかりの勢いで制作した作品です。
昨年の自粛を機にパソコンやスマホを用いたリモート映画は数多く作られていますが、その大半がリモート飲み会や同窓会などの状況下で繰り広げられる青春ものやホラー作品なのに対し、さすがは室賀監督。
今回も力技でサイバー空間を魅惑的でスリリングな犯罪の場へと転化させながら、銃弾の代わりにPCのキーボードを打ち(撃ち)込み続けるアクション映画を見事に構築してくれています。
特撮ヒーローもののファンとしては、「烈車戦隊トッキュウジャー」トッキュウ6号(長濱愼)と「宇宙戦隊キュウレンジャー」ホウオウソルジャー(南圭介)とのPCピカレスク対決も大いに見ものでしょう!
(文:増當竜也)
『ジャッカーズ 強奪者たち』<ストーリー>
「メンバー求む。高収入。三密なし」
裏サイトの掲示板に書き込まれたこのメッセージで三人の犯罪者チームが結成される。 グース、パスタ、そしてスネークと名乗る三人が狙うのは悪徳企業が地下銀行に違法に溜め込んだ二億円である。グースは身元不明の凄腕ハッカーで、ネット上の金庫破りを担当。
パスタと名乗る男、本名は本庄明良(長濱 慎)。彼は振り込め詐欺グループの一員で、今回の計画では奪った金の現金化を役目とする。スネーク(寺中寿之)は荒手のネズミ講詐欺師で金の分散移送を担当する。
三人は一度も会う事無く準備を進め、いよいよ計画実行の夜が訪れる。だがそこへ、TJと名乗る男(南 圭介)が金の横取りを狙って静かに攻撃を仕掛けて来る。彼はパスタの通信網を乗っ取り、恋人である看護師の望月春菜(小日向雪)にも魔の手を伸ばし、パスタを自分の指示通りに動かそうとする。
そして深夜0時、サイバー空間での強奪計画は実行に移される。ジャッカーズたちの冷酷非情の夜が始まった。
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