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2022年07月24日

「初恋の悪魔」第2話レビュー:悠日(仲野太賀)の”電話”に泣いた…そして衝撃のラスト

「初恋の悪魔」第2話レビュー:悠日(仲野太賀)の”電話”に泣いた…そして衝撃のラスト


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林遣都と仲野太賀がW主演を務める「初恋の悪魔」が2022年7月16日スタート。

本作は脚本家・坂元裕二が送るミステリアスコメディ。停職処分中の刑事・鹿浜鈴之介(林遣都)、総務課・馬淵悠日(仲野太賀)、生活安全課・摘木星砂(松岡茉優)、会計課・小鳥琉夏(柄本佑)ら曲者4人がそれぞれの事情を抱えつつ難事件に挑む姿を描いていく。警察モノ、ラブストーリー、謎解き、青春群像劇……全ての要素をはらんだ物語の結末はどこへ……?

本記事では、第2話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。

「初恋の悪魔」第2話レビュー



変人4人の物語、待ち遠しかった第2話!
あえていうなら悠日(仲野太賀)回だったのかなと思う。

冒頭で、なんと悠日に結婚間近の恋人・結季(山谷花純)がいたことがわかる。綺麗な人で、悠日に仕事を辞めて専業主夫になることを望んでいることから、稼ぎもあるようだ。人によってはある意味素晴らしい条件だが、「どうせ嫌々やってる仕事でしょ」という言い方が少し気にかかる。彼女の両親は、自分の娘と悠日とではつり合わないと思っているらしい。

悠日は自分でもそう思うと、すべて結季の言いなり。「結季ちゃんと結婚できるなんて、人生最高だよ!」と笑っている。例によって大変噓くさい笑顔だ。自分にはもったいない相手と結婚できるのだから、自分の意見など我慢して当然と思っているようだ。

だが後日、結季が別の男性と一緒にいるところを目撃してしまう悠日。「オープンマリッジ」という、お互い結婚していても自由に恋愛を楽しむ関係を主張され、笑顔でうなずいてしまう悠日だが……? いや、どうなのそれ……

亡くなった兄・朝陽(毎熊克哉)の法要で、家族と署長の雪松(伊藤英明)が集まった。悠日の家は警察一家で、親が息子たちにかける期待は大きかった。優秀な兄と、刑事に向いておらず、訓練はしたものの挫折した悠日。総務課の職員になることで両親には許してもらったが、ずっと劣等感を抱いてきたらしい。

両親(篠井英介・中村久美)の見た目が似ていて、雪松が間違えるくだりは笑ってしまったが、この両親がなかなかひどい。悠日のいる前で「朝陽が生きていれば張り合いがあったのですが……」と言い、「悠日くんがいるじゃありませんか」と言われると大爆笑し始めた。悠日は「兄と僕では心臓と盲腸くらい違いますから」と一緒になって笑っていたが、悠日を馬鹿にする両親の態度にカチンときた雪松は、両親を順に高い高いした。

雪松は悠日のことも疑っているようだったが、曲がったことが嫌いないい人なのだなと思った。同時に、高い高いという斬新な嫌がらせ(?)方法に笑ってしまった。

4人のやり取りも板についてきて、テンポ良く小気味いい。
悠日が「お疲れさまです」と言うのに対し琉夏(柄本佑)が「言われなくても疲れてるよ」と返すやり取りが何度か出てきて、今後「お疲れさまです」と誰かに言われたら「言われなくても疲れてるよ」と返したくなってしまいそう。感じ悪いから絶対やらないけど。

相変わらず鈴之介(林遣都)と琉夏は犬猿の仲でケンカするし、悠日は自分で止めずに星砂(松岡茉優)に止めるよう頼むし、星砂がイスを振りかざして「躊躇しねぇぞ?」と言うと二人とも光の速さで「ごめんね」と握手し合うのがもう全体的にコントっぽい。

星砂への恋心を殺意だと言い張る鈴之介は、悠日に恋人がいると知っていろいろ聞いてくる感じものすごいロマンチストなのかもしれない。

「ブランコに2人で乗って高く漕いだ方がたくさん好きだよって話をするのか」「しません」「それは恋人じゃないよ」というやり取りがあったり、キスを「観覧車でか、神社の境内でか」と聞いてきたり。悠日の「カラオケボックスです」という答えはちょっと聞きたくなかった。

いろいろと心配な鈴之介だが、星砂の椅子だけいいやつになっていたり、星砂に出すカップだけいいやつ(鈴之介とペア)になっていたりとわかりやすい態度になってきた。

今回刑事課が追っていたのは、団地で起きた殺人事件。殺されたのは、元人気芸人だった兄弟の兄。実は兄のほうが圧倒的に人気者で、弟は兄に借金もしていたという話を聞いて、悠日は自分と兄の関係に重ねてしまう。

兄が亡くなる前、兄から何度も留守電がきていたのに、悠日は全部無視していたのだ。亡くなる前日にもメッセージがあり、兄は何かに悩んでいて悠日に相談したいようだったのに、やはり無視してしまった。

そのことを初めて星砂に話し、本当は動物園の飼育員になりたかったという悠日。でも「もうなれません、好きなことをする資格はないんです」と言う。

「欲しいものを手に入れた人と手に入らなかった人がいて、欲しいものが手に入らなかった人は、もう他に何にも欲しくなくなってしまう」

「顔はね、笑ってるんです」
「でもそんなのは上っ面で、心の中ではお前もう笑うな、俺を馬鹿にすんな、俺にアドバイスすんな、えらそうにすんな 俺をもっと尊敬しろ」

「そういうね、ひんまがったやつだから、兄は死んでしまったんだなぁって」

悠日の笑顔は、ままならない状況から自分を守る、鎧のようなものなのかもしれない。そして心のなかではずっと、自分のせいで兄を死なせてしまったのではないかと思ってきたのか。だから、自分には好きなことをする資格はないと……。

そんな悠日に星砂は「警察なんかどうだっていいんだよ、ラーメンなんかのびたっていいんだよ、話したいことがあるときは」「電話、出な? 兄ちゃんから電話あったんだろ?出なよ」と言う。だって兄はもう……と思ったが、悠日はスマホを耳にあてて話し始める。兄・朝陽からの留守電に応えるように。

バナナのシールを集めていたこと、2人で家出したときのこと……ものすごい笑顔で、本当はずっと兄と話したかったんだなとわかるのだ。後半は泣き声になっていた。

本当は兄自体は悠日を馬鹿にしてなんかなくて、悠日も心の底ではずっと話したかったのに、両親の声とか自分の劣等感とか、そういうものでがんじがらめになって話せなくて、そのまま兄は死んでしまった。なんとも切なすぎる……。

別れ際、星砂に「兄を知っていましたか?」と聞く悠日。出会ったときに彼女が見ようとしていた資料は、悠日の兄の事件(事故)のものだったからだ。でも彼女は「わかんねえ」と言って去っていってしまった。

朝陽は強盗を追う途中にビルから転落したのだが、携帯などの所持品が出てこなかった。星砂が自宅でおもむろに手にしたスマホには、バナナのシールがたくさん貼られていた……これはもしかして、朝陽のものなのでは……? だとしたらなぜ星砂が持っているのか。

特大の謎を残して、次回がさらに気になってしまう。

第1回放送の後、悠日の名字「馬渕」と鈴之介の名字「鹿浜」と合わせると「馬鹿」になることを指摘する声があがりなるほどと思った。さらに考えると、琉夏は「小鳥」星砂は「摘木」。4人のなかで星砂だけ動物ではなく植物なんだなというのが気になる。全員変人だが、彼女にだけさらに異質な何かがあるということなのだろうか? 

今回は悠日のクローズアップだったが、別の人物のクローズアップ回も待ち遠しい。

(文:ぐみ)


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