中国アニメ『ナタ転生』ほか、パンクの精神を持つ少年神ナタを題材にした映画4選
約400年前に書かれた神話小説『封神演義』の物語は何度も演劇で上演され、現代でも多くの漫画やゲーム、アニメが作られてきた。2021年は『ナタ転生』が3DCGアニメ―ション映画として2月26日(金)より公開中だ。
中国文学の研究者である関西大学文学部・二階堂善弘教授はナタのことを「『封神演義』だけでなく、日本人に有名な『西遊記』にも哪吒は登場します。孫悟空が天界で大暴れをするとき、討伐を任される天界の武将のひとりが哪吒です。あちこちの物語を見ていますと、哪吒はやはり暴れん坊で、『三国志演義』でいえば張飛みたいな人物です。考えなしにとにかく手が出るという形でしょうか。ただ、その姿はあくまでかわいい子どもなので、見た目との差が激しいです。」とコメント。
今回、ギャップがあるナタの魅力を伝えるべく、中国で愛されているパンクの精神を持つ少年神ナタを題材にした映画を紹介する。
『ナーザの大暴れ』(原題:哪吒鬧海)1979年
カンヌ国際映画祭にも出品され、中国人が持つ≪ナタ≫のイメージ像を作り上げた伝説級作品。
中国の上海美術映画製作所がセルアニメーションで制作した不朽の名作。
他にはない民族スタイルで多くの中国人の幼少時代の記憶に刻み込まれており、本作なくして中国アニメを語ることは出来ないほど中国アニメの核となっている作品。自然を自由に操り、人間を苦しめる竜王たちの横暴に立ち向かった七歳の王子ナーザ(ナタ)の大活躍を洗練された色彩と確かな技術で見せている。1980年にはカンヌ国際映画祭にも出品されるなど国際的な評価も得ており、日本での公開は同年1月に劇場公開され、のちにTVでも放映。現在の日本では『封神演義』を題材としたアニメや漫画、舞台などが多くあるが、その始まりはこの『ナーザの大暴れ』が日本に受け入れられたことから始まる、まさに歴史的な作品である。
あらすじ
李靖の七歳の息子・ナーザ(ナタ)は自分の師父・太乙真人から授かった混天綾(赤いスカーフ)と乾坤圈(金の輪)を使った事で、東海龍王の水晶宮からの軍勢を退け、加えて東海竜王の息子も殺害された。その後、怒り狂った東海龍王は復讐のために暴風、吹雪と火炎を操る龍分の竜王たちを呼び寄せ、人間の百姓を苦しめる。ナーザは人間の百姓を苦しめる四大龍の横暴に立ち向かっていく。
『ナタ~魔童降臨~』(原題:哪吒之魔童降世)2019年
興行収入780億円を突破!ナタのイメージを覆し、中国アニメーションのレベルの高さをみせつけた超話題作!
日本では中国映画週間(2019)のみでの公開にも関わらず、脚本の秀逸さとCGのクオリティの高さ、そして780億円を超える大ヒット作と口コミが広がったことから話題となった本作。最近ではねんどろいど(GOOD SMILE COMPANY)からもフィギュアの予約販売が開始されたりと、公開から2年がたった今でも注目を集めている。
本作の魅力は何といっても主人公の“自分の運命を諦めず先入観を打ち破る信念“と、“自分の道は自分で切り開いていく不屈の精神”の描き方。自分の能力や外見から周囲に受け入れられず、人に愛されることや認められることを渇望しているナタの姿は現代の若者が抱える悩みにもリンクする。このことは、積極的に夢を追う若者の成長過程を反映したと餃子監督は語っている。
また、どれだけ仕事が忙しくてもできるだけ子どものそばにいる母親の殷(いん)夫人と、口下手だが子どものために命をささげようとする父親の李靖は、中国の家族に対する考え方を表しているそうだ。中国アニメの壁を壊した本作は日本でもDVDの購入は可能!
あらすじ
仙人の太乙真人は神様の命を受け、「霊珠」を陳塘関に住む李靖の息子・ナタに託す。だが、ふとした間違いから人に転生し人々を助け、殷王朝最後の紂王を倒すべき「霊珠」と、魔王として生まれる「魔丸」がすり替わり、本来なら「霊珠」の英雄となるはずだったナタは誕生の日に世を混乱に陥れる「魔王」になってしまった。人々の誤解に対して、ナーザは世間の偏見通りの「魔童」から、運命と粘り強く闘う小さな英雄へと成長する—。
『羅小黒戦記』2019年(字幕版)2020年(吹き替え版)
観客の心を揺さぶるストーリーと可愛いキャラが魅力のロングランヒットアニメ!
『羅小黒戦記』は、2011年に中国でアニメーターの MTJJ 及び寒木春華(HMCH)スタジオが制作したWEBアニメーションシリーズ。国産アニメとして中国で徐々に人気を博し、2019年に劇場版として本作が製作されると興行収入3.15億人民元(約49億円)を記録し大ヒット。日本でも同年、字幕版が小規模公開され(チームジョイ配給)、映画ファンやアニメファンの間で瞬く間に口コミが広がった。
これを受けて2020年11月にはアニプレックスとチームジョイの共同配給で吹替版『羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来』を公開。花澤香菜、宮野真守、櫻井孝宏という人気声優陣が起用された。吹き替え版が公開されたことでさらに噂は広まり、現在でもロングランヒット中。その中でも本編に登場するキャラクター・ナタ(水瀬いのり)は自由でわんぱくな性格と、頭のお団子の可愛さから、SNSでも支持が高い。ナタに興味がある人は絶対にチェックするべき作品!
あらすじ
仙人の太乙真人は神様の命を受け、「霊珠」を陳塘関に住む李靖の息子・ナタに託す。だが、ふとした間違いから人に転生し人々を助け、殷王朝最後の紂王を倒すべき「霊珠」と、魔王として生まれる「魔丸」がすり替わり、本来なら「霊珠」の英雄となるはずだったナタは誕生の日に世を混乱に陥れる「魔王」になってしまった。人々の誤解に対して、ナーザは世間の偏見通りの「魔童」から、運命と粘り強く闘う小さな英雄へと成長する—。
『ナタ転生』(原題:新神榜:哪吒重生)2021年
2021年中国アニメ映画最高峰、史上最速の日本公開が決定!中国超話題作が日本上陸!
本作のメガホンを取った趙霽監督は中国の伝統的要素を取り入れた若者向けの映画を製作したいと考え、中国人なら誰もが知っているナタに決定。ナタが「現代に生きていたら?」という考えをベースに、東洋と西洋両方の美学とナタが持つ反骨精神の “パンク要素”を融合させ、従来にない新しいビジュアルのナタを描いた。また、興行収入70億円を突破した『白蛇:縁起』の制作スタジオ・追光動画が4年の年月を費やし、最新の3DCG技術を使用したことで、今までにはない新たな神話リメイク作品が完成した。
中国では2月12日に公開すると、わずか1週間で約50億円を突破!中国の古代伝説と近未来感をも感じさせる現代を融合させた、3DCGアニメーション映画史上最高レベルの視覚効果や、壮大で手に汗握るバイクチェイスと戦闘バトルシーン、斬新で壮大なストーリー展開は中国春節アニメ映画No,1の超期待作!
日本公開は2月26日(金)TOHOシネマズ池袋/上野 順次公開。
あらすじ
3000年以上前の世界で絶大な権力を持つ一族・東海龍王の息子・三太子に歯向かい死闘を繰り広げ、勝利したほどの強い魔力を4q持つ7歳の少年神≪ナタ≫。しかし、息子を殺され激怒した東海龍王が「町の百姓たちの命が惜しければ、自らの死で罪を償え」と卑怯な脅しを行い、ナタは百姓たちを守るために自ら命を絶つ。そして時は流れ、現代。ナタはバイク好きな好青年、李雲祥(リ・ウンショウ)として生まれ変わった。バイクで縦横無尽に駆け回り、仲間と共に充実した日々を送っていたのだが、東海龍王の息子・三太子の生まれ代わりである三公子が、ナタに前世で殺された恨みを晴らそうと雲祥の命を狙い始めたことで、仲間たちも次々と危険にさらされ、市民をも巻き込む決死の戦いに。まだ自分がナタの生まれ変わりであることを気付いていない雲祥だが、三公子と戦うためにはナタの魂を呼び覚まし、覚醒しなければ勝つことは出来ない。大切な仲間や、市民たちを守るために立ち上がった雲祥の戦いが今始まる――。
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