「初恋の悪魔」第8話レビュー:明かされる兄・朝陽の過去。タイトル”初恋”の真の意味とは
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林遣都と仲野太賀がW主演を務める「初恋の悪魔」が2022年7月16日スタート。
本作は脚本家・坂元裕二が送るミステリアスコメディ。停職処分中の刑事・鹿浜鈴之介(林遣都)、総務課・馬淵悠日(仲野太賀)、生活安全課・摘木星砂(松岡茉優)、会計課・小鳥琉夏(柄本佑)ら曲者4人がそれぞれの事情を抱えつつ難事件に挑む姿を描いていく。警察モノ、ラブストーリー、謎解き、青春群像劇……全ての要素をはらんだ物語の結末はどこへ……?
本記事では、第8話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
「初恋の悪魔」第8話レビュー
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ケーキ屋さんでいちごのケーキとマスカットのケーキを買い、好きなほうを星砂(蛇女)に選んでもらおうと思っていた鈴之介(林遣都)。玄関で話す練習をしているのがかわいい。部屋に入ると、なんと星砂もまったく同じ2個のケーキを買って、同じように鈴之介に好きなほうを選んでもらおうとしていた。
2人がまったく同じことをしているのに運命を感じるし、本当にお互いを思い合っているのが伝わってくるシーンで、愛おしくてたまらない。ただもちろん、星砂(スカジャン)と悠日(仲野太賀)のこともあるので、複雑な気持ちになってしまうのがこのドラマ。
星砂(蛇女)は、リサ(満島ひかり)の無実さえ証明できれば、自分はいなくなってしまってもいいと思っていて、目的を果たしたら元(スカジャンのほう)に戻る方法を探そうと考えている。人のことを考えられる人すぎる。鈴之介が、もっと自分のことを考えてもいいと言うのもうなずける。
でもそれじゃ(自分じゃないほうの)摘木星砂さんに申し訳ないし……といろいろ申し訳ない場面を挙げる星砂(蛇女)に、じゃあそれらをしないように、無人島で一人で生きればいいと言う鈴之介。一見ひどい言いようのようでもあるが、鈴之介はただただ星砂(蛇女)にも生きてほしいんだろう。最終的に、無人島のそれぞれ反対側に住み、週1くらいでおすそ分けをし合おうという話に落ち着き、楽しそうな2人。「大きなおさかなが獲れたときは……」と話す鈴之助がかわいい。
前回、無実の可能性が高いことがわかったのに、菜々美(あかせあかり)は逮捕されるらしい。鈴之介たちだけでなく、口木(味方良介)も、菜々美のものだとわかる証拠品があまりにあからさまに残されていたことに疑問を抱いている様子。この人、いつも渚(佐久間由衣)の手柄を横取りする人だと思っていたけど、刑事として誠実なところもあるんだな。でも、上にいるのが雪松(伊藤英明)なので結局もみ消されてしまうのだろうか。
悠日の両親は、雪松に悠日の退職を考え直してくれないか頼んだが、駄目だったという。悠日は兄のように期待に応えられなかったと詫びるが、両親は何言ってるのという反応で、悠日を馬鹿にしている様子はなかった。さらに、朝陽(毎熊克哉)の死について、本人は直前に雪松に会うと言っていたのに、彼の死後雪松は「朝陽としばらく会っていなかった」と言ったことを疑問に思っていたと明かした。彼が命を狙われているようなことを言っていなかったか尋ねる。
悠日は実際あったこと、朝陽のスマホを持っているが、パスワードがわからないと伝えると、お母さんが「朝陽のパスワードなら7580よ、七転び八起き」だという。
はじめはひどい人たちだと思った悠日の両親だったが、思ったより冷静でまともだとわかってよかった。どうでもよかったら、何度も家を訪れたりしないだろうし。
朝陽のスマホからはパッと見証拠となるようなものは見つからなかったが、カメラロールが蕎麦と空で埋めつくされていたこと、「悠日の誕生日」をカレンダーに登録していたことから人柄が伝わってきた。そして朝陽のスマホに”みぞれ”という名で登録されていた人に話を聞くことに。
悠日の家にやってきたのは、もともと朝陽の上司だった刑事だった。ギャンブルのやりすぎで異動になり、今は病気で余命半年の5か月目らしい。彼は朝陽に雪松のことでいろいろと相談を受けており、きっかけは武器を持っている犯人・リサに発砲しろと命令されて撃ったが、実際にはリサは凶器を持っておらず、自分は丸腰の相手を射殺するところだった、ということだった。それまで聞く朝陽の人柄から、あそこで撃つような人じゃなさそうなのにと疑問を持っていたが、雪松の指示だったのだ。
みぞれさんは止めたが、雪松と話すと言った朝陽は翌日転落死したのだという。だが権力も人望もある雪松に目をつけられたらクビになると思った彼は、このことを話さずにきたことを申し訳なく思っていた。
そしてみぞれさんによると、朝陽は悠日について「僕は人見知りで人と仲良くするのが苦手なんですが、弟は仲良くなるのが得意でみんなに好かれるんです。両親だって悠日の方が好きなんですよ。両親は僕より僕が持って帰る賞状のほうが好きなんです」と話していた。
なんと……お互い自分の持っていない部分をうらやましく思い、相手のほうが両親に愛されていると思っていたんだ。きょうだいって、そういうところがあるよな……。なんたが、愛おしいような泣きたいような気持ちになった。
そして朝陽は「雪松署長は僕にとって初恋のようなものなんです」と言ったのだ。実際に恋愛でというような意味ではなく、大きな存在という意味で。
「初恋の悪魔」というタイトルは、てっきり鈴之介の初恋にまつわる三角関係のことなのかとこれまでは予想していたが、タイトル回収はこちらな気がしてきた。
鈴之介の家の冷蔵庫にあった、悠日の作ったカレーを食べていた星砂は、宅配便の名前を書いている間にスカジャンの人格に戻る。悠日のカレーで戻るのが泣ける……星砂(スカジャン)は、悠日の家に一目散に走った。でも玄関の前で悠日が出てきたときに星砂(蛇女)のほうに戻ってしまった。悠日は先日の言葉を詫び、自分にそんなことを言う資格はないし、応援しているし、星砂も鈴之介も自分も納得できる日がくればいいと思ってます、と告げる。
みんな人のことを思いやれる優しいいい人なのだ。無理なのはわかってるけどみんな幸せになってほしい。
最後、悠日は雪松を尾行し、家からは息子(菅生新樹)が出てきた。悠日は琉夏(柄本佑)に「自分が殺されないか見張ってほしい」と告げていた。どうか、どうかみんな自分の命を大切にしてほしいし誰も死なないでほしい。
ここまで琉夏が、三角関係に絡んでいないために、どうしても他の3人に比べると蚊帳の外感があるのが気になっていたが、もしかして、この先結構つらい役割が待っていたりするのだろうか……。
雪松が明らかにあやしいことは間違いないが、彼が真犯人というのも予想通りすぎる気もしている。ここからどんな結末に結びつくのか、気になって仕方がない。今回からエンディングテーマに歌が入り、さらに物語を盛り立てた。
(文:ぐみ)
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