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2021-12-04

柳町光男監督初期3部作がリバイバル上映。 映画『十九歳の地図』はこんな時代だからこそ観てもらいたい――。


12月4日(土)から30日(木)まで新宿K's cinemaで柳町光男監督作品である『十九歳の地図』(1979年)、『ゴッド・スピード・ユー!BLACK EMPEROR』(1976年)、『さらば愛しき大地』(1982年)が上映される。かつて同作品に触れた劇場の支配人がコロナ禍の今こそ、1人でも多くの方に観てもらいたいとリバイバル上映を企画。
今回、cinemas PLUSでは『十九歳の地図』を中心に、当時のエピソードや映画にかける思いを柳町光男監督、ご本人にインタビューさせていただいた。


作ったからにはあらゆる人に観てもらいたい


――まずは再上映のお話しを伺ったとき時、どんなことを感じたでしょうか?

そうですね、DVDや配信もしているでしょうが、フイルムで3本まとめて上映してもらえるということは、感慨深い気持ちです。また、映画は正直です。70年から80年にかけて制作したこの作品に、私自身も投影されているのでなんだか恥ずかしい気もします。

とはいえ、作ったからには作品を観たことがない人、存在すら知らなかった今の人たちに観ていただきたいという気持ちもあります。私も若いころ、溝口健二監督や成瀬巳喜男監督、小津安二郎監督たちの映画を観て感動してきました。そんな風に自分が精一杯、心を込めて作った作品が50年、100年先も多くの人から愛される映画となって欲しいなという願望はあります。

――監督自身、今年に入って作品をご覧になりましたか?

昔の作品は手元にDVDがありますが、もともと私は作品を見返したりはしません。ですから、今回の3作品もあらためては観てはいないですね。実際、観たら懐かしいと思うでしょうが、やはり照れくさいという気持ちが勝ってしまいます。

作品に対してそれぞれが何かを感じ取ってもらえたら


――次に作品について詳しくお聞かせください。『十九歳の地図』は芥川賞作家の中上健次の同名小説を1979年に映画化されました。主役の本間優二さんは、今回同時に上映される『ゴッド・スピード・ユー!BLACK EMPEROR』にも出演されていますが、監督が自ら主役に抜擢されたそうですね。


本間くんは『ゴッド・スピード・ユー!BLACK EMPEROR』の撮影時に出会った多くの若者の中の一人だったわけですが当時、彼は非常に光っていましたね。映像に向いている顔、雰囲気を持っているなと思っていました。ですから『十九歳の地図』の制作が決定した際には真っ先に彼に声をかけました。

――映画のポスターに「閉塞する時代に生きるすべての若者たちへ。」というメッセージがありますが、今の若者たちが作品を観たらどう感じると思われますか?

どう感じるでしょうね。人それぞれですし、今の若者とあまり接点がないのでわかりません。古臭い映画だなと思うかもしれませんし、少年から大人への通過点ということにおいては現代の若者にも通ずるものがあるかもしれませんね。それぞれが何かを感じ取ってもらえたらと思います。

――劇中、予備校に通う19歳の青年が公衆電話から嫌がらせの電話をかけるシーンが何度もあります。これは、現代のネットの中傷問題に似たものを感じました。

そうですね。70年代は「電話」、現代は「インターネット」と使うツールが違いますが、他者を傷つけるという行為自体は時代が変わってもおこなわれています。作品でも世の中や人間社会に対して異を唱え、問題提起をしています。そのあたりにも注目をしていただき、何かを感じとってもらえたらと思います。

ネット配信の時代でもやはり映画は映画館で観てほしい


――コロナ禍で映画館が閉鎖や肩身の狭い思いをしていますが、映画監督というお立場からどんな印象でしょうか?

生活の中に映画があった時代を生きてきた者としては現状、厳しいものを感じます。コロナ禍は映画館にとっては本当に壊滅的ですね……。
 
――映画館で映画を観る人が少なくなってきている現状に、監督はどんなことを感じていますか?

映画のネット配信が今よりも、もっと主流になったら映画館は今よりもさらに縮小の一途をたどってしまうでしょうね。
また、自宅に大きな液晶テレビやモニターがあれば家で映画館さながら、楽しむ人も出てくるでしょう。これでは映画館の需要はどんどん下がってしまいます。やはり私はできるだけ映画は映画館で観てもらいたいです。

――最後になります。これから作品をご覧になる方にメッセージをお願いします。

映画はマジックです。
マジックと承知の上で40年前の映画を楽しんでいただければと思います。
また、世の中は大きく変わりましたが、映画が上映された当時の人間そのものは大きく変わってはいません。『十九歳の地図』は、約40年前に私が出演者、スタッフ一同と懸命に作った作品です。70年代を生きる若者の“普遍的なもの”を表現したわけですが、これからの時代を生きる若者にも共通することが劇中に存在しています。この先も同作品が、多くの方に長く愛される存在であるといいなと思っています。



(撮影=渡会春加/取材・文=駒子)
 

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