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『マスカレード・ナイト』解説:木村拓哉並び豪華キャストの活躍を絶対に見逃すな

豪華キャストを揃えた贅沢感満載のオールスタームービー



『マスカレード・ナイト』には『マスカレード・ホテル』から継続する形で、警察側の木村拓哉、小日向文世、渡部篤郎、泉澤祐希、篠井英介、梶原善が、ホテル側の人間として長澤まさみ、石川恋、東根作寿英、鶴見慎吾、石橋凌が引き続き登場しています。

『マスカレード・ホテル』ではこれらの面々に加えて、ホテルの利用客などのキャラクターとして、松たか子、濱田岳、前田敦子、笹野高史、高嶋政宏、菜々緒、宇梶剛士、橋本マナミ、田口浩正、勝地涼、生瀬勝久、明石家さんまが登場しており、中には数分間の出番で終わる人もいました。
 
『マスカレード・ナイト』では沢村一樹、田中みな実、中村アン、石黒賢、勝村政信、木村佳乃、凰稀かなめ、麻生久美子、高岡早紀、博多華丸がやはりホテルと事件に関わる存在として登場します。当然、決して長い出番ではない人もいます。

豪華キャストが前作でも美しいシンメトリーの構造で、圧巻のゴージャスさを醸し出したホテル・コルテシア東京のセットを舞台に一瞬の交錯を見せます。

ここまで隅々まで名前の通った役者で固めた作品というと、野村萬斎×池井戸潤の『七つの会議』、大泉洋主演の『騙し絵の牙』、渡辺謙主演の『Fukushima50』といったものぐらい。

ほかには変則的に『新解釈・三國志』、『るろうに剣心 最終章』二部作や『妖怪大戦争 ガーディアンズ』などの一種のコスチューム劇を範疇に入れるか入れないかというところでしょうか?

特徴の1つとして、チラシやポスターにこれでもか!?というほどキャストの顔が出ているのがあります。

テレビドラマの映画化作品だと、テレビからのお馴染みのレギュラーメンバーも出ますよということで、いっぱい顔が並ぶこともありますし、“オールスター映画”が多い印象もあるかもしれません。しかし、映画単体のオールスター作品となると、1年間で数えるほどしかありませんので、簡単には創れない体制の映画ということが言えます。


オールスターサスペンスはどうやって楽しむ?



少し胸焼けしてしまうほど、豪華キャストが並んだ『マスカレード・ナイト』。これは前作の『マスカレード・ホテル』や今回の『マスカレード・ナイト』のような“グランドホテル形式”(ひとつの場所に一堂に会した人々の物語が同時進行に進んでいくスタイル)のミステリーを成立させるためにはこの方法が必要なのです。

似たような作品を探すために、過去の映画史を紐解くとリメイクされたアガサ・クリスティー原作の『オリエント急行の殺人』や『ナイル殺人事件』などがすぐに挙がります。ライアン・ジョンソン監督の『ナイブス・アウト/名探偵と刃の館の秘密』もありましたね。

これらの作品も『マスカレード・ホテル』『マスカレード・ナイト』同様、隅々のキャラクターまで名前の通った俳優をキャスティングしています。

一般的に小さな役まで、それなりに名前の通った俳優をキャスティングするとなると、正直お金もかかりますし、時間もかかります。拘束時間やスケジュールの確保など、キャストとやり取りする時間も増え、手間ばかりがかかります。

しかし、オールスターサスペンスを成立させるためには、この方法しかありえません。

たとえば、“この中に犯人がいる!!”という内容で15人の中心人物がいて、1人が探偵でそのほかの14人の中に犯人がいるという話を作るとなったします。14人の中で知名度が明らかにほかのキャストと比べものにならないほどの俳優がいた場合、その並びを見ただけで観客は映画を見なくても“その人物が犯人か、最重要人物である”ことを感じ取ってしまう可能性がありますよね。

“この中に犯人がいる!?”と広告を打ち出しても、“明らかにこの目立っている人が犯人なんでしょう?”と感じてしまい、一気に興醒めして作品への興味を失ってしまう可能性が高くなるでしょう。

そのために、“誰が犯人かわからない”と映画に興味を持った観客(観客候補)に思わせるためには、たとえ全く本筋と関係がなくても、数分間の出番であっても、名前が通った俳優をキャスティングする必要があります。

『マスカレード・ナイト』のような贅沢な作品は、簡単に作れるものではありません。大手映画会社が時間と莫大なお金と人手を投入して、ある意味採算度外視で作られた映画なのです。

もちろん、大ヒットを狙っていますが、それ以上に『マスカレード・ナイト』のような贅沢な映画を作れる大手映画会社が限られている中で、ある種の責務として作っていかなくてはいけない映画のスタイルと言っていいでしょう。

もちろん映画『マスカレード・ナイト』は、圧倒的な座長として木村拓哉という“スター”を主役に据え、相手役にこちらも脂がのりにのっている状態の長澤まさみを据え、原作はベストセラー作家のベストセラー小説。

監督を筆頭にメインスタッフも実績抜群の面々をそろえており、大ヒットさせる気満々なのですが…。

ちなみに原作は年末の数日間の物語ですが、映画はこれを大胆に脚色して大晦日の24時間の物語としています。

このことで、前作の『マスカレード・ホテル』にあったホテルマンと刑事のカルチャーギャップを楽しむという観点から、次の事件まで時間が限られているタイムリミットサスペンスといった趣の映画になっていますので、『マスカレード・ホテル』のイメージで映画『マスカレード・ナイト』に臨むと全く違った感触を感じる映画になっています。

原作を読破されている方もガラッと違ったイメージを抱くことが出来ると思います。

映画『マスカレード・ナイト』はキャストの面でも、映画の作りの面でも年に数本あるかないかの“贅沢さ”を感じることが出来る映画です。

本作は「なぞ解きを追うより」も、とにかく「オールスター映画の贅沢感を味わいながら見る」が正しい作法と言えるでしょう。

(文:村松健太郎)


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(C)2021 東野圭吾/集英社・映画「マスカレード・ナイト」製作委員会