「大泉洋がおもしろい」映画、厳選5選!|『騙し絵の牙』公開記念
2021年3月26日から公開となった『騙し絵の牙』は、塩田武士の桑栄小説を原作に、不況と呼ばれて久しい出版業界の中で雑誌存続に執念を燃やす編集長(大泉洋)の野心と、そこから紡がれていく騙し騙されの駆け引きを描いた吉田大八監督のエンタテインメント作品です。
もともと原作者は大泉洋をモデルに主人公を構築していったとのことで、いざ映画化されての主演の彼も、実に堂に入ったものでありました。
お正月映画『新解釈・三國志』(20)も大ヒット!
そんなノリにのる大泉洋がユニークに引き立っている映画を今回はピックアップ!
何とねずみ男に扮した
『ゲゲゲの鬼太郎』(07)
大泉洋は、1973年4月3日、北海道江別市の生まれ。
大学在学中より北海道内でタレント活動を行うようになり、1996年よりスタートした「水曜どうでしょう」が高視聴率を稼ぐとともに全国展開されるようになり、知名度もアップ。
2004年に本格的に東京進出し、2005年に全国ネットのドラマ初出演し、2006年には「おかしなふたり」でドラマ初主演を飾ります。
そんな彼が2007年に出演した映画が本木克英監督による実写版『ゲゲゲの鬼太郎』で、彼が演じているのは何とねずみ男!
続編『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い唄』(08)にも出演していますが、どちらもずるがしこくもドジで鬼太郎を裏切ることが特技(?)でもある憎めない悪友を、単なるコスプレ以上の存在感で飄々と演じています。
ハードボイルドな大泉洋!
『探偵はBARにいる』(11)
大泉洋の映画における人気を決定づけたのは、このハードボイルド探偵シリーズでしょう。
東直己の推理小説「ススキノ探偵シリーズ」を原作に、「相棒」主要スタッフが集結して制作した作品です。
北海道札幌市すすきののバー「ケラーオオハタ」に入り浸っている私立探偵の「俺」(大泉洋)とその助手・高田(松田龍平)が毎度事件に巻き込まれながら真相を追っていくというもの。
第1作『探偵はBARにいる』が第35回日本アカデミー賞優秀主演男優賞、第2作『探偵はBARにいる ススキノ大交差点』(13)が第18回日本インターネット映画大賞日本映画主演男優賞(『清須会議』と併せて)、そして第3作『探偵はBARにいる3』(17)が第41回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞と、新作を発表するごとにその演技が讃えられ続けています。
原田眞人監督の時代劇映画で好演!
『駆込み女と駆出し男』(15)
2013年の『清須会議』では羽柴秀吉を飄々と演じていた大泉洋ですが、時代劇映画といえばこちらの『駆込み女と駆出し男』も忘れてはいけません!
井上ひさしの小説「東慶寺花だより」を原案とし、原田眞人監督が江戸幕府公認の“縁切寺”に逃げ込む女たち(満島ひかり、戸田恵梨香など)の悲喜こもごもを描いた作品。
大泉洋は離縁調停を司る御用宿に居候している見習い医師の信次郎に扮し、女たちの手助けをしていきます。
この作品で彼は第58回ブルーリボン賞主演男優賞を受賞する好演。
ますます演技者としての貫禄が出てきながらも、その親しみやすい存在感に変わりはないのが嬉しいところです。
女子高生に恋された冴えない中年男!?
『恋は雨上がりのように』(18)
『恋は雨上がりのように』は、個人的に大泉洋の出演映画の中で一番好きかもしれません。
肩月じゅんの人気コミックを原作に、バイト先のファミレス店長に想いを寄せる女子高生あきら(小松菜奈)の恋を切々と描いた抒情派ラブ・ストーリーの名編。
大泉洋はもちろん、そのファミレス店長・近藤正己45歳。
一見冴えなく頼りない中年男で、ストレスで10円ハゲができたりすることもありますが、実は若い頃に小説家を目指していたという元文学青年。
そうした何気ない気品みたいなものも、もしかしたら陸上の夢に挫折して落ち込んでいたヒロインの心の琴線に触れたのかもしれませんね。
この年の大泉洋は他にも『焼肉ドラゴン』、『パパはわるものチャンピオン』、『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』と秀作を連打し、これらと併せ技で第23回日本インターネット映画大賞日本映画主演男優賞を受賞しています。
太宰治もびっくり!?な男女の駆け引き
『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』(19)
こちらの『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』は、太宰治の未完の小説「グッド・バイ」を独自の視点で舞台化したケラリーノ・サンドロヴィッチの戯曲を成島出監督のメガホンで映画化した喜劇となります。
終戦直後を舞台に、優柔不断ながらもなぜか女にモテモテで愛人多数の文芸雑誌編集長(大泉洋)が生き方を改めて女たちと縁を切るべく、金にがめつい担ぎ屋のキヌ子(小池栄子/舞台版でも同役を演じました)を偽りの妻として雇ったことから始まる騒動の数々!
両者の織り成すデコボコ偽夫婦としてのコンビネーションが実に妙味で、水と油の男女だからこそ醸し出し得る良質の大人のコメディに仕上がっています。
実際の太宰の小説や、彼の人生などとも照らし合わせて見てみると、また面白さも倍増することでしょう。
(文:増當竜也)
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