(C) 2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

7月1日公開映画10選を一挙紹介!映画ファンには時間が足らなすぎる

時間が有限ということはわかっている。だが、7月が始まった今、注目作が大渋滞を起こしているので、2022年7月1日(または2日)より劇場公開されたおすすめ映画を10選を一挙に紹介しよう!

1.『エルヴィス』: 華やかで切ない音楽映画



エルヴィス・プレスリーの生涯を描いた映画だ。『ムーラン・ルージュ』(2001)や『華麗なるギャツビー』(2013)のバズ・ラーマン監督らしい、ゴージャスな演出が全編にわたって施されている。

その見た目の華やかささや煌びやかさこそが、中傷や批判を浴びながらの音楽活動や、トム・ハンクス演じる一筋縄ではいかないマネージャーとの愛憎入り混じる関係など、切なさも感じさせる物語を相対的に際立たせていた。

こだわり抜かれた美術や画作りにより、1960年〜70年代当時のアメリカにタイムスリップしたような感覚も得られるだろう。オースティン・バトラーが約2年、ボーカルトレーニングや役作りに費やしたからこその、エルヴィスが「憑依」したかのような熱演を見届けてほしい。

2. 『リコリス・ピザ』: ビジネスパートナー以上、恋人未満な関係



第94回アカデミー賞で作品賞と監督賞と脚本賞の3部門にノミネートされた青春ラブストーリーだ。監督は『マグノリア』(99)のポール・トーマス・アンダーソンで、その監督作『ブギーナイツ』(97)とはハリウッド近郊のサンフェルナンド・バレーが舞台ということが一致している。

物語は、15歳の少年が、カメラアシスタントの25歳の女性に一目惚れをすることから始まる。出会った女の子と正当な恋愛関係を結ぶより前に、ビジネスパートナーになるという流れは、まるで『天気の子』(19)のようだ。前述の『エルヴィス』と同様の、少し昔(1970年代)のアメリカの雰囲気を追体験できるのも魅力だろう。

ちなみに、リコリス・ピザとは実在のレコード・チェーン店の名前で、リコリス(甘草)が無料で配られていて、レコードをその場で視聴したり、お客と店主が語り合ったりする雰囲気であったそう。自由気ままで楽しい(でも少し切ない)青春が描かれた本作にはぴったりのタイトルだ。

3. 『わたしは最悪。』: 人生の選択に悩むオトナな恋愛映画



第94回アカデミー賞で国際長編映画賞と脚本賞の2部門にノミネートされた作品であり、『母の残像』(15)や『テルマ』(17)などで注目されるデンマークのヨアキム・トリアー監督の最新作だ。主人公は自分の道が定まらずにキャリアを転々としてきた、30歳を迎えて将来に悩んでいる女性。彼女の日常と人生の変化を、序章+12章+終章という全14章で語る内容となっている。

年上の恋人は、彼女に妻や母といったポジションをすすめてくるため、居心地が悪い。そして、若くて魅力的な男性と浮気してしまい、そこには罪悪感もあるが、恋の勢いに乗ってより良い人生の選択をしようと奮闘する。その過程の会話劇には「人生の決断」に至るまでのあれこれが詰まっているためスリリング。冷徹で正直なナレーションも上手く機能していて、時にはハッと驚く映画ならではの演出も施されている。

『私は最悪。』という邦題は発表時には不評も呼んでいたが、実際に観ると「主観的」かつ「(句点で)自己完結」している印象が、内容にとても合っていた。性的な話題が多くR15+指定だが、それも作品に必要なものだろう。苦くて切ないオトナな恋愛映画を求める方に大プッシュでおすすめだ。

【関連記事】サイキック百合ホラー映画『テルマ』の「3つ」の魅力!『AKIRA』ファンにもおすすめの理由とは?

4. 『マーベラス』: 『レオン』のその後のような師弟コンビ



『007 カジノ・ロワイヤル』(06)のマーティン・キャンベル監督×『イコライザー』(14)の脚本家リチャード・ウェンク×『ジョン・ウィック』の製作スタジオという、ゴリゴリのアクション映画に携わってきた作り手が送り出す、「ちょうどいい感じ」のバイオレンスアクションだ。

親子のような絆で結ばれていた師弟コンビが、物腰は柔らかいが恐るべき本性を隠している敵と戦うプロットで、一歩間違えば鮮血を撒き散らして死んでしまうキレの良いアクションがたくさん繰り出される内容となっている。マギー・Qが演じる女性暗殺者と、サミュエル・L・ジャクソン扮する護衛者という関係性が、名作『レオン』(94)のマチルダとレオンの「その後」を観ているような印象になれるのも好きだ。

ただ、会話で状況を説明する場面が多く、キャラクターの関係性が直感的にわかりにいのは難点だろう。「そんなことになる?」と思わざるを得ない妙な展開もあるが、個人的にはそれも含めて楽しかった。次第に「ああコイツやばい」と演技力を持ってわからせてくれるマイケル・キートンが見たい方にもおすすめだ。

5. 『ブラック・フォン』: 監禁された少年の決死の脱出劇!



失踪事件が起きる田舎町で、気の弱い少年がその犯人に監禁され、なぜか断線しているはずの黒電話が鳴り響く……!というホラー・サスペンス映画だ。監督は『エミリー・ローズ』(05)や『フッテージ』(12)のスコット・デリクソンであり、当初監督を務める予定だった『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(22)(サム・ライミ監督作)を「創造上の違い」という理由で降板した後にメガホンを撮った映画となる。

「イーサン・ホーク扮する凶悪な誘拐犯 VS 囚われの美少年」というわかりやすい構図があり、Netflixドラマ『ストレンジャー・シングス』的な、子どもが大活躍するオトナ向けの怖い作品を求める方であれば満足できる案件ではないだろうか。

現実にはあり得ない超常現象的な設定と、知恵と勇気を振り絞り犯人の監視の目を掻い潜っての脱出劇を上手く組み合わせていることが最大の魅力だろう。青春ジュブナイルものとしても堅実に作られていて、口が悪いけど兄思いな妹が愛おしいというのも魅力的。こうした小粒だが「しっかり面白い」作品こそ、映画館で見逃さないでほしい。

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

RANKING

SPONSORD

PICK UP!