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映画コラム

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2021年02月25日

『ミアとホワイトライオン 奇跡の1300日』レビュー:本物の肉食獣と一緒に作り上げた友情の物語

『ミアとホワイトライオン 奇跡の1300日』レビュー:本物の肉食獣と一緒に作り上げた友情の物語



2月26日より公開の『ミアとホワイトライオン 奇跡の1300日』の魅力を簡潔に紹介します。

物語は、11歳の少女がクリスマスの日にやってきた小さなホワイトライオンとの友情を育んでいき、不協和音が生じた家族の再生も合わせて描くというもの。難しいところは一切なく、子どもから大人まで観る人を選ばないでしょう。



注目なのは、実際に3年を超える年月をかけて、本物のホワイトライオンを撮影して作り上げたということ。当初はほぼ赤ちゃんだったホワイトライオンは1年後には大型犬並に大きくなり、その後は家で一緒に住むことが困難になってきます。主演を務めた少女のダニア・デ・ヴィラーズも11歳から14歳になっていたそう。もちろん特殊効果もCGも一切使われていません。物語は完全なフィクションではありますが、実際の動物と人間の成長を見守るような半ドキュメンタリー的な魅力もあるのです。

言うまでもなく、肉食獣であるホワイトライオンとの撮影は危険と隣り合わせ。劇中における、ホワイトライオンとどう向き合い、一緒に生活をするのかを模索する過程は、撮影現場の状況とも重なる部分もあります。公式サイトでは、撮影と演技についての面白い話が飛び出すジル・ド・メストル監督のインタビューが読めますので、ぜひ読んでみて欲しいです。



そして、物語の後半で3歳となったホワイトライオンは観光客を呼べる貴重な存在になっていたのですが……主人公がは父親が隠していた驚きの事実を知ります。彼は囲いの中で野生動物をハンティングする「缶詰狩り」の業者に、ファームで育てたライオンを売っていたのです。そのため、主人公はホワイトライオンを安全な場所へ逃すため、南アフリカを横断しようと試みます。追われながら目的地を目指す、「ロードムービー」的な内容になっていくというわけです。

本作は「缶詰狩り」の問題を訴えるという、社会派の面を備えています。とは言え、お堅い政治的な内容ではなく、かわいいホワイトライオンと少女のふれあいや、雄大な自然の美しさを描くだけでなく、友情の物語からロードムービーへと転換していくという、抜群のエンターテインメント性を備えていることが最大の美点でしょう。終盤では「よくこんな画が撮れたな!」と驚けるアクションシーンもありますよ。

(文:ヒナタカ)

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