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『あのこは貴族』レビュー:現代女性の自立を軽やかに綴る本年度屈指の秀作!

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ふたりのヒロインの進む道を
自然体で応援する素敵な姿勢

本作は山内マリコの同名小説を原作に、マンネリカップルが人金をきっかけにお互いの関係性を見直していく『グッド・ストライプス』』(15)で商業映画デビューを果たした岨手(そで)由貴子監督がメガホンをとったシスターフッド・ムービーです。



門脇麦扮する華子は、結婚に夢を見出そうとしていたものの、それこそ令和の今になってもなかなか変わることのない現実世界とのギャップに気づき、戸惑いつつも成長していくお嬢様という役柄。

特に日本映画はブルジョアを描くのが昔から苦手で、またそれを体現できる役者も少ないと言われて久しいものがありますが、ここでの門脇麦は非常に気品を備えつつ、自身の奥底の情熱に未だ気づいていないお嬢さまを好演しています。

かたや水原希子は、いわゆるキャリアウーマンの道を疑うことなく進むのではなく、幾度も挫折を繰り返しながら、自身の弱いところを隠すことなく、迷いながらも一歩ずつ歩んでいこうとする美紀を真摯に演じています。

また前者の友人に扮する石橋静河、後者の友人に扮する山下リオも、それぞれ好演。



一方でふたりを結び付ける役柄の高良健吾ですが、ここでの彼は女性に対する旧来の意識を払拭させることのできない、ホント未だに「昭和か?」と突っ込みたくなるような、しかし実は今なおいっぱい存在しているのだろう日本の男性の悪しき代表としての存在感を際立たせてくれています。
(それにしても善玉から悪玉まで、彼は上手いですね)

この作品が好ましく映えるのは、女性の自立をモチーフにしながら、拳を振りかざすタイプのものとは一線を画しながら、もはや当然といった自然体でふたりのヒロインの進む道を応援しているところでしょう。

そういった演出姿勢も功を奏して、見る側も彼女たちへの共感度を増すことになり、ひいては社会からの縛りから女性たちを解き放させていく意識を育ませていきます。

女性を巡るさまざまな問題が山積していることがどんどん明るみになって久しい現代ではありますが、そういった事象に対しても軽やかに乗り越えていく道筋を心の中に示唆してくれるかのような、今年度の日本映画を代表するに足る秀作です。

(文:増當竜也)

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(C)山内マリコ/集英社・『あのこは貴族』製作委員会