『るろうに剣心』に影響を与えたアメリカンコミックス
キャラクターのモデルにマーベルの影
『るろうに剣心』の原作者である和月伸宏さんは、歴史や格闘ゲームに並び、大のアメコミ好きで、雑誌の企画として「傑作アメコミ映画BEST10」を発表した過去があるほか、単行本のコメントコーナーでは、キャラクターのモデルにMARVEL作品の名前を挙げることもしばしば。そのため、原作漫画では、『X-MEN』の登場人物を中心に様々なヒーローがキャラクターのモデルとなっています。今回は、その中でも特に影響を与えたとされる3体をピックアップして、ご紹介します。
ウルヴァリン
突然変異で超能力を手に入れてしまった人々・ミュータントの戦いを描くアメコミシリーズ『X-MEN』。その中でも、とりわけ、有名なのが、3本のスピンオフ映画まで作られた人気キャラクター・ウルヴァリンです。ヒュー・ジャックマンさんの名演で広く知られるこのキャラクターですが、漫画版『るろうに剣心』では彼を彷彿とさせる敵が登場。
それは、原作漫画の第3巻以降、主人公が立ち向かう敵集団・御庭番衆の一人・般若です。
実写版第1作では、綾野剛さん演じる外印に設定が引き継がれていたこのキャラクターですが、単行本第4巻に登場する剣心とのバトルシーンでは、なんと、両手に各3本の鈎爪を装着。明治初期という時代設定ゆえに、若干、突飛にも感じるこの描写には、アメコミファンである和月さんのこだわりが垣間見えます。
ちなみに、ウルヴァリンを描いた作品の中でも屈指の名作とされるフランク・ミラー版『ウルヴァリン』では、愛する日本人女性を守るため、ウルヴァリンが日本で大活躍。(のちに『ウルヴァリン:SAMURAI』として実写映画化。)
主人公の「愛」と「怒り」を中心に描いたこの物語は、まもなく公開される『るろうに剣心 最終章 The Beginning』の原作・追憶編にも影響を与えたと言われています。
ヴェノム
日本における人気も高いアメコミヒーロー『スパイダーマン』。普段は高校生である青年・ピーターパーカーが様々な敵と戦う本シリーズですが、その悪役の中でも圧倒的な存在感で、近年、スピンオフ映画も公開された人気キャラクター・ヴェノムも、『るろうに剣心』に影響を与えたアメコミキャラクターの一人。
『るろうに剣心』クライマックスの人誅編では雪代縁率いる敵集団が登場しますが、メンバーの一員・八ツ目無名異のヴィジュアルは、まさしくヴェノムそのもの。原作漫画第23巻に掲載された作者のコメントによると、八ツ目無名異は、前述のウルヴァリンやカーネイジ(同じく、スパイダーマンの悪役で、映画『ヴェノム』最新作にも登場予定)も混ぜ合わせたキャラクターとのことで、和月さんのアメコミ愛が詰まったキャラクターとも言えるのです。はたして、まもなく公開される実写映画最新作に登場するのかにも注目です。
ガンビット
日本での知名度は低いですが、『X-MEN』の人気キャラクターとして、一時はスピンオフ映画の製作も噂されていたガンビットも『るろうに剣心』に多大な影響を与えたと言われています。棒術での戦いを得意とするキャラクター・ガンビットは、『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』では、テイラー・キッチュさんが演じており、サブキャラクターながらも確かな存在感を残していました。
『るろうに剣心』では、鵜堂刃衛と四乃森蒼紫という人物に、その魅力が反映されています。原作第2巻の記述によると、凶悪な人斬り・鵜堂刃衛(実写版キャスト:吉川晃司)には、黒のタイツで身を包んだ風貌や顔などの全体的な部分に、第4巻の記述からは、人気キャラクター・四乃森蒼紫(実写版キャスト:伊勢谷友介)の特徴的なコートに影響を受けたことが示唆的に紹介されています。
これらのキャラクター以外にも、原作コミックでは、緑の怪物・ハルクや『X-MEN』に登場する様々なミュータントをモデルにした悪役が登場。
また、クライマックスの人誅編(『るろうに剣心 最終章 The Final 』の原作エピソードでもある)には、MARVEL作品を彷彿とさせるキャラクターが多数登場するので、気になった方は、ぜひ、映画の予習も兼ねて、原作コミックにも触れてみてください。
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