「舞いあがれ!」再就職先も廃業になる小森(吉井基師)が不憫な<第80回>
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2022年10月3日より放映スタートしたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。
本作は、主人公・岩倉舞(福原遥)がものづくりの町・東大阪と自然豊かな長崎・五島列島で人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は第80回を紐解いていく。
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帰ってくるか、小森
夢の航空機部品づくりを目指し始めた舞(福原遥)ですが、なかなか成形が難しい。辞めた小森(吉井基師)の再就職先である長井金属の機械を貸してもらえないかと考えます。舞と笠巻(古舘寛治)がうめづに長井社長(や乃えいじ)を呼んで待っていると、意味深なカメラワークで、やって来たのは小森でした。ちょっと気まずい感じがあります。小森に帰ってきてほしいけれど、長井に義理があるでしょうし、なにより意地もあるでしょう。めぐみ(永作博美)は一度、復帰を打診したようですが、帰らないと言っているようです。会社ってそんな簡単に行き来できないですよね。
長井の機械を借りることになって舞が工場に行くと、なんと長井は廃業するそうで……。うめづに長井を向かわせたのは、IWAKURAに戻る話ができるように気を利かせてくれたのかもしれないですね。
でも小森は一度、要らないと言われた身、いくら再就職先を探さないとならないからと言って、ホイホイ戻れません。
それにしても、小森さんは不運です。リストラされたうえに、再就職先が4年で潰れてしまうなんて……。長井さんは跡継ぎがいないから潰すと言うのですから、誰かに(それこそ小森に)任せたらいいのにと思うのは短絡的でしょうか。
視聴者的にはこの流れは小森が戻ってくるお膳立てと感じますが、IWAKURA は生き残って、長井金属は廃業、この差が哀しい。
時代と状況が変わっていくなか、どうやって生き残っていくか、悩むのは東大阪の町工場だけでは有りません。五島でも寂れていく島をどう活性化するかが早急な課題です。
さくら(長濱ねる)はいち早く、ちょっとおしゃれなカフェをつくって、みんなの憩いの場になっています。観光客より地元の人が集まって見えますが、たぶん、観光客も地元民にも愛されているのでしょう。
注目は、さくらが例のむっちゃんとどうやら結婚したようであることです。
カフェには「むっちゃんのきまぐれパスタ」というメニューもあり、存在していることを匂わせます。「夫婦になってもデートは必要」というせりふや指輪、クレジットで苗字も変わっていました。
五島の人たちが町おこしのアイデアを語り合う場面は活気がありました。
高畑淳子さんと鈴木浩介さんは劇団青年座同士(鈴木さんはすでに退団)なので息ピッタリに感じます。
【朝ドラ辞典 顔出ししないひと(かおだししないひと)】名前だけ出て来て顔が出てこない人物がたまにいる。「おかえりモネ」の宇田川、「カムカムエヴリバディ」の鈴木くんなど。出てこないが妙にキャラが立っていて人気キャラになる。
(文:木俣冬)
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