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『stay』レビュー:空き家に住み着く若者たちと、立ち退かせたい若者の不思議な交流



■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT

本来住んでいた人が亡くなったりして、そのまま空き家と化して放置されたままの廃屋は、今や日本全国至るところに見受けられ、これからさらに増え続けていくものと思われます。

同時にそれは深刻な問題として対処していかねばならない事象でもあるでしょう。

一方では長引く不況のせいもあってか、家を失くしてしまった人も増え続けている昨今、本作のように住むところのない若者たちが、シェアハウス感覚で勝手に廃屋に住み着くといったケースも増えていくのかもしれません。

その意味でも実にユニークな発想で企画された作品であり、現代日本のインディペンデント映画を牽引する若者たちならではの作品であるともいえます。

面白いのは、人が数名集まるとどうしても力関係なり上下関係なりが生まれてしまうことを、サラリと語り得ていることでしょう。



ここでは菟田高城扮する鈴山がこわもてのリーダー格として登場し、住居不法侵入の彼ら彼女らを立ち退かせようとする役所の矢島(山科圭太)にも圧をかけつつ、いつのまにか自分の支配下に置いてしまいますが、その過程に何ら違和感がありません。

一方では共同生活に飽きたのか、鈴山が嫌になったのか、家を出ていく者も続出したり、かと思うと新たな住人が現れたりと、出会いと別れを繰り返す人生の機微みたいなものまで、実にさりげなくも巧みに描出されています。

その意味では金子鈴幸の脚本、藤田直哉の演出が明快で、さらには『猿楽町で会いましょう』の石川瑠華や『ろくでなし』の遠藤祐美らも含む若手キャストそれぞれの存在感も好もしく醸し出されており、今後の期待という点でも本作に携わったスタッフ&キャストの名前は覚えておかなくてはという気にさせられます。

上映時間39分の中編ではありますが、見応えは十分!

改めて日本のインディーズ映画の実力を知らしめる作品としてプッシュしておきたいものが大いにあるのでした。

(文:増當竜也)

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(C)東京藝術大学大学院映像研究科