『私はいったい、何と闘っているのか』で映画初出演の菊池日菜子「家族の在り方を考えるきっかけになった作品」
“笑って泣ける”を体現したハートフル・ファミリー・コメディが誕生した。12月17日(金)に公開される映画『私はいったい、何と闘っているのか』では、父・伊澤春男(安田顕)を筆頭に、母・律子(小池栄子)、長女・小梅(岡田結実)、次女・香菜子(菊池日菜子)、長男・亮太(小山春朋)が、新しい家族の在り方を見せてくれる。
芸人・つぶやきシローが手がけた同名小説を実写化した本作で、活発で天真爛漫な次女・香菜子を演じた菊池日菜子にインタビュー。映画初出演の彼女にとって、今回の経験は「家族の在り方を考えるきっかけになった」と教えてくれた。
まるで本物の家族のように過ごせた撮影現場
――菊池さんにとっては映画初出演となりますが、本格的に役者活動を行った今年を振り返ると、どんなお気持ちですか?
まさに、目まぐるしく過ぎていったという感じです。今年は「醉いどれ天使」という舞台にも初挑戦させていただいたのですが、舞台は舞台、映画は映画で、勉強になることばかりでした。
まだ、経験したことすべてを自分の中に落とし込めてはいないところもあるんですが……。これからもっともっと経験を重ねていく上で、気づくこともあるのかなと思っています。
――舞台と映画、それぞれの現場でどんなことを学ばれましたか?
舞台は、遠くにいるお客様一人一人にも見えるように、手や足の動作、発声の仕方まで工夫しなければいけないと学びました。映画の現場で痛感したのは、表情の細やかなところまで気を配った、繊細な表現が必要だということ。同じ演技の場だとしても、別ジャンルとして捉えて勉強していかなければならないんだと思いました。
――『私はいったい~』で菊池さんが演じられた香菜子ちゃん、とても溌剌として可愛らしい表情が印象的です。ご自身との共通点はありますか?
一番の共通点は、家族が大好きなところです。香菜子ちゃんを演じるにあたってもう一度、私自身が自分の家族をどんな風に思っているか、どんな風に家族と接しているかを振り返りました。
――だから、あんなに「本物の家族」のような雰囲気が出ているんですね。
安田さん、小池さん、岡田さん、小山くん、みんなに引っ張っていただいたおかげです。小池さんも岡田さんも気さくに話しかけてくださって、とてもありがたかったです。安田さんも、わざわざ子どもたち3人の控室でお昼休憩を取ってくださったりして。
それに、小山くんは現場のムードメーカーなんです。初映画の現場だったので緊張していたのですが、リラックスできる空気感を作ってくれました。
――安田さん演じる伊澤春男のお父さんっぷり、一度見たら忘れられないです。撮影現場で印象的だったやりとりはありますか?
最初は「寡黙な方なのかな?」と思ったんですが、控室では、面白いことを言っていつも私たちを笑わせてくださいました。撮影現場ではすごくストイック、かつ優しい方で。
ご自身のセリフ量も多くて大変なはずなのに、初めての映画の現場でパニックになっている私のことを察して、声をかけてくださったんです。「自分が緊張してると思ったら、他に目を向けて気持ちをリセットするといいよ」と言ってくださって、安心したのを覚えています。
理想の家族は「お互いに思いやりをもって接し合える家族」
――菊池さんにとって、最も印象に残っているシーンについて教えてください。
冒頭の流しソーメンのシーンが一番印象に残っています。安田さん演じる春男が、小山くん演じる亮太の少年野球の試合で、なんと流しソーメンを差し入れする場面です。とっても面白いシーンなので、どんな展開かはぜひ劇場で観ていただきたいです。
映画を観て印象に残ったのは、安田さんと小池さんが、お互いの言いたいことを河川敷で叫び合うシーン。伊澤家にとってさまざまなことがあった上でのシーンだったので、思わず泣いてしまいました。
――夫婦としても家族としても、言いたいことを伝え合う関係性は理想の在り方だと感じます。菊池さんにとって「理想の家族」を言葉にするとしたら?
お互いに思いやりを持って接し合える家族は素敵だなと感じます。私、昔から母のことを尊敬しているんです。何事にも見返りを求めない優しさと思いやりがある人で。私もいつか、自分の子どもに対してこんな接し方をしたいなと思える母です。
――とっても素敵な関係性ですね。他のご家族とは普段どんな接し方を?
私も香菜子ちゃんと同じように、姉と弟、そして妹がいるんです。すごく賑やかな姉弟で、家族と過ごすのが大好きなんですが、隣の芝生は青く見えるとよく言いますが、私が幼なかった頃は、友達家族を見て羨ましく感じたこともありました。でもこの映画を観ると、家族の在り方って一つじゃないと思えるんです。素直にそう思わせてくれる作品だと思います。
――家族の在り方に焦点を当てた本作を経験したことによって、考え方に広がりが生まれたんですね。ご家族は、菊池さんの活動も応援してくれていますか?
はい、心底応援してくれているのを感じます。
実は私、今のお仕事をするために上京したいと母に伝えるまでは、反対されると思っていたんです。それで、なかなか言い出せなくて……。でも、いざ勇気を出して伝えたら「薄々気付いてたよ」と嬉しそうに言われて、驚きました。
それまで芸能のお仕事がしたいと話したこともなく、むしろ母に安心してもらうために、小さい頃の「助産師になるという夢」を定期的に伝えていたんです。でも、母には全部見透かされていました。
今回のように、映画に出演するなどお仕事が決まった際に、家族に報告できるのが一番嬉しいです。家族のためにも、もっと頑張りたいと思っています。
――役者として、これからチャレンジしてみたいことはありますか?
今年は初舞台、初映画を経験させていただいたので、次は初ドラマレギュラー出演が目標です。役としては、自分の境遇とはかけ離れた役をやってみたいなと思います。サスペンスとかミステリージャンルの作品で、サイコパスな役をやってみたいです。
(ヘアメイク=菅野綾香<ENISHI>/スタイリスト=松川総<TRON>/撮影=渡会春加/取材・文=北村有)
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