「ファーストペンギン!」第1話:こんな奈緒見たことない!痛快&爽快すぎる漁港再生物語、爆誕!
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奈緒主演、堤真一や鈴木伸之が脇を固める日テレ系列ドラマ「ファーストペンギン!」が、2022年10月5日より放送をスタート。
寂れた漁港を復興する”実話を元にした”オリジナルストーリーである本作。奈緒演じるシングルマザーの岩崎和佳(いわさき・のどか)は、職なし・宿なしのギリギリ状態で5歳の息子を連れ、とある港町に行き着く。堤真一演じる漁師かつ漁船団「さんし船団丸」の社長・片岡洋(かたおか・ひろし)と出会ったことで、和佳の生活に変化が訪れる。
本記事では、第1話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
「ファーストペンギン!」第1話レビュー
「あんたなんかね、クソ野郎ですらないわ。ただのクソだよ、クソ!」「なんの身動きも取れない、哀れなクソ!」
こんな奈緒、見たことない。それが、10月5日からスタートした新ドラマ「ファーストペンギン!」1話を見て出た率直な感想だった。
奈緒演じるシングルマザー・和佳と、5歳の息子・進(石塚陸翔)。2人は、とある理由から寂れた港町にやってきた。職なし・金なしの和佳は、とにかく食い扶持を確保するため、地元のホテルで仲居として働きながら副業の当ても探している。泊まり客の世話をしながらも営業に余念がない様は、行動力に満ち溢れている。
そんな彼女の姿をたまたま見かけ、自身の亡くなった妻・みやこ(中越典子)の面影と重ねるのは、漁船団「さんし船団丸」の社長・洋(堤真一)。シングルマザーであり子連れである、2つの共通点があるだけで「みやこの生まれ変わり!」と運命を感じちゃう性格は、なんとも可愛らしく映る。
余談だが、近年だと映画『砕け散るところを見せてあげる』(2021年)や『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』(2021)などで演じた、少々アナーキーな役柄が目立っていた堤真一。このドラマでは、豪快な海の男を演じるTHE・堤真一が見られそうで、ちょっとホッとしている。
シングルマザー&子連れで仕事を切望している和佳、そして年々寂れ人が減っていくばかりの漁港を立て直したい洋。一悶着ありはしたものの、利害が一致した2人は港町の再生に乗り出す。
和佳が着想したアイデアは、「さんしのいきいきお魚ボックス」!
通常、漁師たちが獲った魚を売るためには、漁協を通す必要がある。いわば、この「仲介」をなくし、さんし船団丸が直接お客さんの元へ魚を届ければ、これまでの数倍の利益が得られることになる。和佳は、実にシンプルに考えた。
しかし、漁師たちと漁協の関係性は、そう簡単なものではなかったのである。
漁協の組合長である杉浦久光(梅沢富美男)が、何やらよそ者(=和佳)が良からぬことを企んでいると嗅ぎつけてきた。和佳が必死の思いで、最終的には農林水産省にまで出向き許可を得たにもかかわらず、その努力を無下にする。
「お前、こんなことしたら、何が起こるかわかっちょるやろな?」と洋に凄む様は、さすが梅沢富美男、迫力があった。
しかし、その迫力と勢いを上回って見せたのが、奈緒である。
漁協を怒らせてはならない、とギリギリのところで態度を変えた洋。ここまでは頼んでない、我々もいま知ったばかりで、とお上に媚を売る始末である。和佳は学生時代、同じように先陣を切って、クラスのために校則を変えるよう声を上げた経験があった。しかし、当時も味方についてくれる人間はいなかった。
「また、これか」と呟いたあとの、彼女の怒涛の勢い。ぜひ実際に味わってほしい。冒頭に挙げた暴言、罵詈雑言の嵐ではあるが、ひとつも間違ったことは言っていない。流れるように畳みかけ、有無を言わせぬ迫力に満ちた一幕は、このドラマに賭けるキャスト・スタッフの熱をそのまま表しているようにも見えた。
もう一度言おう。こんな奈緒、見たことない。
脚本家・森下佳子の手腕もあり、1話からググッと心を掴まれた。「漁港の再生物語」とキャッチーな言葉でくくってしまえばそれまでだが、きっとこれまでにない新しい要素や仕掛けが待っているはず。
最後に、和佳の頼もしすぎる以下のセリフで本レビューを閉じよう。
「つべこべ言わんと、ついてこい!」
(文:北村有)
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