続・朝ドライフ

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2022年10月12日

「舞いあがれ!」第8回:おばあちゃんが失敗して舞が慰める、早くも神回来た

「舞いあがれ!」第8回:おばあちゃんが失敗して舞が慰める、早くも神回来た


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2022年10月3日より放映スタートしたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。

本作は、主人公が東大阪と自然豊かな長崎・五島列島でさまざまな人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。ものづくりの町・東大阪で生まれ育ち、 空への憧れをふくらませていくヒロイン・岩倉舞を福原遥が演じる。

本記事では、その第8回をライター・木俣冬が紐解いていく。

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舞、工作の才能を発揮する

おばあちゃん祥子(高畑淳子)舞(浅田芭路)のふたり暮らしは順調です。

最初はうまくいかなくてもやってるうちにできるようになる。失敗することは悪くないと教わる舞。

祥子はなんでもできて強くてあたたかくてやさしい人。でも一緒にいるうちに祥子にも弱い部分があることを舞は目にします。

祥子の瀬渡しの仕事につきあったとき、舞は船の名前が「めぐみ号」であることに気付きます。
出ていった娘・めぐみ(永作博美)の名前をつけていることで、ずっと出ていっためぐみのことを思っていたことがわかります。

強そうに見えても、めぐみに対して複雑な気持ちに揺れ、孫に会いたくて寂しい気持ちを抱えていたのです。たぶん、舞は人間のそういう単純でない気持ちにはじめて触れたことでしょう。成長の一步です。

祥子ははたと思い出して、家に戻り、長らくしまってあったばらもん凧を出して、舞と一緒に作り始めます。舞と悠人のために作ろうと思っていたものだそうで、ここで祥子がどれだけ孫に会いたかったか、言葉だけでなくわかります。

長女のなまえをつけると縁起がよく事故知らずというジンクスが島にはあることやばらもん凧のうんちく。それらが皆、家族の愛情に根ざしているのです。

凧が完成したのはよかったものの、船のお客さんとの待ち合わせの時間に遅刻してしまう祥子。
これが第7回のおわりでナレーションされた「まさかあんなこと」でした。

潮の流れを考慮して早めに設定したものだから、お客さんの不満は爆発。さんざん怒られて平身低頭で謝ります。結局帰りの飛行機に間に合わず民宿や飛行機代を弁償することに。

もともとこういうドジなところがあったのか、舞に会ってデレ過ぎてしまったからなのかわかりませんが(たぶん後者?)、何もかも完璧でたのもしくかっこいい祥子のちょっとかっこ悪い姿を目の当たりにした舞は、落ち込む祥子に「失敗は悪いことやないんやろ」と手を握ります。

夕日をバックに抱き合う祥子と舞を見てハッとなりました。

そこまでは、道徳ドラマのような雰囲気もあるなあと思っていたところもあったのですが、ちゃんとエンタメになっています。序破急でいったら「破」でしょう。早くも神回来たという感じです。

舞に祥子の教えが効いていて、舞のほうが祥子を励ます側に回ったのです。

どんなに年齢を経て、体験が多くても、人間は弱いもので、間違えるし、失敗するし、悩みます。
祥子はめぐみとの確執に悩み、めぐみも頑張りすぎてうまくいってなかったことを自覚します。

先輩である大人が子供を導くのは当然として、大人だって完璧ではない。ときには子供が大人を救うこともある。それぞれが助け合うのは、横のつながりだけではなくて、縦のつながりもある。それこそが多様性ではないかと思わせる場面でした。

それも舞もやらかした「遅刻」つながりで、小道具を「時計」にして描いている構成力。時間に気づくのは一太の「おやつの時間」というセリフという手堅さ。

時間を強調しているのは今後の伏線(飛行機で乗客を乗せて飛ぶ)かなという気もします。

舞の成長は貝がらの工作がうまくできたこと。それを祥子にプレゼント。

舞と悠人のための凧と貝殻の工作の交換は、互いが思いやってる証です。舞、めぐみ、祥子、それぞれの傷ついた心がすこしずつ癒やされていく、貝の工作のようにきれいな一編でした。

【朝ドラ辞典 神回(かみかい)

思いがけない展開に感動する回。ただしこの言葉を使いすぎると価値が下がる。


(文:木俣冬)

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