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「ソロ活女子のススメ」で話題の江口のりこ、そのキャリアを5本の映画で振り返る!



4月よりテレビ東京系でスタートしたドラマ「ソロ活女子のススメ」が話題を集めています。

退社後のひとり時間“ソロ活”を贅沢に楽しんでいく出版者の編集部員・五月女恵の日常を描いていくもの。

ヒロインを務める江口のりこはこれが民放の連続ドラマ初主演ですが、その前に「半沢直樹」の怪演でも話題を集めるなど、今最も注目されている女優のひとりで、そうした勢いも昂じて今回の好評に結びついているのでしょう。

TBS「ドラゴン桜」の理事長役も、2005年の前シリーズで彼女は暴走族役で出演していたことから、「もしかして、あの特攻服ヤンキーが理事長になったの?」などと、SNSを賑わせていますね。

実はキャリア20年以上のベテラン、今回はそんな江口のりこが印象的だった映画を振り返ってみたいと思います。

記念すべき初主演映画
『月とチェリー』(04)



 1980年生まれの江口のりこは1999年に劇団東京乾電池のオーディションを受けて研究生となり、2000年に入団。

映画デビューは、2002年の三池崇史監督作品『金融破滅ニッポン 桃源郷の人々』。

そして2004年に初主演した映画がタナダユキ監督の『月とチェリー』でした。

新進気鋭の6人の監督がエロスをテーマに描く“ラブコレクションプロジェクト”の第6弾作品で、二浪して大学に入った田所くん(永岡佑)がなぜか官能小説サークルに入り、そこで唯一の女性部員であり性に奔放な真山さん(江口のりこ)から小説のネタとして童貞を奪われ、その後も何かと翻弄されていくというもの。

1980年代のライト&コミカルなにっかつ(当時は漢字ではなく、ひらがな表記だったのです)ロマンポルノを彷彿させつつ、男性が想像しがちな類型的ヒロインに全然成り得ていないあたりも妙味の青春映画で、そんな真山さんを江口のりこはそっけなくも初々しく演じてくれています。

戦争の狂気を体現する
『戦争と一人の女』(13)

 

その後も毎年コンスタントに、それこそ多い年は映画だけで10本以上も出演するなど旺盛に活動を続けていく江口のりこですが、井上淳一監督の『戦争と一人の女』(13)はそんな彼女の大きな飛躍の作品になった感もあります。

GHQの検閲で大幅に削除された坂口安吾の短編小説の無削除版および他作品などを組み合わせて原作とするこの作品、太平洋戦争末期の東京を舞台に大きくふたつのエピソードが交錯しながら展開されていきます。

ひとつは、世の暗鬱を忘れるかのようにひたすら“関係”し続ける、飲んだくれの小説家(永瀬正敏)と元娼婦で不感症の女将(江口のりこ)。

もうひとつが中国戦線で片腕を失くし、強姦魔と化して次々と女を騙しては襲う傷痍軍人(村上淳)。

戦争がもたらすさまざまな狂気や退廃の発露がエロスをモチーフに描かれていく問題作で、「映画芸術」誌では2013年度ベストテン&ワーストテン共に10位にランキングしたという事実だけでも、いかにその年の映画ファンを騒然とさせたかがご想像できるのではないかと思われます。

江口のりこもまた「狂った世界の中で狂った行動をとることは普通である」と言わんばかりの赤裸々な映画のメッセージをのっぺりと体現しながら異彩を放つとともに、生と性の狭間に置かれた者の生々しい強さも弱さも脆さも、どこか虚無的に露にしてくれるのでした。

被告人の母を健気に演じた
『ソロモンの偽証』(15)



出番の大小に関わらず、常に強烈なインパクトを見る側に示し続けてくれる江口のりこ。

同級生の自殺を巡って藤野涼子(藤野涼子)ら中学生生徒が自ら真相を暴くべく裁判を開くさまを描いた宮部みゆき原作、成島出監督『ソロモンの偽証 前篇・事件』『同 後篇・裁判』(共に15)の二部作もその一環です。

ここでの彼女はイジメ・グループのリーダーでもある被告人・大出(清水尋也)の母親役。決して出番は多くありませんが、夫はDVで、息子は殺人の汚名を着せられ、おまけに火事で家は全焼するは義母は死ぬはですっかりノイローゼになり、それでも我が子のために証言台に立とうとするも……といった弱くも優しい母を真摯に演じています。

どちらかといえば気丈で飄々とした雰囲気の役柄が多い江口のりこではありますが、こういったある意味普通ともいえる女性の役も健気にこなすこともできる実力の持ち主であることを、改めて知らしめてくれる作品とも言えるでしょう。

一見さばさばしてガサツでも
本当はイイ女『愛がなんだ』(19)

続いては、かなりイイ女の江口のりこを1本ご紹介。

角田光代の同名小説を今泉力哉監督が映画化し、クリーンヒットを放った『愛がなんだ』(19)は、ダメンズの代表格ともいえるマモちゃん(成田凌)に一目ぼれしてしまったテルコ(岸井ゆきの)の切ない恋の受難を描くもので、見る側の多くは「もし自分だったら……?」と思わずにはいられないほどリアルで繊細な心情が綴られていきます。

その中でマモちゃんが夢中になっているのが、江口のりこ扮するすみれさんなのでした。

このすみれさん、一見サバサバしたガサツな女のようで、実は自由奔放ながらもしっかりしていて、意外と相手への気配りもなされていて一切ぶれることのないクールな女性であり、そんな彼女を江口のりこは粋に演じてくれています。

これならマモちゃんならずとも、目の前に彼女がいたらかなりの男どもはツボにはまってしまうことでしょう。
 

日本アカデミー賞優秀助演女優賞受賞
『事故物件 恐い間取り』(20)



2020年度の日本アカデミー賞で江口のりこが優秀助演女優賞を受賞した作品が『事故物件 恐い間取り』(20)です。

殺人事件などの事故物件に住みながら、その模様をTVで紹介していく売れない芸人ヤマメ(亀梨和也)が遭遇していくさまざまな恐怖。

しかし番組は盛り上がり、主人公は次々と新たな物件を物色していくのですが、そんな彼に事故物件をどんどん紹介していく不動産屋さんを演じているのが江口のりこです。

いつもながらの飄々とした風情で主人公を知らず知らずのうちに恐怖のどん底へ落とし込んでいく(?)、そのビジネスライクな対応の数々もまた実に彼女らしい妙味。

正直なところ、この作品以上に彼女が魅力的に映えている作品が多々あることも間違いはないのですが、これまで長年キャリアをじっくり積み重ねてきた上での代表作の1本として、今回この作品が選ばれたと捉えるのが一番気持ち良いだろうとも思っております。

(文:増當竜也)
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