「舞いあがれ!」第40回:吉川晃司がひとりトップガン
本作は、主人公が東大阪と自然豊かな長崎・五島列島でさまざまな人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。ものづくりの町・東大阪で生まれ育ち、 空への憧れをふくらませていくヒロイン・岩倉舞を福原遥が演じる。
本記事では、第40回をライター・木俣冬が紐解いていく。
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謎の金の置物
舞(福原遥)が航空学校に入ってあっという間に最終試験がやってきて、あっという間に宮崎校での座学終了、来週は函館でフライト課程です(朝ドラ辞典「展開早い」の項参照)。一時は脱落か……と思われた吉田(醍醐虎汰朗)も一緒に合格です。バラバラだったのがよくまとまったとご機嫌な都築教官(阿南健治)。
専門的なことや具体的な過程がかなり略されて、登場人物のやってることの内容がよくわからないまま話がトントン拍子に進んでしまうことは朝ドラによくあります。ワープ、ショートカットなどと呼ばれます。最近の流行りの「倍速」という呼び方でもいいかもしれません。
このショートカットが「舞いあがれ!」では少ないと好評でしたが航空学校編に来て、いつもの朝ドラになりました。まあ、視聴者も気にせず朝ドラのノリに身を委ねるのが一番かと思います。
宮崎校の前で写真を撮るチームメイトたち。ノリノリな5人のなかでひとりだけ柏木(目黒蓮)は無愛想ですが、ノーサイドの店主・津田道子(たくませいこ)は、このひとこそ、舞の恋の相手に違いないと思い込みます。
道子「(前略)フォーリンラブや! 恋に落ちてるやつや」
舞「落ちてません」
というやりとりがおもしろかったです。
ライトなドラマとしてはよくまとまっています。
「金」をモチーフにして様々な人間もようがつながっています。
浩太(高橋克典)は3億円も借金して工場を増設し新規事業(自動車の部品製造)を目指しています。経理担当のめぐみ(永作博美)は心配しています。
東京にいて連絡をあまりしてこない悠人(横山裕)がビリケンさんのような宇宙人のような、謎の金の置物を送って来て、そのあと、東京でトレーダーの仕事をきりっとやっている。なかなかすごいお仕事をされているようです。
佳晴(松尾諭)は久留美(山下美月)にお小遣いをもらっています。
お金、お金、お金……一見バラバラな場面がひとつの共通点でつながっていてわかりやすいですね。
そんな流れで、今週の終わりは、舞たちを待ち受けている函館校の教官役の吉川晃司さん。トップガンかというようなムードが漂いました。第8週は学校と生活であたふたしている感じでしたが、第9週は広大な空と大地が広がりそうです。
【朝ドラ辞典 相手役(あいてやく)】「戯曲というものは、やっぱり恋愛がなくちゃいけないとあたしは思うわ……」というのはチェーホフ「かもめ」のセリフ。朝ドラにも恋愛が、主人公の相手役は必須。常に相手役は誰だろうという興味がある。朝ドラでは夫役、妻役として事前に紹介されることもあるが、誰が相手役になるかなかなか明かされないパターンもある。「舞いあがれ!」はこのパターン。幼馴染か? 学友か? 「恋に落ちてるやつ」と予言されたがまだわからない。
(文:木俣冬)
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