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2021年10月01日

いま必見のドキュメンタリー作品ほか<闘うジャーナリスト>映画4選

いま必見のドキュメンタリー作品ほか<闘うジャーナリスト>映画4選



ルーマニアで2015年10月に実際に起こったライブハウス火災に際し、いち早く取材を始めた地元のスポーツ紙の編集長らが、命の危険を顧みず真実に迫ろうと奮闘する姿を捉えた注目のドキュメンタリー映画『コレクティブ 国家の嘘』。

10月2日(土)の公開を記念して、本作をはじめとする<闘うジャーナリスト達>にフィーチャーした映画をまとめて紹介する。また、それらの作品が製作された各国における<2021年報道の自由度ランキング>(国際ジャーナリストNGO「国境なき記者団」発表)の順位も紹介。マスメディアや報道のありかたが世界的に問われて久しい今、闘うジャーナリスト達の姿からあなたは何を感じ取る…?

『コレクティブ 国家の嘘』10/2(土)シアター・イメージフォーラム、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー

©Alexander Nanau Production, HBO Europe, Samsa Film 2019

『コレクティブ 国家の嘘』が描くのは、東欧ルーマニア・ブカレストのライブハウス“コレクティブ”で2015年10月に実際に起こった火災を発端に、明らかになっていく製薬会社や病院、そして政府や権力へと繋がっていく衝撃的な癒着の連鎖。命よりも利益や効率が優先された果てに起こった国家を揺るがす巨大医療汚職事件の闇と、それと対峙する市民やジャーナリスト達を追った、フィクションよりもスリリングな現実を捉えたドキュメンタリー映画だ。

カメラが密着するのは地元スポーツ紙「ガゼタ・スポルトゥリロル」の編集長をはじめとする追及チーム。かねてからスポーツ界における忖度なき追及姿勢と調査報道などでルーマニアでは一目置かれている新聞で、この火災をめぐる事件がスポーツ以外の分野への初めての取材進出だったというが、従来からの信頼の厚さゆえ、事件関係者達からの内部告発が同紙に集中。製薬会社と病院による耳を疑うような黒い繋がりをスクープするなど、事件報道をリードしていく。



一方で、劇中では記者が諜報部から“家族もいるだろ、気をつけろ”と脅迫めいた言葉を投げかけられたことを語るなど、真実を追及し続けることによるリスクと隣り合わせだ。それでも記者たちは真相を暴こうと進み続ける。そんなジャーナリストたちの奮闘に思わず手に汗握らずにはおれないはず。

そんな本作に寄せて、日本でジャーナリズムを体現してきた記者達からは、「事件を掘り下げた記者たちがたどり着いたのは、政治・医療マフィアの底なしの闇だった。絶望と脅しにさらされても、善を信じる記者と政治家は挑み続けた。個人の強い意志で社会は変えられることを示す、渾身のドキュメンタリーだ」(望月衣塑子/東京新聞記者)、「スクープが、新たな内部告発を生み、時代を動かす。その始まりは、記者の情熱と覚悟。負けていられない。」(加藤晃彦/週刊文春編集長)など、熱い絶賛コメントが寄せられている。

■ルーマニア:報道の自由度ランキング第48位

『由宇子の天秤』ユーロスペースほか全国順次公開中


(C)2020 映画工房春組合同会社

3年前に起きた女子高生いじめ自殺事件を追うドキュメンタリーディレクターの由宇子は、テレビ局の方針と対立を繰返しながらも事件の真相に迫りつつあった。そんな時、学習塾を経営する父から思いもよらぬ〝衝撃の事実〞を聞かされる。大切なものを守りたい、しかし それは同時に自分の「正義」を揺るがすことになる-。

果たして「〝正しさ〞とは何なのか?」。常に真実を明らかにしたいという信念に突き動かされてきた由宇子は、究極の選択を迫られる…ドキュメンタリーディレクターとしての自分と、一人の人間としての自分。その狭間 で激しく揺れ動き、迷い苦しみながらもドキュメンタリーを世に送り出すべく突き進む由宇子。彼女を最後に待ち受けていたものとは-?

第25回釜山国際映画祭ニューカレンツアワード受賞のほか、各国の映画祭で高い評価を獲得。本作でラス・パルマス国際映画祭最優秀女優賞に輝いた瀧内公美の熱演にも注目だ。

■日本:報道の自由度ランキング第67位

『共犯者たち』(2017)


(C)KCIJ Newstapa

韓国のイ・ミョンバク政権とパク・クネ政権による約9年間にわたる言論弾圧の実態を告発していく衝撃のドキュメンタリー。2008年、国民の支持を失いかけたイ・ミョンバク政権は、メディアへの露骨な政治介入を始める。狙われたのは公共放送局KBSと公営放送局MBCだった。政権に批判的な経営陣が排除され、調査報道チームは解散、記者たちは非制作部門へと追われた。両局の労働組合はストライキで対抗、メディアの存在意義をかけたジャーナリスト達の抵抗が始まる。

監督を務めたのは、MBCの名物ジャーナリストだったチェ・スンホ。2012年にMBCを不当解雇されたのち、オルタナティブメディアを立ち上げ、本作のためにカメラを回し続けるなど奮闘。そして、韓国での公開後、奇跡の大逆転劇が起こったのだが、気になる人はネットで調べてみてほしい。

■韓国:報道の自由度ランキング第42位

『スポットライト 世紀のスクープ』(2015)


Photo by Kerry Hayes (C) 2015 SPOTLIGHT FILM, LLC

アメリカ東部の新聞「ボストン・グローブ」の記者たちが2002年1月に巨大権力の”大罪”を暴いた衝撃の実話を題材にした、第88回アカデミー賞で作品賞など2部門を受賞した社会派ドラマ。ボストン・グローブ紙に新しい編集局長が着任する。彼は、地元出身の誰もがタブー視するカトリック教会の権威にひるまず、ある神父による性的虐待事件を詳しく掘り下げる方針を打ち出す。その担当を命じられたのは、独自の極秘調査に基づく特集記事欄《スポットライト》を手がける4人の記者たちだった。

映画では、世界的スクープの内幕を取材に当たった新聞記者の目線で描き、虐待被害者の生々しい証言に心揺さぶられたチームのメンバーが、元少年たちの悲痛な叫びを世に知らしめようと、寸暇を惜しんで奔走する様を力強く描き出していく。

■アメリカ:報道の自由度ランキング第44位

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