映画コラム

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2021年10月25日

『DUNE/デューン』ハンス・ジマーの衝撃的サントラを君は聴いたか!?

『DUNE/デューン』ハンス・ジマーの衝撃的サントラを君は聴いたか!?




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10月15日より公開された、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『DUNE/デューン 砂の惑星』。想像をはるかに超える圧倒的ビジュアルセンスが話題を呼ぶ一方で、ヴィルヌーヴ監督とは2度目のタッグとなった作曲家ハンス・ジマーの劇伴にも高い評価が集まっています。

そこで今回はYouTubeで聴ける本作のサウンドトラックからおススメ楽曲をセレクトしつつ、25年以上ジマーの音楽を追い続けている筆者の目線から、いかに本作劇伴が“特異”であるのかご紹介していきましょう。

戦闘シーンで際立った“意外性”




ジマーはヴィルヌーヴ監督の前作『ブレードランナー 2049』(17)の劇伴も担当(ベンジャミン・ウォルフィッシュとの共作)していることから、新作で再びタッグを組むのは言うなれば自然な流れといえます。

さらに『DUNE/デューン 砂の惑星』の原作小説は10代だったジマーにとっての愛読書であり、いつか自身の手で音楽を担当する日のために、過去作を敢えて1作も観ていなかったとほどの筋金入りっぷり。ヴィルヌーヴ監督からの依頼を受けて盟友クリストファー・ノーラン監督の『TENET テネット』を断ったのだから、ジマーがどれほどの熱量をもって作曲に挑んだのか窺えるはずです。

その結果、完成したサウンドトラックが異次元レベルの完成度に至ったことは映画をご覧になった方ならご承知のとおり。ジマーのディスコグラフィでこれまでにないほど荘厳で得体の知れない力強さを宿した楽曲群に仕上がっていて、ヴィルヌーヴ監督のビジュアルセンスによって生まれた圧巻の映像をさらに格調高いものへと押し上げることになりました。

ジマーが織り成す音楽の世界観は、サウンドトラック1曲目「DREAM OF ARRAKIS」からその象徴が顕著に現れています。メロディー性を排して不規則なリズムを挿入し、さらにコーラスも交えることで感じるのは紛れもなく“不穏”な気配。

逆に言えば本作サウンドトラックには生命の躍動を感じさせるヒロイックな曲は存在せず、あるのはアラキス=砂の惑星に対する土俗的な未知の脅威(たとえば巨大な“サンドワーム”も然り)や死のイメージ、或いはアラキスを舞台に展開するアトレイデス家とハルコンネン家の争いがもたらす悲劇を想起させるものばかりです。



作品内でたびたび響き渡る重低音は、『ダークナイト』シリーズをはじめとしたノーラン作品にも共通している要素。そんなアプローチが“ハンス・ジマーらしい”と語られるのも近年のジマーサウンドを耳にしていれば納得ですが、筆者としてはサウンドトラック11曲目「ARMADA」に最もジマーの“らしさ”や“真髄”を感じるところがあります。



本曲はハルコンネン家による急襲シーンで流れる楽曲であり、物語の中ではアトレイデス家の命運にも関わる重大な局面。暗闇のなか巨大な爆炎が巻き起こる戦闘描写は本作のハイライトの1つですが、楽曲に耳を傾ければわかるとおり悲劇的な場面ながらバグパイプの音色が高らかに響き渡るという“意外性”を見せます。その意外性を生み出す采配こそ、ジマーの音楽センスや造詣の深さが垣間見える絶好の瞬間。またバグパイプに重なるドラムリズムもジマーが頭角を現した90年代以降一貫している打楽器とリズムスタイルをしっかり踏襲し、結果的に砂の惑星そのものや人類同士の抗争という原始的な構造にマッチしていました。

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