祝!星野源&新垣結衣結婚!「逃げるは恥だが役に立つ」の魅力を再検証する
ものすごい、おめでたいニュースが飛び込んできました。俳優の新垣結衣と俳優でシンガーソングライターの星野源が結婚を発表したのです。
この二人と言えば何と言っても2016年10月期のTBS系金曜ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」でしょう。
この通称“逃げ恥”は初回から視聴率を上げ続けて、最終回には20.8%を超える大ヒットを記録し社会現象化しました。
また、星野源が唄ったエンディングテーマ「恋」も大きな話題となり、この曲に合わせてメインキャストが披露する“恋ダンス”にチャレンジするダンス動画がネット上に溢れました。
2021年の正月には約5年ぶりの新作スペシャルドラマ「ガンバレ人類!新春スペシャル!!」が放映されたことは記憶に新しいと思います。
一部報道によると新垣結衣と星野源はこの新作スペシャルドラマで再会したことを経て真剣交際に至ったとのことです。
新作スペシャルドラマでは新垣結衣演じるみくりの妊娠を機に、星野源演じる平匡と事実婚の状態から入籍する展開となりましたが、二人は現実の世界でもこの流れを実現させて見せたことになります。久しぶりに芸能界のロマンティックな部分を見た気がします。
ネット上などでは驚きの声と共に“お似合いだ”“新垣結衣の相手として最適”“久しぶりにおめでたい話”“逃げ恥婚”などのコメントが飛び交っています。
そこで改めて二人の縁を結んだドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の魅力を再確認しておきたいと思います。
1:爆発した新垣結衣の魅力
ティーンエイジャーの頃から青春ラブストーリーなどのジャンルの映画・ドラマでヒット作、話題作を連発していた新垣結衣。そんな彼女が20代に入って出演した「リーガル・ハイ」シリーズ辺りから一気にコメディエンヌとしての魅力を発揮していきます。
また、その一方でシリアスで芯の強さを併せ持ったキャラクターを「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」シリーズを通して演じて見せました。
この二つのキャラクターを経たタイミングで新垣結衣は「逃げるは恥だが役に立つ」に出演することになります。
結果、硬軟両方のキャラクターで代表作を得ていた新垣結衣の魅力は“逃げ恥”で爆発します。
撮影現場では新垣結衣が可愛すぎる故に“カワイイ禁止令”が出たというエピソードを脚本家の野木亜紀子が語っていますが、新垣結衣はそんなチャーミングさを見せると同時に強い心の芯を併せ持つみくりを好演しました。
さらにパロディシーンなどでは絶妙な反射神経を見せてドラマ視聴者を飽きさせることはありませんでした。
2:絶妙な星野源の存在感
連続ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」は不器用なカップルの物語ですが、明らかに新垣結衣が主役で、星野源はあくまでも相手役でした。今でこそ、主演型俳優といっていい星野源ですが、5年前の連続ドラマの放映時にはまだ“知る人ぞ知る”と言いますか、少なくとも一人で主役を張るタイプの俳優ではありませんでした。
そんな彼がプロの独身の平匡を演じたのですが、この彼の主役になり切っていない立ち位置が視聴者から“ガッキーの相手役として丁度いい”と受け入れられました。ドラマを楽しむ時にガッキーの相手役としての不満や嫉妬を視聴者が抱かずに見れたことはとても大きかったです。
連続ドラマの時の番組のポスターでは新垣結衣が単独で中央に居ますが、5年が経ち星野源が主役型俳優としての地位を固めた2021年のスペシャルドラマの時には二人が中央に居るようになっているのは時間の経過を感じます。ガッキーの相手役として程よい立ち位置に居続けることができた星野源を平匡役に据えたのは絶妙なキャスティングと言えます。
3:野木亜紀子脚本とキャスト・テーマの相性の良さ
大学院にまで進んだものの就職活動に失敗し、さらに派遣切りにあったみくりと自称プロの独身の平匡が契約結婚をする。人との付き合い方、社会での生き方が決して得意ではない二人の結婚生活を通して、今、社会に生きる様々な世代の人々(=視聴者)が抱える“生きづらさ”を取り込んだ脚本を手掛けたのは野木亜紀子。
基本的にラブコメディなので敷居が低く、すんなりとドラマに入れ、それでいて取り込まれた現代の諸問題について“押し付けない程度”に考えさせる脚本は海野つなみの原作のエッセンスを保ちながら、ドラマとしての“逃げ恥”を確立させました。
野木亜紀子は“逃げ恥”と前後して「空飛ぶ広報室」「掟上今日子の備忘録」「獣になれない私たち」と新垣結衣主演ドラマを立て続けに手掛ける一方で、星野源主演の「MIU404」も手掛けるなど、主役の二人との相性の良さを感じます。野木亜紀子は二人の活かし方のポイントがわかっているようですね。
4:新旧の芸達者が隅々にまで揃った共演陣
新垣結衣と星野源を囲む共演陣も絶妙というか、痒い所に手が届くという感じが並んでいます。みくりの伯母の百合を演じた石田ゆり子は本作で改めてその魅力のとりこになる人が現れたほか、平匡の同僚トリオに古田新太、大谷亮平、藤井隆が好演。大谷亮平演じる風見と百合の年の差恋愛にも注目が集まりました。
さらに、みくりの親友で元ヤンのやっさんに真野恵里菜、百合の部下には山賀琴子に加えて今や主役級の成田凌が登場しています。ほか古館寛治、モロ師岡、高橋ひとみ、宇梶剛士、富田靖子などなどが主役の二人を囲みます。最終回では藤井隆の妻役で実生活でも藤井隆の妻である乙葉がサプライズ出演するという遊びもありました。
今回の新垣結衣と星野源の結婚で“逃げ恥”からリアルな世界で夫婦となったわけですが、その先人がいましたね。
スペシャルドラマでは青木崇高、西田尚美がキーパーソンで登場。決して登場シーンが多くないキャラクターでも滝沢カレンや前野朋哉など名の通った俳優が演じていて、そんな豪華なキャストを発見して回るのも“逃げ恥”の楽しみ方の一つでしょう。
5:徹底的に作りこんだパロディ&オマージュ
最終回で乙葉が登場したことなどをここまで挙げてきましたが、とにかく視聴者を飽きさせなかったのが“逃げ恥”の中で展開されるパロディ&オマージュを散りばめた、製作側の遊び心です。連続ドラマの時には同じTBS系列の「情熱大陸」から始まり「NEWS23」「ザ・ベストテン」「東京フレンドパークⅡ」といったものを見事に再現しました。
このパロディ・オマージュはなんと他局にも広がりNHKの「大河ドラマ・真田丸」「プロフェッショナル仕事の流儀」、テレビ朝日系列の「大改造!!劇的ビフォーアフター」、テレビ東京系の「新世紀エヴァンゲリオン」「開運!なんでも鑑定団」などのパロディも披露。
基本的に新垣結衣演じるみくりの妄想の世界の出来事なのですが、みんな知っているからこそごまかせない部分が多いネタが続く中で最後まで密度の濃いパロディ・オマージュを展開しました。
みくりの“令和おじさん”ネタで始まったスペシャルドラマでもNHKの「ねほりんぱほりん」と本格的にコラボを展開。NHKの番組内でTBSのスペシャルドラマの番宣が行われるという珍事まで生みました。
まとめ
これらのキャスト、スタッフ、演出、遊び心が充実したストーリーが毎週繰り広げられ、そして最後に“恋ダンス”で締めくくられるという「逃げるは恥だが役に立つ」は、見た後の満足度が非常に高いまま終わり、次の週を待ち焦がれるという好循環を生み、結果大ヒットを記録しました。そのヒットがスペシャルドラマを生み、遂には主演のメインカップルが現実でも結婚するという究極のハッピーエンドに繋がった形になりました。
敢えて、残念なことを上げるとすれば“逃げ恥”の新作の実現が難しくなったことくらいでしょう…。とは言え、こんなにニュースを聞いた人たちが嬉しくなることもなかなか無いので、ここは素直に、嬉しい感情に浸るのが良いのでしょう。
(文:村松健太郎)
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