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2021年06月29日

「シェフは名探偵」第4話レビュー:三舟はどんな人間なのか 彼が見せたシェフとしてのプライド(※ストーリーネタバレあり)

「シェフは名探偵」第4話レビュー:三舟はどんな人間なのか 彼が見せたシェフとしてのプライド(※ストーリーネタバレあり)


西島秀俊が主演のテレビ東京系新ドラマ「シェフは名探偵」が2021年5月31日より放送開始となった。

本作は、小さなフレンチレストラン「ビストロ・パ・マル」のシェフ・三舟忍(西島秀俊)が、人並み外れた洞察力と推理力で、訪れた客たちの巻き込まれた事件や不可解な出来事の謎を解決していくグルメミステリー。

本記事では、その第4話を紐解いていく。

第4話レビュー



今回、店に訪れたのはいずれも三舟の知人である南野と羽田野。南野は三舟がフランスでの修行を終えて帰国後に働いていた店の見習い。そして羽田野は三舟がリヨン時代に同じ店で修行していた。

南野はオーナーシェフとして店を出すことになり、羽野田はすでに3軒の店を経営するようになっていた。それぞれが飛躍しての再会は嬉しいものだ。しかし、すぐに不穏な空気が……。

 
第4話のキーワードになったのが「プライド」。SNSで「パ・マル」に関する「最低だった」「ラタ・トゥイユは食べられたもんじゃない」というネガティブなコメントを見つけた高築。志村や金子もそのコメントに憤るが、三舟は「その人はそう思ったんだろ」と、あっさり。その様子に高築は納得がいかない。

また、予約のお客さんからヴィーガン用の料理を作ってほしい、という要望が入り、それに応えたことも高築は疑問だった。乳製品が使えないため、バターが使えない。志村も豆乳を使うとフランス料理ではないというが、三舟はお客さんを受け入れる。「フランス料理人としてのプライドがないのかもしれない」と高築。

そして、そのお客さんの父は南野の店の出資者だということが発覚。同じ料理ながら、南野が作るもののほうがおいしかったと言われてしまい……。

実は南野はヴィーガンを希望した出資者の娘に、豚の背油を使用した料理を出していたのだ。ファッションでヴィーガンを好む人たちに食べさせたところで、味なんか分からないだろうというのが南野。事実を確認した三舟は憤る。

「その人が食べたくないと思っているものを食べさせた」

三舟にとって料理人としてのプライドは目の前のお客さんが望むものを精いっぱいの気持ちを込めて作るということ。だから、まずいというお客さんに対しても憤ることはないのだ。


一方、羽野田は――。彼女が経営する店には肉料理メインのお店、ゴージャスなコースを提供するお店、そして従業員が全員女性というお店……とそれぞれの特徴がある。羽野田はその女性ばかりの店でパティシエとして働く岸部を伴って「パ・マル」を訪れた。おいしい料理をいただき勉強をするため、そして、岸部にメイクをもう少し薄くするように、香水をつけないように、と注意するためでもあったのかもしれない。

しかし、その数日後、岸部は実家に戻るための休暇を取り、そのまま音信不通になってしまう。「マカロンはマカロン」というメッセージと共に「マカロン・ダミアン」を贈って。

困った羽野田は三舟を頼る。もしかしてリヨン時代にも名探偵ぶりを発揮していたのだろうか。期待に応えるように、見事に三舟はその謎を解いて見せる。三舟の推理は岸部がトランスジェンダーではないか、ということ。
日本でマカロンと言えば、色とりどりで美しいマカロン・パリジャンだが、マカロン・ダミアンはシンプルながらもこれもマカロンであることは違いない。「マカロンはマカロン」。「女は女」。「わたしはわたし」。

美しく飾ったマカロンだけがマカロン。美しく装った女性だけが女性であるかのように言うが、でもそうじゃない。直接は言えないけれど、知ってほしい、伝えたい思いが岸部にはあったということだろう。

大切なのはお互い尊重し合える人同士で作っていくことが大事。話を聞いていた金子が発した言葉に、羽野田もまた経営者としての「プライド」を確認する。


プライドは自分の行動の指針になるもののひとつだ。どこに自分のプライドがあるのか。それが明らかにされたことによって、三舟というシェフの理解が深まったように思える。更には、探偵に失踪した父親の行方を捜すことを依頼しているなど、新たな事実も。このことが今後の物語にどのように関わってくるのか、気になるところだ。

第4話ストーリー

偶然にも三舟忍(西島秀俊)の知り合い2人が来店。1人はフランスから帰国後に働いた店の見習いだった南野。近くにオーナーシェフとして店を出したといい三舟は祝福するが、南野の本心は...。もう1人はリヨン時代に同じ店で修行していた羽田野鈴子。今は経営にまわっていて、食事相手も羽田野の店のパティシエ岸部彩香だ。ソムリエの金子は料理人とは思えぬ岸部の雰囲気に違和感を覚える。

(文:ふくだりょうこ)

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