「ちむどんどん」第78回:「なんで俺じゃなかったのか」と傷心の智(前田公輝)を歌子(上白石萌歌)が慰める。早く歌子の気持ちに気づいてあげて。
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2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。
沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。
本記事では、その第78回をライター・木俣冬が紐解いていく。
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暢子、毎朝、お弁当をつくる
「諦めない」
暢子(黒島結菜)は重子(鈴木保奈美)に毎朝お弁当を作って届けることにしました。
ちゃんと家政婦の波子(円城寺あや)の分も作ります。ついでに和彦の分もつくってあげればいいのにと思いますが、まだそこまで甘い恋人モードではないようです。
結局、重子は朝からお気に入りの喫茶サーカス〜幕間の珈琲(素敵ななまえですねえ)に行っているため、お弁当は波子だけが食べました。
円成寺さんは、玄関ドアを開けて、暢子とやりとりするところが軽快なリズムを感じる動きをしています。2回、同じシチュエーションが出てきますが、ドアを開けたあと一歩下がるところなどおそらく意識的に同じ速さで動いていて、それがドラマにリズムを与えます。お弁当の紙袋の押し引きのリズムもいいから、暢子も合わせて軽快に見えます。こういう俳優が主人公のそばにいるといいんですよね。もっと前半にこういう俳優を黒島さんのそばに配置すべきでした。
喫茶店には和彦が訪れ、今度の日曜、鶴見に来てほしいと頼みます。暢子は日曜が休みなのでしょうか。お盆のあと2週続けて日曜休み? ここは一般的な休みの感覚を選択しているのでしょうね。レストランの就業日程を選択するとわかりにくくなってしまうのだと思います。
さて、和彦が誠実に話し合おうとしても、重子は頭ごなしに拒否します。亡き夫・史彦(戸次重幸)が
いかに自分を愛してくれなかったか語りますが、愛読している中原中也の詩集は史彦から贈られたものだと和彦が指摘します。
重子は愛がほしくて拗らせているのですね。夫と息子だけ仲良くて寂しかったのでしょう。
重子は和彦と暢子のことをよく調べています。共同売店をスーパー、賢秀(竜星涼)の勤務先を養豚場でなく牛と勘違いしていますが、その調査力はなかなかのもので、智(前田公輝)のことも調べていました。
その智、暢子と入れ違いにやんばるに帰っていました。仕事とのことですが、暢子と顔を合わせたくないのではないかと想像します。
歌子(上白石萌歌)にふられた恥ずかしい思いを吐露します。
「なんで俺じゃなかったのか 俺のどこがだめだったのか」って、その思い込みの激しさがそもそも反省したほうがいいと視聴者は思うわけですが、歌子はやさしく聞いて「うちはいつでも智ニーニーの味方だから」と言うのです。
それですこしほっとしたのか、智は今度は歌子の近況を訊ねます。「ちむどんどん」ではここのところ、人の話を遮って、自分の話をする場面ばかりで、心が疲労していましたが、これだよこれ!とほっとしました。
もしかして、あえて他者の話を聞かずに自分の考えを押し付けるという行為を批評的に描いているのかもしれません。そう感じるのは、重子の登場によって物語がわかりあえない異なる価値観をもった者たちがいかに近づくかという流れが顕著になってきたからです。
歌子に連れられて共同売店に挨拶にきた智を思いやる優子(仲間由紀恵)。智を心配していたと言う優子。自分たち家族の幸せは智の前では傍らに置けるのです。智に対しては、ごちそうを譲るなど、いつも気づかいする優子なのです。
売店におばちゃんたちも来て、東京に来てハンサムになったと優子が褒めて、智を盛り上げているとき、歌子がはにかんだ顔で見ています。歌子が口にできない想いを優子やおばちゃんたちが代わりに口にしているのだなと思います。
そして、日曜日、沖縄のごちそうをたくさん作った暢子。
はたして重子は来るのでしょうか。
第78回で注目は、比嘉家に蚊取り線香のようなものがあったこと、売店に猫がいたことです。
これまで猫の声のみだったのがついに登場したのは、撮影前半はコロナ禍感染対策が厳しくてできるだけ人の手がかかることを避けたのかもしれませんね。
(文:木俣冬)
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