「純愛ディソナンス」第7話:嘘が際立たせる残酷な真実。慎太郎(高橋優斗)の無償の愛が切ない
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中島裕翔(Hey! Say! JUMP)が主演を務めるドラマ「純愛ディソナンス」(フジテレビ)が2022年7月14日スタート。
新任音楽教師と生徒の“純愛”を軸とする本作。高校を舞台にした第1部と大人の人間模様を描く第2部で構成され、タブーと隣合わせにある恋が次第に周囲を巻き込み“ディソナンス”(=不協和音)となっていく様を描く。
本記事では、第7話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
「純愛ディソナンス」第7話レビュー
一気にたくさんの人の思いを受け止めると、こんなにもしんどいことを知った「純愛ディソナンス」第7話。脱力し切った状態でこのレビューを執筆しています。以下、筆致に覇気がないことをお許しください。冴(吉川愛)がようやく慎太郎(高橋優斗)の手を取った。今度は自分を好きになれる相手と幸せを掴もうとする冴。その選択は絶対に間違っていない。慎太郎は冴がゴミ箱に捨てた小説を内緒でコンクールに出した。そのおかげで冴は少なからず、第一審査に通るくらいの実力が自分にあることを知れたのだ。
もういいんじゃないか。二人でこのまま幸せになってくれ……と思いたいのに、正樹(中島裕翔)が私たちを安心させてくれない。妻である愛菜美(比嘉愛未)に裏切られ、会社での立場も崖っぷち。こんなの正樹を救えるのは冴しかいないじゃないか。
それでも上手く立ち回ろうとする正樹だが、ついに自分をちっとも信じてくれない愛菜美への不満を爆発させる。そのもどかしさも分かる。だけど、夫が自分とは違う誰かと心と心で繋がっていることを、実感せざるを得ない愛菜美の辛さが今回ばかりは際立っていた。
幼い頃から父・賢治(光石研)にはたくさんの愛人がいて、その鬱憤を母親からぶつけられてきたという愛菜美。相手を試したり、何かを奪って自分に助けを求めさせたり。そういう方法でしか、自分は愛されないと思っている愛菜美を誰か救ってほしいとすら思う。
そんな愛菜美に離婚届を突きつけた正樹は薄情に思えるかもしれないが、自分と一緒にいても彼女が救われることはないと分かっているからだろう。行動は嘘をつけても、心は嘘がつけないから。事実、正樹は愛菜美がゴミ箱に捨てた冴の小説を見て見ぬ振りができなかった。
それは冴も同じ。慎太郎のことを好きになろうとしても、そのキスを身体が拒否してしまう。なのに、正樹からのキスは自然と受け入れてしまう冴。本作はその対比を容赦無く私たちに突きつけてくる。
こんなにも苦しいのは、やっぱり高橋優斗が史上最強に切ない演技を見せてくれているからだろう。いつも冴に寄り添って、自分の気持ちを押し殺す時の泣きそうな笑顔がたまらなく悲しい。莉子(畑芽育)が思わず抱きしめてしまう気持ちが分かる。間違いなく、このドラマで一番愛のある登場人物だと思う。
「誰も傷つかない恋愛ってあるのかな」という晴翔(藤原大祐)の問いに答えるならば、答えはNOだ。でも正樹が言うように「嘘は真実を際立たせてしまう」から、最初から自分の気持ちに素直になれば、誰かに与える傷の具合は最小限に抑えられるのかもしれない。
正樹と冴の純愛は純愛のまま、終われなかった。事情はあれど、たくさんの人を傷つけてしまった。それでも、もう自分たちの気持ちに嘘がつけないならその手を離さないでほしい。
(文:苫とり子)
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