映画コラム
『スカイライン-逆襲-』レビュー:B級SFアクション映画に求められるのはこういうことだ
『スカイライン-逆襲-』レビュー:B級SFアクション映画に求められるのはこういうことだ
2月26日より公開の『スカイライン-逆襲-』の魅力を簡潔に紹介します。
本作はシリーズの3作目に当たり、エイリアンから逃げ惑うサスペンス要素が強かった『スカイライン-征服-』(2010)、地球の各地でエイリアンと格闘するトンデモ要素が強まった『スカイライン-奪還-』(2017)から、順当に進化した続編となっています。
どこか進化したかというと、前作に引き続きエイリアンと基本格闘&ビームを放つ武器で戦うというトンデモ要素はそのままに、女性主人公の葛藤のドラマ、タイムリミットのサスペンスが加わり、エイリアンの敵地に乗り込むという新機軸もあり、おまけに巨大(?)な陰謀も展開するという、端的に言って「いろんな要素を乗っけてやれ!」な特盛状態なところにあります。
「なんだかいろいろトッピングしすぎて味が良くわからない」状態になりそうだし実際になりかけていますが、わりと本格的かつ派手なビジュアルも盛り盛りで、会話シーンに飽きそうになったらハイスピードの格闘アクションをぶっ込むという「楽しんでいってね!」なサービス精神に溢れているので、そのうち「これはこれで味わい深い」になってきます。
SF映画で1万回観たような展開も多く、スタッフの「僕たちが好きな映画を詰め込みました!」という無邪気さが伝わりまくります。「これ『エイリアン2』(1986)だよね?」「『第9地区』(2009)来たな」「『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)かな?」などとと思うしかないシーンもありますが、きっと神妙な面持ちのまま楽しめることでしょう。
キャストでは、『ドゥームズデイ』(2018)で主演を務めたローナ・ミトラがカッコいい妙齢の女性として活躍する他、『ザ・レイド』(2011)や『極道大戦争』(2015)で格闘技「シラット」で闘っていたヤヤン・ルヒアンが、前作『スカイライン-奪還-』に引き続き登場するのも見所です。「ヤヤン・ルヒアンの役って前作で死んでいなかったっけ?」と思った方もご安心を、「もうそれなら生きててもいいや」な設定のまま暴れるので全てを許せます。
ともかく、この『スカイライン逆襲』B級SFアクション映画が好きな方はとりあえず観ていただき、30分後にはすっかり内容を忘れてしまってもいい、とても良い意味で毒にも薬にもならない映画でした。これまでのあらすじもある親切設計でシリーズ初見の方も問題なし。本編終了後すぐに始まる「おまけ」までを見届ければ、きっと誰もが菩薩のような寛大な心を持ち、やりたいことをやりきったキャストとスタッフを大好きになれることでしょう。今の閉塞的な世の中でこそ、こういう作品は必要です。
(文:ヒナタカ)
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