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『DUNE/デューン 砂の惑星』レビュー:デヴィッド・リンチ監督版の再評価まで誘うほどに器の大きなファンタジー超大作の一大傑作!
『DUNE/デューン 砂の惑星』レビュー:デヴィッド・リンチ監督版の再評価まで誘うほどに器の大きなファンタジー超大作の一大傑作!
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■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT
本作のことを語る前に、やはりどうしてもデヴィッド・リンチ監督の1984年作品『デューン/砂の惑星』のことに触れざるをえません。
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当時『イレイザー・ヘッド』(76)『エレファントマン』(80)で大評判となっていた新進気鋭のデヴィッド・リンチ監督のSFファンタジー超大作ということで、映画ファンの期待はMAXモードの中で公開されたこの作品でしたが、見終えた観客の反応は……アレ?
もう何が何だかさっぱりわからない!
ストーリーが全然繋がっていないのです。
おかげで私もその後フランク・ハーバートの原作小説も読んだりして(その意味では小説の普及に一役は買ったのかもしれません)、改めて見直してもイマイチ上手く伝わってこない。
要するに当時のリンチ監督は最終編集権がなかったために、勝手に大幅なカットを余儀なくされてのこの惨事だったわけです。
その後リンチが全くタッチしてないTV編集長尺版がソフト化されましたが、幾分話はわかりやすくなったものの、リンチらしさは薄れていて、やはりこれは“アラン・スミシー(20世紀後半のアメリカ映画で自身の名をクレジットされたくない監督が用いた偽名)”監督作品なのだなと溜息。
しかしこの作品、無視するにはあまりにもリンチ作品ならではの毒々しくも異様でヘンタイチックなインパクトが強すぎて、一度見たら妙に脳裏にこびりついて離れない、そんな奇妙な作品としてどんどんカルト化されていったのでした。
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さて、話は長くなりましたが、要するに今回のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『DUNE/デューン 砂の惑星』を見て、ようやく「これこそが『デューン』だ!」といった溜飲が下がるとともに、それこそ1984年以来長々と心の中にモヤがかかっていたデヴィッド・リンチ監督版の印象すら好転させてくれる結果となっていたのでした。
今回はまだ前編ではあるものの、ストーリーテリングがしっかりしているとともに2時間半の長尺をまったく飽きさせることなく(特に中盤以降はアレヨアレヨで息つく暇もないほど!)、本作独自の専門用語も多数出てきますが(リンチ版はこの部分も何ら丁寧に処理してくれてなかった。また最近の国産アニメSFの専門用語の羅列の原点も、それこそ『スター・ウォーズ』サーガも、それこそ『風の谷のナウシカ』などの原点も『デューン』であったことが、今回改めて理解できました)、語り口が達者なので自然に理解できます。
ドゥニ監督独自の一見淡白な中の濃厚なファンタジック・テイストも俄然健在で、特に原作ファンもリンチ監督版のファンもお待ちかね、あのサンドワーム出現シーンの壮大な描出には鳥肌とともに感涙すること必至!
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キャストも主人公ポールを演じるティモシー・シャラメの繊細な中性的イケメンぶりが、リンチ版のカイル・マクラクランの硬質な男性的二枚目ぶりよりもこの作品には実にふさわしく思えてならず、よくよく考えるとポールは女子修道会“ベネ・ゲセリット”に属する母から女子を生むように命じられたにも関わらず男子として生まれた存在なので、こうした性の超越的イメージはまさに作品世界観にも即しているのと同時に、1984年当時にこの描出は難しかったろうとも思われます。
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とにもかくにも久しぶりにSFファンタジー超大作の醍醐味をとことん堪能させてくれる『DUNE/デューン砂の惑星』を見終えて帰宅するや、すぐさまデヴィッド・リンチ監督の『デューン/砂の惑星』を見直したい衝動に駆られてしまい、結果としてリンチが目指そうとしていたものなどが明確になり、これまでで一番面白く感じてしまいました。
そう、ドゥニ監督版はリンチ監督版をも再評価させてくれるほどに、器の大きな傑作としても屹立していたのでした!
こうなってくると一刻も早く続編を見てみたい!
(文:増當竜也)
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