映画コラム

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2021年05月21日

『アラジン』など、実写リメイクでアップデートされたディズニーの女性キャラクターたち3選

『アラジン』など、実写リメイクでアップデートされたディズニーの女性キャラクターたち3選



2021年5月21日に金曜ロードショーで放送された『アラジン』や、まもなく公開される映画『クルエラ』など、往年の人気作が続々とリメイクされているディズニーの実写映画。

その人気はとどまる所を知らず、日本では『美女と野獣』が124憶円、『アラジン』が121憶円と記録に残る大ヒットを記録してきました。

今回の記事では、これまで数多く製作されてきたディズニーの実写化作品を振り返ります。

『アラジン』に登場したプリンセス・ジャスミンを筆頭に、アニメ版とは、女性キャラクターの描き方が大きく変化した3作品をご紹介。

こちらの記事を読んで、是非、アニメ版と実写版の違いを見比べてみてはいかがでしょうか。

ディズニーの実写リメイクブーム


近年、次々と公開されているディズニーの名作実写リメイク。そのブームの発端とは、一体、なんだったのでしょうか。

始まり:『アリス・イン・ワンダーランド』




原点の一つとして考えられるのは、2010年に公開された『アリス・イン・ワンダーランド』の大ヒットでしょう。

アバター』から始まったデジタル3D映画のブームに乗り、ディズニーが公開した名作アニメの実写版は、世界興行収入が10憶ドルを超える大ヒットを記録。

日本でも118億円の大成功をおさめ、実写映画となっても、ディズニーの名作には根強い人気があることを証明しました。

以降、ディズニーは、プリンセスの実写映画を中心に、過去の名作たちを次々に実写化。

2019年に公開された『ライオンキング』では、世界興行収入が16憶ドルを超え、ディズニーアニメ実写作品の最高記録となる偉業を達成しました。

また、日本では、『アリス・イン・ワンダーランド』、『マレフィセント』、『シンデレラ』、『美女と野獣』、『アラジン』、『ライオン・キング』の5作品が興行収入50億円を超える大ヒット。

年間興行収入ランキングの常連として、映画業界を支えるほどの地位も獲得しています。

それでは、そんな名作アニメ実写版の魅力とは何なのでしょうか。

ここからは、アニメ版と実写版で、女性キャラクターの扱いが大きく変更された3作品をクローズアップして、紹介していきます。

アップデートされた女性キャラクター3選

その1:『アラジン』




アラジン』は、魔法のランプを手に入れた青年・アラジンが、ランプの妖精・ジーニーと壮大な冒険を繰り広げる物語。

1992年には、ディズニーがアニメ映画を製作し、2019年に実写版が製作されました。

そんな名作の実写版では、時代の変化を反映して、ヒロインである王女・ジャスミンの行動が大きく変化しています。

アニメ版では、好奇心旺盛・冒険心のある女性という描写が印象的だった彼女。

しかし、一方では、物語のヒロインとして主人公に助けられる場面や、人質として大きな砂時計に監禁されるような弱さが強調される部分もありました。

これに対して、実写版では、男性に屈しない勇敢な女性としての描写や展開が増加しています。

男性の権威が強い王国で信念を曲げずに行動する姿や、ジャファーの謀略に屈しない姿勢。アニメ版から追加されたオリジナル楽曲『Speechless』も、そんな彼女の姿を強調する名曲と言えるでしょう。

また、オリジナルキャラクターである侍女・ダリアが登場したことで「自立した女性像」が肯定される物語も見事。

オリジナル版とは異なるジャスミンの顛末も含めて、#MeToo運動を経て、より世間に認知されるようになったフェミニズムを反映した内容になっているのです。


その2:『マレフィセント』




マレフィセント』は、1959年に公開されたアニメ映画の名作『眠れる森の美女』悪役・マレフィセントを主役に、新解釈で実写化した2014年の作品。

本作では、これまで「悪女」と語られてきたキャラクターを、彼女視点から描くことで、より多面的で深みのあるキャラクターとして描くことに成功しています。

原作となったアニメ『眠れる森の美女』では、主人公・オーロラ姫を苦しめる魔女という一面のみが強調されたマレフィセント。

しかし、実写映画では、彼女の幼少期から物語が始まり、観客は全く異なる印象でキャラクターを受けとめることになります。

秘密の初恋やオーロラ姫の父・ステファン王との確執、オーロラ姫への秘めた思い。

『眠れる森の美女』の裏側に隠された物語を知ることで、これまで「悪女」だと思われていたマレフィセントが、少しずつ「悲劇のヒロイン」のように見えてくるのです。

勧善懲悪に終わらず、キャラクターの様々な側面を描くこと。

それは、白黒がはっきり分けられない現代社会において、私たちが必要とされている「他者への想像力」について考えるきっかけにもなりえます。

一見、単純に物事を解決してしまいがちな「おとぎ話」という題材を、複雑な物語として描き直したことで、大人が見ても納得のいく人間ドラマとして、『眠れる森の美女』は生まれ変わったのです。

その3:『ムーラン』




ムーラン』は、身分を偽り、男性として軍に入隊したヒロインの活躍を描くディズニーの人気作。1998年のアニメ版に続き、2020年に実写作品が製作されました。

こちらも両作の違いが印象的で、実写版では、アニメ版と比べ、より「自分らしさ」が強調された物語が展開しています。

アニメ版は、お見合いを経験した主人公・ムーランが「女性らしさ」に思い悩む描写があるほか、クライマックスに、彼女の仲間たちが女装をし、相手を油断させる描写があるなど、「女性らしさ」、「男性らしさ」といった部分が描かれている印象を受けます。

しかし、一転して、実写版では、故郷の民家を飛び回る冒頭の主人公の様子からも「女性らしさ」に思い悩んでいる描写はほとんどなく、一貫して「自分らしさ」を求める主人公の姿が描かれていきます。

不思議な力を開花させ、自分自身の力で未来を切り拓いていくムーラン。

実写版オリジナルキャラである魔女・シェンニャンの存在も踏まえ、「ありのままの自分でいること」を肯定した物語は、まさしく、性別を超え、一人の人間としてのあり方を問う現代ならではの視点だと言えるのです。


このように、現代的な視点で物語をアップデートし、名作の価値を再創造させてきたディズニーの名作実写映画。

ここまで紹介してきた作品は動画配信サービス“ディズニープラス”で配信中。

28日からは同サイトのプレミアアクセス(別途料金が発生します)にて、『101匹わんちゃん』から派生したディズニー実写映画の最新作『クルエラ』も鑑賞することが出来ます。

今後も、『リトルマーメイド』、『ピノキオ』、『ピーターパン』など、様々な名作の実写リメイクが予定されているディズニー映画。

ぜひ、今のうちに、これまでのアニメ版と実写版を見比べて、今後の新作映画に備えてみてはいかがでしょうか。

(文:大矢哲紀)

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