映画コラム
【多様性の進化と深化】第94回アカデミー賞詳報:今後の映画の在り方を示すものに
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【多様性の進化と深化】第94回アカデミー賞詳報:今後の映画の在り方を示すものに
メモリアル企画は?
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(C)2019 DANJAQ, LLC AND MGM. ALL RIGHTS RESERVED.
フルスペックに近い状態に戻ったために授賞式内では様々パフォーマンスやゲストが登場しました。主だったものだけ挙げてもとてもバラエティ豊かで豪華なものとなりました。
007=ジェームズ・ボンドの映画公開60年周年スペシャル映像から始まり、昨年オープンしたばかりのアカデミー映画博物館の館内の映像も紹介されました。
ビリー・アイリッシュによる『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のメインテーマの歌唱パフォーマンスは同作品で悪役を演じたラミ・マレックの紹介から始まりました。
そのすぐ後に自分が歌曲賞を受賞することになるとはさすがに思ってなかったのでないでしょうか?
また、ウクライナ出身のミラ・クニスが登場して、ウクライナへの人たちへのメッセージを送りました。
お馴染みの追悼コーナーはシドニー・ポアチエからスタートして、ウィリアム・ハート、ピーター・ボグダノヴィッチ、ジャン=ポール・ベルモンド、リチャード・ドナー、アイヴァン・ライトマン(ビルマーレイの生メッセージ付き)、千葉真一、ワダ・エミ、ベティー・ホワイトなどなど……。語り切れないほどの才能・レジェンドがこの1年も去っていったことがわかりました。
公開50周年を迎えた『ゴッドファーザー』から監督のフランシス・フォード・コッポラ、メインキャストを務めたアル・パチーノとロバート・デニーロが登場、流石の貫禄でした。
『パルプ・フィクション』からジョン・トラボルタ、サミュエル・L・ジャクソン、ユマ・サーマンが登場してユマとトラボルタは映画と同じダンスシーンを披露したのも面白かったです。
公開50周年と言えば『キャバレー』で50年前に主演女優賞したライザ・ミネリがレディー・ガガとともに作品賞のプレゼンターとして登場しました。
今回前回監督・作品賞受賞のクロエ・ジャオが登場していないことに若干の違和感を感じる部分もありましたが、新旧エンターテイナーが2人そろうのはそれはそれで、映えていました。
『DUNE/デューン 砂の惑星』(C)2020 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved
ちなみに、今年から大々的に取り込まれたのが時間短縮、視聴率確保のために技術系などの賞を事前に受賞シーンを撮り、それをダイジェストで流すというもの。
全ての分野の映画人を平等に評価するというアカデミー賞の本来の在り方に反するとして、批判の声を上げる人も多くいました。今回の演出についてはその手法以前に、映像の挿入のタイミングなどに粗さが目立ち、非常にガタガタした感じが残りました。
仮に今年の手法を継続するとしても、授賞式の演出面で大きな課題となるでしょう。
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