「八月は夜のバッティングセンターで。」第3話レビュー:川崎宗則選手が語る、千本ノックの大切さ(※ストーリーネタバレあり)
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わけあって夏休みにアルバイトをすることになった17歳の女子高生・夏葉舞(関水渚)と「バットのスイングだけで、その人の悩みがわかる」と豪語する47歳の謎の元プロ野球選手(仲村トオル)。
二人がバッティングセンターに現れる女性たちの悩みを「野球論」に例えた独自の「人生論」で解決へと導いていく。
本記事では、そんな話題作の第3話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
「八月は夜のバッティングセンターで。」第3話レビュー
今回の悩める女性は、和食やで職人として修業している果林(武田玲奈)。
働き始めて1年近く経つが、全然上達せず怒られてばかりだ。料理の専門学校時代成績が良く、コンテストで賞を取っていた果林は、自分の才能を生かさず下働きばかりさせられることに不満を感じていた。下働きなんて無駄だと思っているし、注意されても不満が顔に出てしまっている。さらに先輩に「こんなことするためにここに来たんじゃない、私は和食の可能性を広げるためにこの世界に入ったのに!」という始末。
おお……これはなかなか青い……。
バッティングセンターでも同じだった。「はじめから完璧にやりたい」と動画でプロのフォームをさんざん観たあとバッティングに臨むが、全然当たらない。
舞(関水渚)と伊藤(仲村トオル)が話を聞いたが、下積みや店への文句ばかり。
「あんだの考えが甘いのがよくわかった」と言う伊藤に怒る果林だが、またここであのセリフが出る。
「聞きたいか、俺の野球論」
今回は試合ではないようだ。そこには、練習している川崎宗則選手の姿があった。
「ムネリンこと、川崎宗則だ~! ついに現役選手!」
めちゃくちゃわかりやすい舞の叫び(説明)が野球初心者にはありがたい(川崎宗則選手はさすがに知っているけど)。
「たとえ同じような反復作業に見えても、そこには必ず意味がある」
そういう伊藤に、彼とあんたの決定的な違いがわかるかと聞かれるが、果林はわからない。
「彼は一本一本、その質を丁寧に確認しながら、その上で自分を酷使している。そこが一番違う」
「毎日の積み重ねに、あんたも全力で取り組んでみなよ」
ハッとした果林は、野球場に転がった川崎選手に「どうしてそんなことできるの?」と聞く。
「野球が(息切れ)野球が上手くなりたいから。千本ノックっていっても、いろんなシチュエーションを考えて受けると、結果千本になるだけで、実は千本じゃ足りないくらいなんだよ」
伊藤が続ける。
「側から見れば根性論、近くで見れば方法論てことだよ。プロでやってる人間は、みんな自分で自分を鍛え上げてる。そしてその先に、きっと栄光は待ってる」
翌日から、任された下積みに取り組む姿勢を変えた果林。注意もされるが、いいところを褒められる。笑顔で「ありがとうございます」と答えた彼女は、もう心配なさそうだ。
今回川崎選手の練習を見て神妙な顔をしていたのは果林だけではない。
舞もまた、彼を見て自分が練習していた頃を思い出していた。伊藤に頼み、外野で練習を見させてもらうことにした舞。快諾して「ついでにボールを拾ってやってくれ」と言い、少しため息をついた伊藤。舞が野球をやめた(?)事情を知っているのだろうか。
最後、誰かの家の前で呼び鈴を押すか迷う舞。チームメイトらしき人に「お見舞いにきたの?」と話しかけられるがひるみ、「続けるかやめるかはっきりしなよ」的なことを言われて逃げてしまう。舞の物語も徐々にわかっていくのが楽しみだ。
毎回登場する出てくる女性の悩みとゲスト選手のプレイスタイルがリンクしているところが魅力のこの作品。それだけでなく、毎回取り上げられる悩みが、誰でも体験する可能性があるところが素晴らしい。野球やゲストに興味がなくても、共感できる部分があるんじゃないかと思うので、ぜひいろんな方に観てほしい。
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第3話ストーリー
今井果林(武田玲奈)は和食屋で職人として修業を始めて1年経つが、手際が悪く先輩から怒鳴られる毎日。だが和食の可能性を広めるためにこの世界に入った果林は気にも留めない。バッティングセンターでも、最初から一流のフォームを真似しようとするがうまく打てず、イライラを募らせる。夏葉舞(関水渚)と伊藤智弘(仲村トオル)が話を聞くと、「下積みは不要」だの店の文句ばかり…。
考えの甘さに野球論を語り始める。
(文:ぐみ)
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