「ユニコーンに乗って」第10話<最終回>:希望の象徴“ユニコーン”、小鳥が導く佐奈と功の幸せな結末
(C)TBS/撮影:加藤春日
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永野芽郁主演のTBSテレビ火曜ドラマ「ユニコーンに乗って」が、2022年7月5日放送スタートした。
大北はるかが脚本を手掛けた完全オリジナルストーリーの本作は、スタートアップ企業の女性CEOが突然部下としておじさんサラリーマンが転職してきた中、仕事や恋に奮闘していく“大人の青春”ドラマ。若きCEO・成川佐奈をTBSドラマ初主演となる永野芽郁、佐奈の部下となる小鳥智志を西島秀俊が演じる。
本記事では、第10話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
「ユニコーンに乗って」第10話レビュー
(C)TBS/撮影:加藤春日「もうビジネスパートナーじゃない」
それぞれの夢に向かって、別々の道を歩み始めた佐奈(永野芽郁)と功(杉野遥亮)。友達でも、恋人でも、ただの同僚でもない。そして、これまで二人の関係を定義づけてきた“ビジネスパートナー”というラベルも剥がれた。
「ユニコーンに乗って」の最終回は、そんな佐奈と功のこれ以上ないくらい幸せな結末が描かれる。
(C)TBS/撮影:加藤春日
功が去った後のドリームポニー(以下、ドリポニ)。CEOには引き続き佐奈、CTOには次郎(前原滉)が着任し、早智(広末涼子)率いるサイバーモバイルと新たなスタートを切った。
M&Aによってドリポニの知名度が向上したことで、みんな大忙し。特に会社の顔として、佐奈はビジネス誌の取材に応じたり、コラボ企業との打ち合わせに出かけたりと、会社にいない時間も増える。
怖くなるほど順調。しかし、佐奈は心から会社の成功を喜べないでいた。
(C)TBS/撮影:加藤春日
それはやっぱり、功がいないから。どんなときもそばで佐奈を支え、嬉しいときは一緒に喜んでくれた功。失って初めて、佐奈はその存在の大きさに気づく。
一方、功もまた蓋をしていた佐奈への気持ちが顔を出す。でも、「もう一緒にいる理由がなくなった」と無理やり諦めようとする功の背中を押してくれたのは、なんと彼にずっと思いを寄せていた凛花(石川恋)だ。
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「なにそれ、だっさ。理由がないと、好きって気持ちまでなくなるわけ?」
そんなはずはない。むしろ理由がなくなってから、これまで以上に佐奈も功も互いを求める気持ちは膨らんでいる。
もどかしいくらい、近づいたと思えば離れていく二人の距離感。踏み出せなかったのは、どちらも一緒にいられる居場所を壊したくなかったからだ。
(C)TBS/撮影:加藤春日
CEOとして仲間の人生を背負い、自分の気持ちより仕事を優先した結果、佐奈は迷子になってしまった。無理を続ける彼女をそばで見てきた小鳥(西島秀俊)はそう語る。
思えば、佐奈はずっと誰かのことばかり考えて生きてきたのではないだろうか。満足な教育環境に身を置けなかった悔しさをバネに、同じ思いをしている人たちのために立ち上がった佐奈。
そのために青春を捧げ、恋も諦めて、夢だった会社を立ち上げた後も仲間を守ることを第一優先にした。そんな彼女に、小鳥の「CEOじゃないときの自分も大事にしてあげてください」という言葉が突き刺さる。
(C)TBS/撮影:加藤春日
今度はドリポニのCEOじゃない、成川佐奈という一人の女性として幸せになる番。佐奈と功が結ばれるのは、二人が出会った慶成大学だ。
佐奈はあの頃の早智のように壇上に立ち、起業家としての経験を語る。
「どんなに優秀な起業家でも一人で何でもできる人はいません。だから、足りないところを補い合える素敵な仲間を見つけてください。同じ夢を持つ仲間さえいれば、どんなこともアイデアとチームワークで乗り越えられます」
佐奈は性格や価値観、世代がバラバラで、だけど思いを共有できる仲間に出会えた。お調子者だけど、会社への愛は誰より強い次郎。帰国子女ではっきりと意見を伝える、明るい恵実(青山テルマ)。
学校という場所に馴染めず、引きこもっていたところからスタポニによって再び外の世界へと足を踏み出した海斗(坂東龍汰)。佐奈と同じような環境で育ち、48歳で一念発起してドリポニに転職した小鳥。
そして、生まれや育ちを乗り越えて、いつも佐奈と目線を合わせてくれた功だ。そんな功に対する佐奈の気持ちが今、溢れる。
「信頼も尊敬も友情もある。だけど、本当は恋も愛も全部ある」
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二人を幸せな結末へと導いてくれた功労者、小鳥もまた新たな道へと踏み出す。未来のIT人材を育成するために、サイバーモバイルが社員を小学校に派遣するプロジェクトに参加を決めたのだ。
そのためには一年間会社を離れなければならず、最初は足踏みをしていた小鳥だが、その背中を佐奈が押す。
(C)TBS/撮影:加藤春日
「私は小鳥さんと出会ったことで、夢を持つ大切さを思い出すことができました。小鳥さんの言葉に何度も救われました。一緒にいると何歳になってもチャレンジしてもいいんだと、勇気をもらえます」
佐奈にとって、小鳥は希望や未来を象徴する“ユニコーン”のような存在だという。それと同じように、本作自体が見る人に希望を与える“ユニコーン”だった。
やりたいことをやるには色んなしがらみがある。だけど、自分とは違うものをたくさん持った誰かと一緒に考えてそのしがらみを取り除けたらいい。「ユニコーンに乗って」はこの夏の夜、頬をそっと撫でる爽やかな風のようなドラマだった。
(文:苫とり子)
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