「ちむどんどん」第60回:なぜ優子は賢三との馴れ初めを子どもたちに語らないのか
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2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。
沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。
本記事では、その第60回をライター・木俣冬が紐解いていく。
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古酒が暢子の恋を目覚めさせる
やんばるにて。歌子(上白石萌歌)が優子(仲間由紀恵)に賢三(大森南朋)との馴れ初めを訊くも、優子は良子(川口春奈)に話題を振ってはぐらかします。質問に答えられないとき逆質問するのはよくある手です。優子がこれまで一度も子どもたちに賢三との馴れ初めを語ることがなかったのは、言いたくない何かがあるのでしょう。それはのちのち、物語に関わってくるのかもしれませんね。
優子が良子に話を振ったことで、良子は博夫(山田裕貴)と結婚を考えたときのことを思い出します。共に沖縄の未来を考え、良い教師になろうとした。そんな純粋で勤勉な初心があったのです。あの熱心で誠実な金吾(渡辺大知)にはなかったもの。それは理想とか思想とか。良子と博夫は沖縄の未来のために立ち上がるときは来るのでしょうか。
暢子(黒島結菜)は、和彦(宮沢氷魚)と愛(飯豊まりえ)がキスしようとしているところを目撃し、動揺します。
そこへ、房子(原田美枝子)に呼び出され、フォンターナに行くと、賢秀(竜星涼)が房子の秘蔵のワインを飲んで酔いつぶれていました。
暢子の異変に気づいている房子は古酒をすすめます。お酒の勢いを借りて、自分ではわからない胸のうちを口にしはじめます。お酒は本能を表出させる魔法の液体であります。
奥手でいつまでも少女みたいな暢子ですが、智(前田公輝)が結婚、結婚と迫って来て、和彦と愛も結婚するという話になって、しかも彼らのハグ&キス(直前)を間近で見てしまう。恋とか結婚とかいう概念が急に暢子の未開の心と脳に入ってきて、彼女のなかに眠っていた恋する気持ちを揺さぶり始めました。
もしも、優子が賢三との馴れ初めを子どもたちに語っていたら、もっと早くに「恋」して「結婚」するという進路を暢子も知っておくことができたのに、語っていないものだから、暢子には身近な例を知らないまま身体だけ大人になってしまったのでしょう。
優子がそういう情操教育をしてない分、房子が気を利かせて暢子に酒をすすめることで「恋」のレッスン・基礎の基礎を施しました。ニーチェの言葉まで引用して。
恋とは変わること。大人の階段を登ること。暢子はいつまでもこのままでいたかったけれど、人は変わっていくもの。でも「お母ちゃん会いたい お父ちゃん会いたい」と酔ってつぶやく暢子はまだ子どもの感じです。
朝まで飲んだ暢子は「恋人がいるのに好きなんて言えないじゃないですか」ととうとう自分の本心に気づいてしまいます。でもタイミング悪く、和彦には愛がいます。愛は暢子にとっていい人ですから、よけいに辛いことでしょう。
一方、あまゆでは、三郎(片岡鶴太郎)が迷う和彦に(多分)泡盛を飲みながら助言していました。
暢子はともかくとして、和彦はなんで子どもの頃、文通を途切れさせてしまったのでしょうかね。暢子との交流を続けていればこんな面倒くさいことにならなかったのではないかと思いますし、途切れさせたなんらかの理由を描写していれば、ワンクッション入ることで、ふたりの関係性の唐突感も薄れた気がしないではありません。
ともあれ第13週のサブタイトルは「黒砂糖のキッス」。誰と誰がキスするのか、気になります!
(文:木俣冬)
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