「Netflixに映画がありすぎてどれを観たらよいかわかりません」|映画で答える人生相談
「Netflixに映画がありすぎてどれを観たらよいかわかりません」
ご質問ありがとうございます。「Netflixに映画がありすぎてどれを観たらよいかわかりません」とのこと。お悩み非常によくわかります。どれを観たらよいのか、私もわかりません。
画面にたくさんの作品サムネイルが並んでいると、どれを選べばいいか迷ってしまいますよね。私も昼食を食べながらNetflixで映画を観ようと思い立ち、「探しているうちに食い終わってしまった」なぞ日常茶飯事、気付いたら数時間映画を検索した結果、なぜか毎回『ザ・コア』を観て自責の念に駆られるなど、楽しくNetflixライフを満喫しております。
選択肢が多いと人は選べなくなるもので、迷いやすくなり、選択自体をやめてしまうこともあるそうです。「選択のパラドックス」というらしいですが、真偽はさておき、多すぎる選択肢が時に制約になってしまうのは、あながち間違いではないでしょう。
ただ、ここでひとつの疑問が立ち上がります。Netflixの作品は、本当に「ありすぎる」ほど多いのでしょうか? 検索をかける限り、Netflixは作品総数を公開していません。一説には5,000以上と言われているので、ひとまずその数値を参考にしてみます。
一般社団法人日本映画製作者連盟が公表している数値によりますと、1955年〜2020年まで、スクリーンにかかった映画は洋・邦あわせて概ね年間500〜1,200本ほど公開されているそうです。もちろんこれは劇場公開のみの数値ですので、レンタル向け作品やビデオ・DVDスルーした作品は入っていません。
この数値を見る限り、Netflixが提供している本数は、少ないとは言えないまでも、「ありすぎる」というのはちょっと大げさかもしれません。
ちなみに令和2年時点で、日本には幼稚園から大学までおよそ5万校以上があり、ほぼすべての学校で校歌があるとすると、Netflixのアイテム数は校歌の10分の1程度だといえます。
校歌が一大ジャンルであるという驚愕の事実はさておき、繰り返しますがNetflixが提供している本数は、少なくはありませんが、「ありすぎる」とは言い切れないでしょう。
ただ「ありすぎる」とは言えないまでも、数千本以上あるのですから、月額料金を考えれば選択肢としては十分です。しかし、その数千本の中から選ぶための検索性の低さこそ、実は「何を観たら良いのかわからない」といったお悩みを加速させていると見積もります。Netflixだけでなく映画を配信しているサブスクリプションサービスは、基本的に検索性がそこまで高くありません。
NetflixのPCファーストビューは、おすすめ作品が大きく表示され、その下にカードが並んでいるように「もう一度観る」「人気急上昇の作品」といったメニューが並んでいます。もう少し深く検索するためには、左上にある「TV番組・ドラマ」「映画」などのメニューを選択して、ジャンルで絞り込む必要があります。
ちなみに、「TV番組・ドラマ」「映画」ではジャンルを選ぶことができますが、デフォルトのままだと公開年や作品名などでソートができません。右上にある四角が4つ並んだアイコンをクリックすると、そこからプルダウンで簡単なソートが可能です。この際、作品サムネイルがタイル状に並びますので、視認性も向上します。
ちなみに今、公開年順でソートしてスクロールしていったところ、最後は『新感染 ファイナル・エクスプレス』までしか表示されませんでした。一方、「受賞歴のある映画」というジャンルでソートしたところ、最後は『オズの魔法使い』続いて『羅生門』となっています。ソートの精度にも少々不安が残りますが、こちらの方が圧倒的に観たい映画を見つけられることでしょう。ぜひお試しください。
と、「検索し辛いじゃねぇか」と勢いディスになってしまいましたが、決して検索性を下げることにより、あえて作品数を多く見せかけるような陳列商法だとは思いません。私個人としては、この不自由は楽しく、どちらかといえば、個人経営のレンタルビデオ屋のようなノスタルジーを感じます。
「今日は旧作が4本1,000円だし、ポイントカードも溜まったから1本無料で借りられるんだ」とワクワクしながら、単館系をすべて「アート・B級」のコーナーにブチ込むのに、18禁SM作品を「ソフト・ハード・アート」で細かくジャンル分けするようなこだわりのビデオ店に入店し、迷路のように設置された棚の周りをぐるぐるしながら陳列されたビデオを手に取り、パッケージを眺め、借りようかどうか思案するような時間は、間違いなく幸せな悩みを含有していました。
とすると、本来「映画がありすぎてどれを観たらよいかわかりません」というのは幸福な悩みなのではないでしょうか。『裕福の飢餓』とも言えますが。
レコードはよくディグるといいますが、レンタルビデオ屋での行動も同じです。Netflixもまた、その検索性の低さからディグる楽しみがあるといえるでしょう。掘って掘って、宝物のような1本に出会ったときは結構嬉しいものです。
とにかく、まずはお悩みを逆手に取って、「選ぶ・探すのを楽しむ」ことからはじめてみてはいかがでしょうか。選んだ作品が駄作だとしても、それはそれで思い出になります。もし、それでも選べない場合は『ザ・コア』をご覧ください。
(文:加藤 広大)
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。